フリマのポスターでAIを使ってみた。素材は一瞬で出たけれど、結局手動でやった『最後の20%』の話

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デザイン・イラスト
1.「AIに任せる時代が来た」と思っていた
最近、SNSやニュースで、
「AIでデザインが自動化される」
「デザイナーがいらなくなる」
という話をよく見かけます。
なんなら、その先には「人類が滅亡する」なんて話まで。

そこまでのことは分かりませんが、僕も最初は、
「デザインの作業は、かなりAIに任せられるようになるんだろうな」
と思っていました。

僕は地域おこし協力隊として、商店街の振興に関わっています。相方とは、お互いの得意・不得意を補い合うように仕事を分担しています。

僕が主に担当しているのは、
企画 → 取材・撮影 → クリエイティブ制作。
ポスターを作ったり、SNSの投稿画像を作ったりする、コンテンツなんでも屋さんです。

2025年の秋くらいから、AIの出力がかなり良くなってきたと感じ、
「せっかくなら、どこまで効率化できるか試してみよう」
と、ChatGPTやClaudeに課金しました。

自分で制作を進める横で、AIにも同じようなことを頼む。
そんな試運転から始めました。

当時は、ビジュアル重視のポスターをお願いしても、僕が試した範囲では、WordやGoogleドキュメントのように文字が並んだものが出てくることも多く、
「情報は入っているけど、これをポスターと呼ぶには……」
という感じでした。

それが2026年の春、ChatGPTのデスクトップ版でCodexを使い始めると、印象が変わりました。

プロンプトや参考画像をきちんと渡せば、かなり形になったデザインが返ってくる。

これは良かった。
ここまでできるなら、ポスターやSNS画像の制作も、いよいよ任せられるかもしれない。そう期待しました。

2. そして、実際に「任せ」てみると?
企画の情報、日時、場所、ターゲット、出したい雰囲気。
必要そうなことを入力して、ポスターを作ってもらいました。

すると、たしかに指示した要素は入っています。
色も派手。イラストも個性的。目も引く。

でも、何かがおかしい。

「プロンプト通りではあるけれど、違和感がある」
というか、ちょっとグロい。
賑やかにしたかったはずなのに、妙に不気味なイラストだったり、文字と絵がぶつかっていたりする。

そこで、
「もう少し親しみやすく」
「文字を読みやすく」
「この部分は控えめに」
と修正をお願いします。

すると、今度は別の場所に違和感が出る。
直してほしかったところは良くなったけれど、気に入っていたところまで変わってしまう。

この往復を続けた結果、
「ここはもう、自分で直したほうが早いな」
となりました。

ただ、このとき気づいたのは、AIの限界だけではありません。

そもそも僕が「どこがおかしくて、どう直せばいいか」を判断できなければ、修正の指示すら出せない。

「なんか違う」と感じることと、その違和感を解消できることの間には、思っていた以上に距離がありました。

3. AIがくれた素材を、ポスターにする
今回制作したのは、築館のフリーマーケット「マチカリ」のポスターです。

古着、雑貨、布こもの、アクセサリー、ハンドメイド、屋台。
それぞれの個性が集まるイベントなので、ポスターにも賑やかさや、少し変わった面白さを出したいと思っていました。

AIは、そうした雰囲気の素材を次々に作ってくれます。
サイケデリックなイラスト、浮遊するUFO、独特な質感の服やアクセサリー。

単体で見ると、どれも面白い。
「これなら、あっという間に完成するかも」
と思いました。

でも、それらを画面に並べると、
ただの「派手で賑やかな画像」になってしまう。

ポスターには、「見た目の面白さ」と同時に「伝えるべき情報」があります。

何のイベントなのか。

いつ、どこで開催するのか。

どんなものが並ぶのか。

詳しい情報を、どこで確認できるのか。

「面白い絵だったね」で終わってしまったら、来場にはつながりません。

素材が揃ったところから、情報を整理し、読む順番を作り、イベントに行きたくなる一枚にまとめる作業が始まりました。

4.「最後の20%」で、具体的に何をしたのか
AIが作ってくれたものを、実際に使えるポスターへ仕上げる。
この作業を、ここでは「最後の20%」と呼びたいと思います。

