設立直後で、実績や採用情報がまだ多くない1〜20名規模の法人向けの記事です。
会社のホームページは、よく「Web上の名刺」と言われます。
名刺という表現は間違いではありません。ただ、会社名、事業内容、住所、問い合わせ先を載せただけでは、名刺以上の仕事をしません。
本来のコーポレートサイトは、会う前の不安を減らし、会社の考え方を伝え、取引・採用・問い合わせの土台を作る場所です。
■ ホームページを見る人は一人ではない
LPは一つの対象者と行動へ絞りやすい一方、会社ホームページには複数の人が訪れます。
・取引を検討している企業
・商品やサービスを探している顧客
・採用へ応募しようとしている人
・金融機関や行政、地域の関係者
・会社名を検索した既存顧客
それぞれ知りたいことが違います。
全員へ同じ文章を見せるのではなく、トップページで会社の全体像を伝え、目的別の情報へ迷わず進める構造が必要です。
■ 最初に伝えるのは「私たちについて」ではない
企業サイトのファーストビューで、抽象的な理念だけを大きく見せる例があります。
理念は大切ですが、初めて訪れた人はまず、
・何をしている会社か
・誰の役に立つ会社か
・何が他社と違うのか
を知りたいと考えます。
その答えが見えた後で、代表の想いや創業背景がブランドの意味を持ちます。
■ 信頼はデザインだけでは作れない
高級感のある写真、余白、落ち着いた色は印象を整えます。しかし、信頼の根拠は見た目だけではありません。
・会社概要が具体的である
・事業内容と提供範囲が分かる
・誰が運営しているか分かる
・実績や事例が確認できる
・問い合わせ後の流れが分かる
・情報が更新されている
・スマートフォンでも崩れず読める
こうした小さな整合性の積み重ねが「任せても大丈夫そう」という感覚になります。
■ ブランドとは、格好よく見せることではない
ブランディングというと、ロゴ、色、写真の世界観を思い浮かべがちです。
しかしブランドは、会社が何を大切にし、誰にどんな価値を約束し、その約束をどのように守るかです。
デザインは、その考え方を一貫して見える形にする手段です。
たとえば地域密着を掲げるなら、地域名を載せるだけでなく、対応範囲、地域での活動、顔が見える情報、相談しやすい言葉まで一貫させます。
■ 5ページでも役割は作れる
大規模なサイトでなくても、
1.トップページ
2.事業・サービス
3.会社の考え方・代表紹介
4.会社概要・実績
5.お問い合わせ
という構成があれば、信頼の基本は作れます。
お知らせを更新できる仕組みがあると、営業案内、採用情報、実績などを自社で発信できます。更新できること自体より「何を、誰に向けて更新するか」を決めることが大切です。
■ 商品を売るページは分けてもよい
会社全体の信頼を伝えるホームページと、特定商品の申込みを取るLPは目的が違います。
ホームページにすべての販売情報を詰め込むより、会社の信頼は公式サイト、広告やキャンペーンは商品別LPと分けるほうが、読み手も迷いません。
ホームページは名刺で終わらせるものではなく、会う前から会社の価値観と誠実さを伝える営業基盤です。
■ 設立直後は「実績がない」ことより「判断材料がない」ことが問題
新設法人では、会社名義の導入実績、受賞歴、大きな取引先をまだ載せられないことがあります。
そこで架空の実績や、前職の成果を会社実績のように見せてはいけません。
実績が少ない時期は、別の判断材料を丁寧に出します。
・代表者や主要メンバーの経歴
・なぜこの事業を始めたか
・対応できる範囲と、できない範囲
・仕事の進め方
・品質を守る確認工程
・料金や見積りの考え方
・問い合わせへの対応時間
・許認可、資格、法人情報
顧客が知りたいのは、派手な数字だけではありません。「依頼した後に、何が起きるかを想像できるか」です。
■ 誰が会社名を検索するかを先に洗い出す
設立直後のサイトは、集客だけを目的にしないほうがよい場合があります。
営業担当から名刺を受け取った取引先は、商談内容と会社サイトが一致するか確認します。採用候補は、仕事内容だけでなく、代表の考え方や働く環境を見ます。金融機関や行政は、所在地、事業、運営主体を確認します。
トップページから全員へ同じCTAを押しつけるのではなく、
・サービスを知りたい
・会社を確認したい
・採用を見たい
・相談したい
という入口を分けます。
アクセス数が少なくても、一件の重要な取引判断に使われることがあります。広告LPと同じ基準だけで価値を測らないことが大切です。
■ 「信用」と「共感」は別の情報で作る
