🎬ごあいさつ
こんにちは。
僕は、「いちぺぇじ」と言います。
見た目はほぼ資料。
中身はほぼ不安。
パソコンの前に座ると、なぜか呼吸が浅くなります。
クリックはできます。
ダブルクリックも、機嫌がいい日はできます。
右クリックは、まだ少し思想が強いので苦手です。
動画編集ソフトを開くと、知らない横文字たちが会議室に入ってきます。
タイムライン。
レイヤー。
トランジション。
エンコード。
レンダリング。
書き出し。
全員、初対面なのに距離感が近い。
僕はまだ名刺交換もしていません。
なのに向こうは、当然のように僕の人生へログインしてきます。
怖いです。
そんな僕が、ある日、友人に言われました。
「結婚式のオープニングムービー、お願いできない?」
その瞬間、僕の人生に知らない通知が来ました。
人生.exe が応答していません。
強制終了しますか?
したい。
とてもしたい。
でも相手は友人です。
しかも結婚式です。
人生で一度きりです。
断ったら、今後ずっと集合写真の端に配置されそうです。
しかも微妙に照明が当たらない位置です。
僕は震える紙の体で言いました。
「や、やってみるよ」
言ってしまいました。
人間はなぜ、できないことを
「やってみる」
と言ってしまうのでしょうか。
僕は人間ではありませんが、紙にも見栄があります。
湿気に弱いタイプの見栄です。
そしてその瞬間、僕の中で何かが生成されました。
たぶん、後悔です。
結婚式まで、あと2ヶ月
友人の結婚式まで、あと2ヶ月。
オープニングムービーを作らなければいけません。
🎬オープニングムービーってどう作る?
オープニングムービー。
披露宴の始まりに流れる、あの映像です。
会場が暗くなる。
ゲストがスクリーンを見る。
音楽が鳴る。
ふたりの名前が出る。
「これから始まるぞ」
という空気が生まれる。
そこで会場が、
「わあ……!」
となるか、
「お、おう……!」
となるか。
この差は、かなり大きいです。
僕はできれば
「わあ……!」
側に行きたい。
でも現実は厳しい。
僕の動画編集スキルは、豆腐でできた橋くらい頼りない。
しかも絹ごしです。
風が吹いたら終わります。
でも、今の時代にはすごいものがあります。
そう。
AIです。
最近、みんな言っています。
AIがすごい。
AIで何でもできる。
AIに聞けば一瞬。
AIで仕事が変わる。
AIで人生が変わる。
じゃあ、結婚式ムービーも作れるはずです。
僕は思いました。
AIがあるじゃないか。
この時の僕は、AIをほぼ魔法の炊飯器だと思っていました。
お米を入れたらご飯が炊けるように、
「結婚式」と入れたら感動ムービーが炊けると思っていました。
ふっくら。
感動。
湯気。
.mp4。
まず、AIに相談しました
僕は震える紙の指で、AIを開きました。
そして、こう打ち込みました。
「結婚式のオープニングムービーを作ってください」
送信。
数秒待ちました。
心の中ではもう、映画みたいなムービーが完成していました。
夜空。
光。
ふたりの名前。
感動的な音楽。
ゲストの涙。
友人からの「お前に頼んでよかったよ」。
僕の静かなガッツポーズ。
紙なので手は薄いですが、たしかにガッツポーズしていました。
するとAIが返してきました。
申し訳ありませんが、直接動画ファイルを作成することはできません。
無理。
は?
僕は画面を見ました。
AIは、もう一度ていねいに言いました。
動画の構成案や台本を作ることはできます。
違う。
僕がほしいのは、構成案ではありません。
いや、構成案も大事です。
今ならわかります。
でもこの時の僕には、そんな理性はありませんでした。
僕がほしかったのは、
完成した動画ファイル.mp4
です。
できれば、こちらが「ありがとう」と言う前に
式場でそのまま流せる状態で出てきてほしかった。
僕は画面に向かって言いました。
「動画は無理やって」
うそやん。
AIはなんでもできるって聞いてたのに。
AIで世界が変わるって聞いてたのに。
世界は変わるかもしれませんが、
僕の結婚式ムービーはまだ1フレームも動いていません。
右肩あたりから声がしました。
「出たで。AI神話の初期崩壊や」
悪魔くんです。
黒いです。
羽があります。
毒舌です。
甘い誘惑をしてきます。
疲れた人間の心に、ちょうどいい温度の毒を流し込んできます。
悪魔くんは笑いました。
「おい、紙。
結婚式の動画作ってで完成品が出てくると思ってたんか。
お前、AIを魔法の炊飯器か何かやと思ってるやろ」
思ってました。
かなり思ってました。
僕はもう一度、AIに聞きました。
「じゃあ、結婚式ムービーをいい感じに作る方法を教えてください」
AIは、ものすごく丁寧に答えてくれました。
まず、写真を集めましょう。
次に、構成を決めましょう。
BGMを選びましょう。
動画編集ソフトで編集しましょう。
なるほど。
正しい。
ものすごく正しい。
でも僕は思いました。
その
「動画編集ソフトで編集しましょう」
の中に、僕の人生の崖が全部詰まっているんですが。
料理でいうと、
「まず材料を買います。次に調理します」
と言われている感じです。
その調理で火柱が上がっているんです。
僕は紙なので、火柱と相性が悪い。
AIは悪くありません。
むしろ優しい。
丁寧。
言葉づかいもきれい。
僕よりかなり落ち着いている。
でも、僕は悟りました。
AIに雑に頼んでも、完成動画は出てこない。
そしてもうひとつ悟りました。
AIは魔法のボタンではない。
AIは何でもできる神ではなく、
ちゃんと頼めば助けてくれる相棒でした。
ただし、こちらが何を作りたいのかを言語化できていないと、
AIはめちゃくちゃ丁寧に、めちゃくちゃ普通のことを返してきます。
