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魂の影が揺れる庭で

廉清 生織のブログの部屋へようこそいつの間にかふたりの間の風が止み心の湖は 静かに凍りついていた形ばかりの愛を 抱えた日々触れれば崩れる 砂の城寂しさを埋めようと 集めた光胸の空洞には 届かない隣で揺れる影にすら心が 波立たない私の魂が もう別の夜空を 見つめているから触れ合いの温度で孤独を包んでも深い風穴はただ静かに月の光を 吸い込んでいくどうか見えない導き手よ私を光の道へ 戻してください宇宙へ祈る欠けた魂が いつか満ちるように
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涙の数だけ幸せが待ってる

廉清 生織のブログの部屋へようこそ静かに降る雨のように涙は あなたの心を洗い流す悲しみの中で見えなくなっていたものが少しずつ 輪郭を取り戻していく泣いたぶんだけ 人を想う優しさが深くなり傷ついたぶんだけ 誰かの痛みに気づけるようになる涙は決して 弱さの証じゃないそれは 魂が成長している音どうしようもなく切ない夜もちゃんと 明ける朝があるそのたびに あなたは光に近づいているだから もう怖がらなくていい泣いてもいい 止まってもいい涙の数だけ 幸せが待ってるその幸せはきっとあなたの中にすでに芽吹いている今日も祈りを込めてあなたの涙が やさしい光へと変わりますように
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私 あなたを 信じてる②

だけど最近、ふと気づいたことがある。「信じている」という言葉に、嫌悪感や恐怖、命令や支配、悲しさ、惨めさ、懇願……。あらゆるネガティブを感じていたのは、私自身の心のフィルターのせいだったのかもしれない。その反対側にあるはずの、純粋な「尊敬」や「愛」、そして「尊重」としての『信じている』を、私はすっかり忘れてしまっていた。いや……忘れていたというより、見ないようにしていたのかもしれない。カウンセラーという仕事は、相手を尊重して、信じて待つ姿勢が何より大切だ。そんなことは、百も承知のつもりだった。だけど、本当の意味でそれができていただろうか?私の持つ「信じる=支配する・される」という古い観念が、どこかで邪魔をしていなかっただろうか?「相手を尊重したい、信じたい」と思いつつも、もしかしたら、心の深いところではできていなかったのかもしれない。そんな風に思い始めた。そして、その実、一番「信じること」に恐怖を感じていた私は、自分自身のことを、誰よりも信じてあげられていなかったのかもしれない。だってさ、「自分を信じる」って、もの凄く自己肯定感が高くて、自分軸がしっかりできていて、いつも自分に100点満点のOKを出せている状態のことでしょ? なんて。 ――出た出た、自分スパルタ教育。……そう思い込んで、私は自分自身に対しても、「完璧でいろ、信じさせてみろ」って脅迫していたのかもしれない。かと言って、今でもやっぱり「信じてる」って言葉は、手放しで好きにはなれない。だけど、今の私はこう思う。どんな自分でも、どんな相手でも。たとえ、信じられないような失敗をしちゃったとしても。「それでも、あなたはそれ
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心が折れた経験 後編

前編に続きです。解雇になって 心は芯から折れてしまいました。心が折れて樹木が根っこからぽきっと折れたようなイメージです。 そのまま枯れてしまいそうな勢いで。 実際、私の心は枯れていき 人生なんてどうでもよくなりました。 投げやり、 捨て鉢、 やけのやんぱち、 です。 自宅療養になり、 そのまま引きこもってしまいました。 ただ生きているだけ。 夢や希望は見つかりませんでした。植物の再生する力 突然話は変わりますが、私は大学は農学部で卒業研究テーマは 遺伝子組み換えによる作物の品種改良でした。 当時、植物の遺伝子導入は アグロバクテリウムという細菌に 目的の遺伝子を組み込み 植物に感染させる方法が主流でした。 感染させた植物から遺伝子が組み込まれた 植物細胞だけを選抜・培養し カルス(細胞塊)まで成長させて 植物ホルモンを使って芽や根を分化させて 遺伝子が組み込まれた植物を再生させていました。 難しい話を書きましたが、 植物の細胞は全能性を持っています。芽や根を再生する力を持ち備えています。 台風や風で折れてしまった木が また太陽に向かって成長している姿を 見たことはありませんか? 実は私の心も再生する力を持っていました。大杉谷の大瀑布 私の心は根元からぽきっと折れて 長い間、腐って枯れていました。 しかしある時、ふとついていたテレビに 奈良県と和歌山県の境にある 大杉谷という渓谷の雄大な滝が映りました。 突然、涙が溢れました。私が元気で活発で過ごしていた時 大学の親しい友人たちと訪れたのが その大杉谷の渓谷でした。 大きな瀑布は当時の私の心を震わせました。そして、十数年を経て、大
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悔しいまま、終わりたくない