信用は、法人名、所在地、責任者、契約条件、実績、資格など、確認できる事実から生まれます。
共感は、創業背景、顧客への向き合い方、地域や業界への問題意識など、会社の意思から生まれます。
片方だけでは弱くなります。
事実だけを並べると無機質になり、理念だけを語ると根拠が不足します。
「なぜ始めたか」の直後に「具体的に何を提供するか」を置く。「丁寧に対応する」の直後に、ヒアリング、提案、確認、納品の流れを見せる。この組み合わせで、想いが信頼へ変わります。
■ 1〜20名規模の法人サイトで優先したいページ
限られた予算で5ページを作るなら、ページ数より役割を明確にします。
トップページは、会社全体の要約と各目的への入口です。
サービスページは、対象者、課題、提供内容、進め方、料金の考え方を説明します。
会社・代表ページは、創業背景と責任者の顔を見せます。
実績・お知らせページは、公開後に信頼情報を積み上げる場所です。実績がない初期は、準備中の空ページを作るより、事業開始、提携、活動報告、よくある相談などから更新します。
お問い合わせページは、入力欄だけでなく、相談できる内容、返信目安、必要な情報を伝えます。
この5役があれば、見た人の確認行動をかなり支えられます。
■ 「何でもできます」は、新設法人ほど避ける
実績が少ないと、機会を逃したくないため対応範囲を広く書きがちです。
しかし、
「IT全般に対応」
「幅広い業界を支援」
「あらゆるニーズへ柔軟に対応」
だけでは、専門性も依頼場面も分かりません。
最初は、どの顧客の、どの状況で、何を任せられる会社かを狭く示します。
対応可能な周辺業務は、相談例として補足すればよい。入口が具体的な会社のほうが、何を相談すればよいか分かります。
■ デザインで「大企業らしさ」を演じすぎない
黒、金、大きな英語コピー、都会のビル写真を使えば、重厚な印象は作れます。
しかし実際の事業、規模、顧客との距離感に合わないと、会ったときに違和感が生まれます。
小規模法人の強みは、経営者が直接話を聞ける、意思決定が速い、地域や専門領域を深く知っていることかもしれません。
その強みを隠して大きく見せるより、整った情報、誠実な写真、読みやすい文章、一貫した色と書体で「この会社らしい信頼」を作ります。
■ 公開後90日で、信頼情報を増やす
設立時のサイトは完成ではなく、土台です。
最初の30日で、営業や問い合わせで何度も聞かれる質問をFAQへ追加します。
60日までに、許可を得られた案件や活動を実績・お知らせへ掲載します。顧客名を出せない場合も、業種、課題、対応内容を匿名で整理できることがあります。
90日までに、検索されたキーワード、よく見られるページ、フォーム離脱を確認し、トップページの優先順位を調整します。
会社が育つほど、ホームページにも新しい証拠を足します。
■ 公開前の信頼チェック
最後に、経営者自身が次を確認します。
・会社名、住所、代表者、連絡先は一致しているか
・サービスの対象者と提供範囲が分かるか
・確認できない実績や誇張表現がないか
・問い合わせ後の流れが分かるか
・スマートフォンで電話番号やフォームを押しやすいか
・プライバシーポリシーなど必要な表記があるか
・古い仮文章、ダミー画像、制作中のページが残っていないか
新設法人のホームページで最初に売るものは、商品だけではありません。
「この会社は、話を進めても大丈夫」という確信です。
■ 図解で整理する、新設法人の信用設計
ここまでの考え方を、6枚の図で整理します。大きく見せることよりも、誰が見ても必要な判断材料へたどり着けること。信用をつくる事実と、共感を生む会社の意思を分け、公開後も少しずつ証拠を積み上げる設計です。
図1|会社サイトには取引先・顧客・採用候補・金融機関などが訪れます。トップで全体像を伝え、目的別の入口へ分岐させます。
図2|ファーストビューでは、理念より先に「何をする会社か・誰の役に立つか・何が違うか」を示します。
図3|信用は確認できる事実から、共感は会社の意思から生まれます。両方が揃うと、相談へ進める確信になります。
図4|小規模法人でも、トップ・サービス・代表・実績・問い合わせの5つに役割を分ければ判断を支えられます。
図5|「何でもできます」では相談場面がぼやけます。誰のどの状況で何を任せられるかを、具体的な入口にします。
図6|公開は完成ではありません。質問・活動・閲覧データを30日、60日、90日で新しい信用情報へ変えていきます。
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