【感想】『借りぐらしのアリエッティ』と「小人の冒険シリーズ」
※前書き※ こちらのブログは有料ですが、本文については最後まで読めるようになっています。有料部分には、蛇足として資料やコメントが掲載されています。 本文評価のかわりとしてお代をいただけると幸いです。 では、本文へドウゾ。 ↓↓↓ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』「ぼくはあの年の夏、母の育った古い屋敷で一週間だけ過ごした。」
物語は、少年のモノローグから始まる。
美しい宝石箱を開けた時のような音楽が鳴り、なるほど、その体験は少年にとって宝物なのだろうと想像ができる。
アリエッティは可愛い。
小さく、ほっそりとしていて、それでいて賢そうな、勇敢な顔をしている。それが素早く動き回り、要領よくシソを摘み取って、床下へと続く格子窓に消える。
『借りぐらしのアリエッティ』、スタジオジブリによる2010年の作品である。
少年(翔)は、初めて小人(アリエッティ)を見た時に、守ってあげたいと思ったのだという。心臓に病を抱えていて、静かに本を読み、猫を撫でるだけの彼が。一体、何から小人たちを守りたかったというのだろうか。
アリエッティは言う。あなたのせいで自分たちの暮らしは滅茶苦茶になった、と。
小人たちには小人たちの暮らしがある。小さくて、慎ましやかで、いじらしい暮らしが。こっそりと拾い集めてきた材料で、コツコツと作り上げてきたのであろう手作りの、創意工夫に満ちた暮らしが。それは、大きい我々「人間」からすると、物理的に儚く、脆い暮らしである。
実際、彼らの生活空間は翔によって暴かれ、良心からとは言え壁をごっそりむしられた。そして家政婦によって家族のメンバーを捕らえられる。
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