「水星逆行だから気をつけて」という言葉を、どこかで目にしたことがあるかもしれません。占星術の言葉のなかでも、これほど広く知られ、これほど悪者にされているものは珍しい気がします。今日は、その水星逆行のお話です。
■ 星が後ろ向きに動きだすわけではない
まず、水星が本当に逆向きに進みはじめるわけではありません。
地球も水星も、同じ向きに太陽のまわりを回っています。ただ、内側を回る水星のほうが速い。追い越される前後の時期には、空の上の水星が一時的に後戻りしているように見えます。電車で隣の電車を追い越すとき、相手が下がっていくように見えるのと似たことです。
つまり逆行とは、位置の関係から生まれる見え方の話です。星が不機嫌になっているわけでも、何かが壊れているわけでもありません。年に三回ほど、それぞれ三週間あまり続きます。
■ なぜ「連絡」や「予定」の話になるのか
水星は、言葉、知らせ、やりとり、移動といったことを受け持つ星だとされてきました。
その水星が、進むのでもなく止まるのでもなく、引き返すように見える。占星術はこの動きを、外へ送り出すはずのものが内へ向き直る時期、と読みます。新しく差し出すよりも、すでに差し出したものを見直すほうへ、働きの向きが変わる。そんなふうにとらえます。
見直しに向いた時期に、確かめないまま前へ進めようとすれば、行き違いも起こりやすくなります。連絡がすれ違う、予定が変わる、といわれるのはそのためでしょう。逆行が失敗を呼ぶというより、向いていないことをしようとすると噛み合いにくい。そういう順序だと思います。
■ むしろ向いていることがある
ですから、この期間を「何もしないでおくとき」と考える必要はありません。頭に「再」のつくことは、むしろこの空と呼吸が合うといわれます。
書きかけの原稿を読み返す。半年前の資料を組み直す。途中でやめた学びに、もう一度戻ってみる。そうしたことが、この時期には自然と起こりやすくなります。
新しい契約や大きな買いものは避けたほうがよい、ともいわれます。これも禁じられているというより、確かめる手間を惜しまないほうがよい、という程度に受け取っておくのがよさそうです。
■ 同じ逆行でも、受け取り方は人それぞれ
逆行が起きている星座が、ご自分の出生図のどのあたりに重なるのか。そこが仕事にまつわる場所か、身近な人にまつわる場所か。それによって、見直しの題材が変わってきます。世の中がざわついていても気にならない方もいれば、その逆の方もいらっしゃいます。
■ おわりに
水星逆行は、空が押す一時停止のボタンのようなものだと思っています。止められているのではなく、一度戻って見るよう促されている。そう考えると、この三週間の使い道も変わってくるのではないでしょうか。
もっとも、これも傾向の話で、何かが決まってしまうわけではありません。ただ、思うように進まない日が続いたとき、空にもそういう時期があると知っていれば、受け止め方が少し変わることがあります。
ご自分の出生図と、これから巡ってくる逆行の重なりを読むこともできます。気になる方は、出品ページからお声がけください。