「部屋まで階段は何段?」に答えられるHPへ。客室12室の旅館が一部屋から整える経路案内

「部屋まで階段は何段?」に答えられるHPへ。客室12室の旅館が一部屋から整える経路案内

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ビジネス・マーケティング
この記事では、エレベーターのない客室12室の小さな旅館を、架空の相談場面として考えます。カバーと図も、経路案内を考えるためのイメージです。

支配人の机に、予約を検討しているお客様から電話が入ります。「母と泊まりたいのですが、部屋まで階段は何段ありますか」。部屋の写真はHPに載せています。玄関の写真もあります。それでも、駐車場から玄関までの坂、客室前の数段、夕食後に浴場へ向かう道のりまでは、電話で説明している。客室係に数え直してもらう間に、お客様が何を確かめたいのか、会話が途切れてしまうことがあります。

この電話を減らすために、最初に取り組みたいのが「一部屋へ実際にたどり着く案内」です。段数や幅などの実測と、進む順番に並んだ写真があれば、お客様も同行者と話し合いやすくなります。支配人にとっても、同じ経路を見ながら相談に答える手掛かりになります。

1.一部屋を選び、駐車場からの道順を一本につなぐ

取り掛かりとして、予約時に部屋を特定できる一室を選びます。部屋の指定を受けていない宿なら、客室タイプと候補の経路を示し、実際の部屋が確定する時期も案内します。同じタイプでも階や廊下が違う場合には、その違いが予約前の相談につながるようにしておきます。

調べる人は、お客様がふだん車を止める場所から歩き始めます。駐車区画、建物への入口、靴を脱ぐ場所、階段の下、踊り場、客室の扉。この順番を紙に書き、曲がる場所や行き先が分かれる場所に印を付けます。近道として使う従業員用の通路を、撮影の日だけ案内経路にしないよう、実際のチェックインの流れで歩きます。

さらに、その部屋から食事処、浴場へもたどってみます。「客室は玄関と同じ階」と説明できても、夕食の会場が別の階にあれば、滞在中には別の階段を使います。一日の動きを並べると、玄関から部屋までの写真に何を補う必要があるかが見えてきます。
駐車場から玄関を経て客室と食事場所と浴場へ分かれる経路の例.png
図1 駐車場から一室へつなぎ、食事処と浴場へ枝を分ける案内例。

経路図は、建物全体を詳しく描き込むほど読みやすくなるわけではありません。まず「駐車場→玄関→今回の客室」を主な線でつなぎ、客室から食事処と浴場へ枝を分けます。階が変わる場所には階段の印を置く。館内図と実際の入口の呼び方もそろえる。それだけでも、電話で「写真の二枚目の階段です」と同じ場所を指せるようになります。

2.段数を数えながら、つまずきやすい説明の抜けを拾う

現地では、階段一か所ごとに段数を記録します。玄関前の二段と、客室階へ上がる階段をまとめて合計にすると、途中の形が伝わりにくくなります。「玄関前」「玄関から客室階」「客室の入口」のように場所を分け、何段上がったあとに踊り場があり、どちらへ曲がるかを残します。撮影をした人とは別の人が歩き、数が合うか確かめる時間も取ります。

段の高さや通路幅を載せるときは、測った場所と測り方を一緒に控えます。高さにばらつきがあれば、すべて同じ高さに見える一つの数値へ丸めず、確認できた範囲を記録します。幅は、扉や置かれている物の位置によって変わることがあります。扉を通常どこまで開けた状態か、荷物置きや傘立てがある場所かも書いておくと、後日見直す人が同じ条件で測れます。

手すりについても、付いている側、始まる位置、踊り場で途切れる箇所を見ます。「手すりあり」と一言でまとめると、下の一段目から続いているように受け取られるかもしれません。写真に位置が写るようにし、説明は観察した状態に合わせます。照明、床面、途中に腰を下ろせる場所などは、確認できた項目から追記します。

数値と写真は、お客様が普段の移動や同行者との予定に照らして相談するための情報として扱います。宿が確認できていない箇所には、確認日と今後の確認が必要な点を残しておきます。

3.写真は、次の一歩が分かる四つの役割で撮る

撮影の準備では、客室の雰囲気を見せる写真に加えて、道順を伝える写真を用意します。入口の正面だけでは、そこへ近づく途中の段差が画面の外に隠れることがあります。まず駐車場側から入口へ向け、歩く方向が分かる一枚を撮ります。写真の説明にも「駐車場側から玄関を見る」と向きを入れます。

二つ目は、階段を上る前の位置から撮った全体です。足元から上までの形、手すり、途中の踊り場が分かるようにします。三つ目は、踊り場や曲がり角から、次に進む方向を撮った写真。四つ目は、客室の扉やその手前の段差です。長い階段や複数の曲がり角では、これらの役割の写真を追加します。四枚に収めるために途中を省かず、進む順番を追える量を選びます。
入口の全体と段差と曲がった先と客室入口を順番に撮る四カットの例.png
図2 進む順番と向きが伝わる写真を用意する例。

方向をそろえて並べると、写真を見た人が、入口から部屋へ進む流れを追えます。行きと帰りの写真が混ざる場合には、その都度向きを書きます。キャプションには、場所、進む先、実測した項目を短く記載します。写真ごとの番号を経路図とそろえれば、電話で確認する際にも便利です。

