居酒屋夜話|冷えた麦茶一杯

居酒屋夜話|冷えた麦茶一杯

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筆ば乗ってきたけんもういっちょ書こうかね

夏の一杯目


夏になると、うちの店は
最初に冷えた麦茶ば一杯出す。

酒の前に、たい。

汗だくで駆け込んできた客に、
いきなり冷たかビールやなくて、まず麦茶。

大将、ここ飲み屋やろ。

そう笑われる。
毎年、誰かに言われる。

ばってん、おれはこれば10年続けとる。

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麦茶ば出すごとなった日


店ば開けて、まだ一年も経っとらん夏やった。

その晩、汗だくの男が入ってきた。
シャツが背中に貼りついとった。

座るなり、生ビールば頼んで、
出したら三口で空にした。

もう一杯。
それも早かった。

三杯目ば置いた時には、
もうカウンターに突っ伏しとった。

一時間くらい寝かせといたと思う。

起きて、勘定ば払う時に、その男が言うた。

すいません、何も覚えとらんです。

うまかったですか、て聞いたら、
少し黙って、こう言うた。

わからんかった。

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休みに来たのに、休めとらん


その男は、休みに来たとよ。

一週間働いて、やっと来た金曜の夜に、
自分が何ば飲んだかも覚えとらんまま帰った。

おれはそれが、しばらく頭から離れんかった。

考えてみたら、当たり前のことやった。

汗だくで、喉が渇ききって、
体の熱も抜けきらんうちに
冷たかもんば流し込んだら、
そりゃ味なんか分からん。

体が受け取る用意ばしとらんとに、
先に一番よかもんば入れてしまう。

もったいなか、と思うたとたい。

次の夏から、麦茶ば先に出すごとした。

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整えてから動く


麦茶ば一杯挟むと、何が変わるか。

まず体の温度がゆっくり下がる。
喉が潤う。
ひと呼吸置く。

そうやって整えてから飲む一杯目は、
はっきり違う。

同じビールたい。
変わったとは体の側だけばい。

これはな、人生も同じたい。

しんどか時ほど、
いきなり大きな決断とか、
派手な気晴らしに走りたくなる。

仕事ば辞める。
引越す。
連絡ば絶つ。

ばってん、その前に一回、
麦茶みたいな時間ば挟むとよか。

ぬるい風呂に入る。
早う寝る。
飯ばちゃんと食う。

しょうもなかことたい。
ばってん、体が受け取る用意ばしてから動くと、
同じ一手でも効き方が変わる。

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暦で言えば、整える日


おいは暦で人の動く日ば読んどるばってん、
暦に載っとるとは動いてよか日だけやなか。

整える日、ていうのも同じだけある。

むしろ、そっちのほうが多か。

初めて鑑定ば受ける人は、たいてい
動く日だけ知りたがるとよ。
いつ動けばよかですか、て。

ばってん、いっぺんも整えとらん体で
よか日ば迎えても、
たぶん、あの晩の男と一緒たい。

いちばんよか一杯が、味の分からんまま過ぎていく。

暦の使いどころは、
攻める日ば探すことやのうて、
攻める前の日ば空けとくことにある。

おいはそう思うとる。

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今夜の一杯目


夏の疲れが出るとは、ちょうど今頃たい。

あんたの麦茶が何かは、おいは知らん。

ばってん、一杯目の前に挟むもんが、
何かひとつはあるはずたい。

今夜は、それば先にやってから飲みんしゃい🌙

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この店の鑑定について


おいは九星気学と暦で、
あんたの動く日と方角ば読んどる。
品書きは三つだけたい。

まずは行き先と日取りだけ知りたか人へ。

ひと月まるごと、動く日と避ける日ば並べたとがこっち。

半年先まで、流れごと一枚の地図にしたとが本命たい。

どれにするか迷うたら、
いちばん上のからでよか。

方角がひとつ決まるだけでも、
足の出し方は変わるけんな。

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