男性更年期と男性心理

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「男なんだから」
「このくらい我慢しろ」
「もう少し頑張れ」
「甘えるな」
「弱音を吐くな」

そんな言葉を、自分自身に言い聞かせたことはありませんか?

WHO欧州地域事務局の報告書では、男性は女性に比べ、心の不調について助けを求めにくい傾向があるとされています。
自分で何とかしようとする意識や、気持ちを言葉にしづらいことも、相談の壁として挙げられています。[1]

また、「男は強くあるべき」「弱音を吐くべきではない」「自分のことは自分で解決する」といった、いわゆる「伝統的な男性性」の考え方を強く持つ人ほど、心理的な支援を求めることに否定的で、助けを求める自分を否定的に捉えやすいという関連が報告されています。
うつに関する研究をまとめたレビューでも、こうした価値観は、つらさの表し方や助けを求める行動に関わると報告されています。[2、3]

私も耳が痛いです。
もちろん、すべての男性に当てはまるわけではありません。
ただ、育ってきた環境の中で何度も聞いてきた言葉は、大人になってからも、自分に向ける言葉として残ることがあります。

男性更年期では、疲れやすさ、意欲の低下、気分の落ち込み、EDや性欲の変化などが重なることがあります。

それでも、
「もう少し頑張れば何とかなる」
「今は外せないプロジェクトがあるから我慢」
「俺が休んだら会社に迷惑をかける」
「家族に心配をかけたくない」

そうやって、一人で抱え込み、無理を続けてしまう男性もいます。
仕事に行けているうちは「まだ大丈夫」と思う。
仕事が一段落しても、今度は家のことがある。気づけば、自分のことはまた後回しです。

私が特定保健指導で面談するのは、40〜64歳の方です。
昭和生まれの男性も多く、「男は弱音を吐くな」「家族のために頑張れ」という価値観の中で生きてきた方もいるのではないでしょうか。

面談でも、喉元まで弱音が出かかっているのに、あと一歩が踏み出せず、言葉を飲み込む。そんな姿を何度も見てきました。

「相談できない自分が弱い」
「こんなことで相談できない」
「相談したって何も変わらない」
話したい気持ちがあっても、こういう言葉が先に浮かぶと、口に出す前に、自分で話を引っ込めてしまうことがあります。
性欲や勃起の変化のように、身近な人にも話しづらいことなら、なおさらです。

私も昭和生まれの中年男性です。
「頑張らなきゃ」と思う気持ちは、すごく分かります。職場や家族のことを考えると、自分が我慢すれば済むと思うこともあります。
だからこそ、自分で「このくらい」と言っているときに、本当に気にならないのか、それとも気になるけれど口にしづらいのか。
その違いには、気づいてほしいと思います。

あなたが「こんなこと」と思っていることも、今の不調を考える手がかりになります。
「最近、疲れが抜けない」「前より気分が落ち込む」「性欲が落ちた気がするけど、うまく説明できない」。
いつからか、何が原因か、うまく答えられなくても、まずは気になっていることをそのまま話していいんです。

もし「これ、自分のことかもしれない」と思ったら、一人で抱え込まず、相談していいんです。
「病院に行くほどなのか分からない」「誰に話せばいいか分からない」。
そう思っている段階から、話していいことです。

相談することは、自分や家族を守るための、大切な一歩です。

私も「頑張らなきゃ」と思うからこそ、そういうときにこそ、自分を大切にしてほしいと思います。自分と向き合うことも、相談することも、一つの強さです。

参考文献

1. WHO Regional Office for Europe. Mental health, men and culture: how do sociocultural constructions of masculinities relate to men’s mental health help-seeking behaviour in the WHO European Region? Health Evidence Network Synthesis Report No. 70. 2020. 

2. Üzümçeker E. Traditional Masculinity and Men's Psychological Help-Seeking: A Meta-Analysis. International Journal of Psychology. 2025, 60(2), e70031. DOI 10.1002/ijop.70031

3. Seidler ZE, Dawes AJ, Rice SM, Oliffe JL, Dhillon HM. The role of masculinity in men's help-seeking for depression: A systematic review. Clinical Psychology Review. 2016, 49, 106–118. DOI 10.1016/j.cpr.2016.09.002
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