風が少し冷たくなった。夕暮れのグラウンドに、砂ぼこりが舞う。練習を終えたメンバーが次々と荷物をまとめ、小さな笑い声がちらほら戻ってきていた。柚はゴールポストのそばに腰を下ろした。夕日が金色に光って、汗に濡れたスパイクの縁がきらりと反射する。まだ、何も“元通り”じゃない。けれど、“終わった”とも思わなかった。陽菜が近づいてきた。「……キャプテン、ちょっといい?」柚が顔を上げると、陽菜は手にノートを持って立っていた。「先生が言ってた“できたことノート”、 ……やっぱり、書けないや」「どうして?」陽菜はため息をついて、グラウンドの土を指でつまんだ。「何もできてないから。 あたし、去年の試合で外したシュート、 今でも夢に出てくる。 “できたこと”なんて、何もない」柚はその言葉を聞きながら、かつての自分を見ているような気がした。(分かるよ……。 私も、ずっと“やめなかった”以外書けなかった。)「陽菜」「うん?」「“できたこと”って、上手くいったことじゃないと思う」「……じゃあ、何?」「それでもここに立ってること。 それだけで、できたことなんだと思う」陽菜はしばらく黙っていた。風が二人の間を抜けていく。「……そんなの、書いてもいいの?」「いいよ。私は毎日、それしか書けなかったから」陽菜がふっと笑った。泣き笑いみたいな、どうしようもなく人間くさい笑顔だった。その夜、陽菜はノートを開いた。ペンを握って、ためらいながら一行だけ書く。「今日、できたこと──まだここにいる」書いた瞬間、胸の奥に溜まっていた何かがすっと軽くなった。ページの端が少し濡れていたけれど、拭こうとは思わなかった。翌日。放課後の
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今日、できたこと──立てた

翌朝のグラウンドは、昨日より少しだけ柔らかかった。夜の冷えで乾きかけた泥に、スパイクの跡が浅く残る。柚は誰もいないグラウンドの真ん中に立った。風が頬を撫でて、汗の跡を冷たくしていく。昨日までの重たい空気が、少しだけ軽くなっている気がした。気のせいかもしれない。でも、気のせいでもいい。ノートを開く。ページの端に、泥の指跡がついていた。“水を押し出した”その下に新しい一行を加える。「今朝、グラウンドに立てた」ただそれだけ。でも、それが今の自分の全部だった。しばらくすると、美緒が来た。眠たそうな目で、髪を後ろで束ねている。「……早いね」「うん。なんか、来ないと落ち着かなくて」二人で並んで立つ。朝日が少しずつ顔を出して、白い息を光らせていた。「昨日の、あれ……見た?」「メモ?」「うん」「見た。誰だろうね」美緒は少し笑って言った。「分かんないけど、なんか救われたよね」柚も頷いた。「“ありがとう”って、 あんなにあったかい言葉だったんだね」「……あの先生、見えてたのかな」「何が?」「こうなるの。 私たちが、少しずつ戻ってくること」柚は答えなかった。風が、二人の間を抜けていく。昼休み。フェンスの向こうから、陽菜と結月の姿が見えた。二人とも制服のまま。「……なに、また練習してんの?」陽菜が声を上げた。柚は笑いながら、「してないよ。ただ、立ってるだけ」と答えた。「何それ。変なの」陽菜は呆れたように言って、結月と目を合わせた。でも、すぐには帰らなかった。沈黙のあと、陽菜がボールを足で転がした。「……蹴っていい?」「いいよ」蹴られたボールがゆっくり転がる。その音が、昨日までの沈黙を少しずつほどいてい
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今日、できたこと

三月の風は、まだ冷たかった。夜に降った雨が乾ききらず、グラウンドの砂はしっとりと重い。「声、出していこう!」キャプテンの柚(ゆず)が叫んでも、返ってくるのは短い返事と沈黙だけだった。ボールは転がる。けれど、誰も追わない。掛け声も笑いも、このチームからいつの間にか消えていた。一年前、全国大会で惨敗した。それから、何かが止まったままだ。この春、新しい顧問がやってきた。神谷先生。五十を過ぎた穏やかな目をした人だった。初日の練習が終わると、先生は部室に全員を集めた。狭い空間に泥と汗の匂いが混ざっている。窓の外では、夕方の光がグラウンドの白線を照らしていた。「今日からしばらく、ボールを使わない」ざわめきが起こる。「え?」「何言ってんの?」「サッカー部ですよ?」「わかってる。 でも、今のままじゃ、 ボールを蹴る資格がない。 技術より先に、生活を整えよう。 挨拶、掃除、言葉づかい── 人としての基本からやり直したい」沈黙。陽菜が壁にもたれて、腕を組んだ。「それ、サッカーに関係あるんですか? “ありがとう”で点、入るんですか?」笑いが起きた。でも、その笑いは乾いていた。神谷先生は、一冊のノートを手に取った。白い表紙。黒いペンで「今日、できたこと」と書かれている。「これを持って、一日一つ、“できたこと”を書いてほしい」「……“できたこと”?」「“練習を頑張れた”でもいい。“ありがとうが言えた”でもいい」陽菜が息を吐いた。「先生、私たち全国行きたいんですよ。 “ありがとうの練習”とか、バカにしてます?」その言葉に、空気が止まる。みんなが陽菜を見た。誰も止めない。みんな同じことを思っていた。柚も言え
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