昔、好きな人から返事が来ないと、占いを読んでいました。
「相手もあなたを気にしています」
「関係が進展する時期です」
そういう文章を見つけると、スクリーンショットを撮って保存する。
「今は距離を置いた方がよいでしょう」と書いてあるものは、保存しない。そもそも、最後まで読まない。
あまりにも都合のいい読者でした。
写真フォルダには、料理や出かけた先の写真に混ざって、恋愛運の画面が何枚も並んでいました。同じ人の返事を待ちながら、ずいぶん熱心に集めたものです。
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私は今、霊視とタロットで鑑定をしています。綴と申します。
この仕事をしていることを知ったら、当時の私は、まず自分の恋愛を見てほしいと頼むでしょう。きっと、いい結果を期待しながら。
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その頃、相手からの連絡は不規則でした。
すぐ返ってくる日もあれば、何日も来ないこともある。会えば優しいので、嫌われているとは思えない。けれど、次にいつ会えるかは、いつも分からない。
私は、相手から誘われたときに空いていたかったので、休日の予定を入れないようになりました。
予定がないと、スマートフォンを見る時間が増えます。返事が来ていなければ、また占いを読む。いいことが書いてあれば安心して、しばらくすると、また気になる。
忙しい人なのだと思っていました。
実際、忙しかったのでしょう。それでも私は、一日をどう過ごすかまで、まだ来ていない連絡に決めてもらっていました。
ある日、友人とご飯を食べているときにも、その話をしました。
「今月は、関係が動くらしいんだよね」
友人はお茶を飲んでから、聞きました。
「それで、次いつ会うの?」
「まだ決まってない」
「会いたいって言ってみた?」
「忙しいかもしれないし」
ここまで言って、私は、友人に何を答えてほしかったのか分かりました。
「きっと大丈夫だよ」
その一言がほしかったのです。
友人は、そう言いませんでした。
代わりに、「会えなくて寂しいって、私には言っていいよ」と言いました。
そこで初めて、私は、寂しかったと話しました。
相手の事情を説明することは、いくらでもできたのに、自分の気持ちは、ずっと後回しにしていました。
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鑑定では、「彼は私を好きですか」というご相談をいただくことがあります。
その気持ちを知りたいのは、当然だと思います。私も知りたかった。
霊視でお相手の気持ちや、お二人の間にある距離を受け取り、カードを広げて、今の関係やこれからの流れを読んでいきます。
そこで、好意が感じられることもあります。
ただ、好意があっても、連絡をする、会う時間をつくる、関係をはっきりさせる、といった行動まで進むとは限りません。私は、その違いもお伝えするようにしています。
「好き」という言葉だけを渡して、また何も決まらない休日を待っていただくのは、気にかかるからです。
そして、お相手のことをお伝えしたあとには、ご相談くださった方のお話も聞きたいと思っています。
会ったあと、どんな気持ちになるのか。
今の付き合い方を、この先も続けたいのか。
寂しいと話すとき、相手を悪者にする必要はありません。
あの友人は、私の好きな人を責めずに、私の寂しさを聞いてくれました。今も、よく覚えています。
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占いのスクリーンショットは、あとになって消しました。
一枚ずつ見返していると、「今月」と書かれた画面が、何か月分もありました。私が待っていた時間まで、保存されていたのだと思います。
消した日は、友人と定食を食べました。
今度は私から、土曜日に会おうと連絡しました。相手の予定が入るかもしれない、と考えずに、自分の予定を決めたのは久しぶりでした。
その日の写真は、今も残っています。
焼き魚と、ご飯と、お味噌汁。
友人が一口食べてから「撮らなくてよかった?」と聞いたので、お皿には、少し食べた跡まで写っています。