187.「取り調べ」と「事情聴取」はどう違うの?
【いまさら聞けない法令用語】「取り調べ」と「事情聴取」はどう違うの? 弁護士が解説
事件・事故に関する報道の他、ドラマや映画などの劇中でも耳にする機会が多い法令関連用語の一つに「取り調べ」があります。
また、よく似た用語として「事情聴取」という言葉が使われることもあります。
「事件・事故の関係者のことを調べる」という点では共通しているように見える両者ですが、どんな意味と違いがあるのでしょうか。
佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。
違いは「聴取する対象」
Q.まず、「取り調べ」という言葉の意味について教えてください。
佐藤さん「『取り調べ』とは一般に、捜査機関が、容疑者から事件に関して詳しく事情を聞くことをいいます。
何らかの罪を犯した疑いがかけられ、刑事事件の容疑者になると、捜査の一環として、警察から取り調べを受けることになります。
警察から取り調べのため、任意に出頭するよう求められた場合、拒否することは可能です(刑事訴訟法198条1項)。
しかし、協力しないことにより、罪証隠滅や逃亡の恐れがあると判断され、逮捕される可能性もあるため、取り調べを求められたら、弁護士に相談した上で、応じるのが望ましいでしょう。
一方、逮捕されている場合、取調室に行くことを拒否したり、取り調べ中に自由に退去したりすることはできません。もちろん、黙秘権(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)があるので、取り調べの場で何も話さないことは可能です。
警察での取り調べでは、事件に関する事柄だけでなく、身上に関する事柄(生い立ち、家族関係、趣味など)も含め、広く聴取されることが多いです
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