もちろん、作業時間を正確に測って20%だったわけではありません。感覚としては、素材が揃って「だいたいできた」と思ってからの仕上げです。むしろ、そこに時間がかかりました。

たとえば、次のような調整です。

① 目立つものを増やすのではなく、読む順番を決める

「マチカリ」「蚤の市」「個性爆発」。
どの言葉も目立たせたくなりますが、全部を同じ強さにすると、どこから読めばいいか分からなくなります。

まずイベント名に目が向き、次に何のイベントかが分かり、そのあと日時や場所を確認できるようにする。

そのために、文字の大きさ、傾き、重なり、周囲の余白を調整しました。大きくすれば解決するわけではなく、隣の文字やイラストとの関係まで見ながら動かします。

② 面白い素材でも、邪魔なら小さくする、外す

AIが作ったUFOや服のイラストは、それぞれ魅力的でした。
でも、全部を主役のように置くと、イベント名より絵のほうが目立ってしまいます。

タイトルの近くにある素材を小さくする。
文字に重なる部分を避ける。
色が浮いている素材は色調を合わせる。
それでもまとまらなければ、気に入っていても外す。

素材単体の良さと、ポスター全体での使いやすさは別でした。

③ 日時や場所を、背景に埋もれさせない

開催日は「2026年11月3日」、
時間は「9:00〜15:00」。
場所は「栗原市 築館総合支所 駐車場」。

こうした情報は、入っているだけでは不十分です。
ぱっと見たときに、読めなければ困ります。

賑やかな背景の上に文字をそのまま置くと読みにくいので、文字の後ろに黒い帯や面を敷く。文字のサイズや行間を整える。周囲の飾りを少し離す。

Instagramへ案内するQRコードも、
置く場所を確保し、
「何の情報が見られるのか」が分かる言葉を添えました。

こうした調整は、一つひとつは地味です。
でも、これをするかどうかで、
「派手な画像」が「情報の伝わるポスター」になる。

そして、どこを直すべきかは、自分で判断する必要がありました。

5. 結局、AIを操るにも、自分でデザインする技量がいる
最初は、AIを使えば、
自分でデザインする技量がなくても制作できるようになると思っていました。

でも今回、僕が実感したのは逆でした。

AIをうまく操るためにも、自分でデザインできる技量がいる。

たとえば、「文字を読みやすくして」と指示するだけでは、狙った修正になるとは限りません。

背景との色の差が足りないのか。
文字が小さすぎるのか。
行間が詰まっているのか。
周囲の装飾が強すぎるのか。

原因が分かれば、指示は具体的になります。
「日付の後ろに濃い色の面を敷いて」
「タイトルよりは小さく、説明文よりは大きくして」
「このイラストを文字から離して」
と伝えられる。

その判断の土台になるのは、自分で文字を置き、色を選び、余白を調整した経験です。

参考画像を渡すときも同じです。
その画像の何が良いのかを理解していなければ、借りたい特徴をうまく伝えられません。

AIが出してくれた案を選ぶにも、修正するにも、完成と判断するにも、自分の中に基準が必要です。

6. むしろ先に、3か月くらい自分で作る修行が必要だと思う
だから、これからAIでデザインを始めたい人には、
むしろ最初に、3か月くらい自分でデザインソフトを、
手動で動かす時間が必要です。

とても苦しい戦いだと思います。

自分でやらなくても完成品が上がってくる世の中で、
自分であえてやる。

ただし、ポスターや商品POPについて、
「他の広告よりも、自分の商品をお客様に覚えてもらうこと。」
広告や宣伝のポイントだとするなら、
なんで目立ててないのか、差別化できてないのか、
その最後の20%は自分で考えるしかないんですね。

自分で考えて、それを手動で動かしたり、AIに頼んだりするわけです。

だってみんなAIに丸投げするから。
それが一番楽だから。
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