広く見せるために端を大きく引き伸ばした画像や、段差が暗くつぶれた画像は、道順の説明には使いにくいものです。高さは横からの補足写真を添え、通路幅は実測値も見せます。荷物や椅子を動かして撮った場合は、通常の配置でもう一度確認します。浴場付近の撮影は、営業への影響やお客様の写り込みを避けて行い、案内に必要な通路と入口を中心に考えます。

4.HPでは、部屋を選ぶ場所から経路へ進めるようにする

一室分の素材がそろったら、その部屋や客室タイプの紹介から経路案内へ進めるようにします。ページの見出しは「○○タイプのお部屋までの道順」のように、どこへ向かう説明かが分かる表現にします。冒頭には案内している部屋、階、確認日を記載し、経路図、連続写真、実測項目の順に並べます。スマートフォンでも番号とキャプションが読めるかを、実際の画面で見直します。

食事処と浴場への経路は、それぞれ見出しを分けます。食事会場が日によって変わるなら、案内している会場と、予約時に確認してほしい点を書きます。浴場が時間帯によって替わる運用なら、どの入口までを説明しているのかを明示します。載せた情報が特定の部屋や運用に対応していると分かれば、支配人も変更の影響を見つけやすくなります。
階段の段数や通路幅と手すりの有無などを写真に添える案内項目の例.png
図3 数値は、測った場所・単位・確認日と一組で案内します。

数値の一覧には、単位も必要です。「幅80」だけでは意味を取り違えます。測った箇所、数値、単位、測定日を一緒に残し、写真の番号へ戻れる形にします。たとえば段差の高さを仮の数字で図に示す場合も、実測値と混同しない表示にします。本番の施設案内に使う数字は、現場で確認した値へ入れ替えてから公開します。

ページの終わりには、予約前の相談へ進める連絡先を置きます。「経路の写真をご覧になり、気になる場所の番号と、ご検討のお部屋・宿泊日をお知らせください」と添えると、確認する場所が絞れます。一般の問い合わせフォームに入力してもらう情報も、まずはその範囲から始められます。

5.電話では、写真のどの場所が気になるかを一緒に確かめる

相談を受けた担当者は、お客様が見ている客室と、写真の番号を確かめます。駐車場で降りる位置、階段、食事処への移動など、気になっている場面を聞き、宿の側で確認できる事実を伝えます。部屋を確保できるか、荷物を預かれるか、案内の際にスタッフが対応できるかは、宿泊日や時間帯の運用も調べてから答えます。

身体の状況を尋ねて宿側だけで利用の可否や安全を決める対応は避け、お客様が必要としている移動の条件や予定を確認します。詳しい事情を一般の入力欄へ一度に書いてもらうより、写真で伝わらない点を、適切な連絡方法で相談できる入口を整えておくと進めやすくなります。

説明中に写真と実際の状態が食い違っていると分かったら、担当者は場所と内容を記録します。椅子を移動した、扉の開き方が変わった、会場を替えた。次にその部屋を案内する前に、ページと写真を見直すきっかけになります。支配人が毎回ゼロから説明する負担も、更新すべき場所が分かると少しずつ整理できます。

6.一部屋を一週間で試し、追加する情報を決める

最初の一週間では、一室と、その部屋から使う食事処・浴場までを対象にします。架空の工数例として、経路を書き出すのに一人20分、二人での現地確認に各30分、撮影と整理に一人40分、ページ作成に一人60分、別担当の確認に一人20分を見込むと、延べ時間は20+2×30+40+60+20=200分です。これは作業計画を立てるための仮の数字です。建物の広さや撮り直し、HPの編集方法によって必要な時間は変わります。

既存HPに編集欄があれば、宿で一ページを試作する方法もあります。制作を依頼するときは、現地の測定・撮影を宿が担当するか、図と写真の整理から頼むかを分けて見積りを取ります。ページを作る費用に加え、部屋や会場が変わった際に誰が直すかも決めると、公開後の手間を見込みやすくなります。

現地確認と撮影は、予約や清掃の状況に合わせてまとめて行います。ページを作る人には、経路図、番号付き写真、測定メモを一組で渡します。別の担当者がその資料だけを頼りに歩き、曲がる場所や段数に説明の抜けがないかを見ます。公開前には、今回の部屋と、ほかの部屋に共通する説明の範囲も確認します。
一部屋を選び実測と写真の案内を作って質問で見直す一週間の試行手順.png
図4 一室を選び、現地確認から公開後の見直しまで小さく試す流れ。

一週間で評価したいのは、問い合わせが何件減ったかに加えて、会話がどこまで具体的になったかです。電話の件数が少ない宿なら、短期間で効果を決めるのは難しいでしょう。「写真の三番の踊り場について聞きたい」と相談が進んだか、担当者が現場へ聞き直す項目が分かったかを記録すると、次に撮るべき写真が見えてきます。

明日、HPの客室写真を開いたら、駐車場からその部屋まで続けて説明できるかを確かめてみてください。途中の曲がり角、客室から食事処、浴場までにも写真があるでしょうか。測定日と単位は分かるでしょうか。部屋が変わる可能性を伝え、気になる場所を相談できる入口はあるでしょうか。

一部屋分の案内を、宿の担当者とお客様が同じ順番で見られるようにする。その準備があれば、「階段は何段ありますか」という電話から、どの経路について何を確認したいのかを、一緒に話しやすくなります。

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