つまり、
僕のプロンプトが浅かった。
浅いどころではありません。
水たまりです。
しかも蒸発しかけています。
悪魔くんが言いました。
「プロンプトが浅瀬すぎるわ。足首も濡れへん」
うるさいです。
でも、正しいです。
AIだけでは無理だ。
でも、同時に少しだけ思いました。
ちゃんと使えば、AIはかなり助けてくれるのかもしれない。
問題は、AIではありません。
問題は、
何を頼めばいいのか。
どう頼めばいいのか。
どんな順番で作ればいいのか。
AIにどこまで任せて、どこから自分で考えるのか。
そこが何もわかっていない、僕です。
見た目は資料。
中身は未整理。
最悪の組み合わせです。
🎬次に、YouTubeを見ました。
文明にすがりました。
AIに完成動画を出してもらう夢が、
そっと棺に入ったので、
次に僕はYouTubeを開きました。
検索窓に打ち込みます。
結婚式 オープニングムービー 自作
オープニングムービー おしゃれ 作り方
結婚式ムービー AI
初心者でもできる Premiere Pro
助けて 友人 結婚式 ムービー 頼まれた 紙
最後の検索で、YouTubeが一瞬黙りました。
たぶん向こうも困ったんだと思います。
すると、画面に出てきました。
いい感じのムービー。
絵本みたいに始まるやつ。
映画予告みたいなやつ。
お城が出てくるやつ。
キラキラが舞うやつ。
文字がふわっと出るやつ。
ゲストが「わあ……」って言いそうなやつ。
僕は思いました。
これ作りたい。
そして0.2秒後に思いました。
どうやって作るねん。
すると、YouTubeが話しかけてきました。
「どうも〜!今回は初心者でも簡単にできる、結婚式オープニングムービーの作り方を紹介します!」
簡単。
出ました。
インターネット界で最も信用してはいけない言葉のひとつです。
動画の中の人は言います。
「まずは素材を用意して、タイムラインに並べていきます」
ん?待ってください。
タイムラインって何ですか。
人生にもタイムラインがあります。
僕のタイムラインは今、
友人の結婚式ムービーという急カーブで横転しています。
YouTubeは続けます。
「ここで軽くトランジションを入れます」
軽く?
軽くとは?
こちらはもう心臓が重いんですが。
「あとは雰囲気に合うBGMを入れて、書き出せば完成です!」
あとは。
出ました。
料理動画でいうところの、
「ここで一晩寝かせたものがこちらです」
と同じくらい、初心者を置き去りにする言葉です。
僕は画面に向かって言いました。
「その“一晩”を見せてください」
YouTubeは黙って、次のおすすめ動画を出してきました。
冷たい。
人類の叡智、たまに距離を取ってきます。
🎬いい感じの動画には、知らない二人の名前が入っている。
さらに探すと、ものすごく素敵なオープニングムービーを見つけました。
夜空。
お城。
光。
魔法。
壮大な音楽。
絵本が開くような始まり。
最高です。
僕は思いました。
これをダウンロードして、名前だけ変えたい。
その瞬間、画面に出てきました。
TAKA & YUI
違う。
僕の友人はTAKAでもYUIでもありません。
TAKAさんとYUIさんには幸せになってほしい。
心から思っています。
たぶん素敵な夫婦です。
ご祝儀を包むほどの関係ではありませんが、幸せは願っています。
でも今回だけは、画面から一度ご退出いただきたい。
僕が欲しいのは、友人の名前です。
すると、動画の中のTAKA & YUIが、こちらを見て言いました。
私たちの物語を、勝手に使わないでください。
ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
僕は紙のくせに、倫理の角で手を切りました。
そのとき、悪魔くんが言いました。
「ええやん。TAKA & YUIの上に白い四角かぶせたら」
やめてください。
その発想は、法務部がチャペルの扉から入場してくるやつです。
悪魔くんは続けます。
「白い四角で隠して、上から友人の名前入れたら完成や。
人類は細部見てへん。
新婦のお母さんは泣いてるから気づかん」
最低です。
でも、疲れている時ほど、最低な提案は甘く聞こえます。
悪魔くんはさらに言いました。
「ほな、夢の国っぽいやつ作れ。
城。夜空。キラキラ。魔法。はい感動。
著作権?ワシ悪魔やぞ。知らんがな」
強い。
あまりにも立場が無責任です。
でも正直、わかります。
いい感じのムービーを見たら、真似したくなる。
そのままダウンロードして使いまわしたくなる。
名前だけ変えたくなる。
なぜなら、ゼロから作るのが怖いからです。
白紙が怖い。
タイムラインが怖い。
動画編集ソフトの起動画面が、裁判所の入口みたいに見える。
でも、心のどこかではわかっていました。
それは、友人のムービーではありません。
それは、TAKA & YUIの魂に白い四角をかぶせた何かです。
僕は、やめました。
えらい。
紙にしては、倫理がありました。
🎬本屋に行きました。
Premiereの本を買いました。
僕は思いました。
ちゃんと学ぼう。
悪魔くんが言いました。
「急に優等生ぶるな。お前は保存先も怪しい紙やぞ」
うるさいです。
僕は本屋に行きました。
動画編集コーナーに立ちました。
そこには、Premiere Proの本が並んでいました。
分厚い。
強そう。
表紙からすでに
「私はあなたを置いていきます」
と言っています。
でも僕は買いました。
家に帰り、机に置きました。
すると本が話しかけてきました。
「ようこそ。まずはワークスペースの説明から始めましょう」
ワークスペース。
もう怖い。
僕のワークスペースは、
机の上にレシートとみかんの皮が共存している場所です。
そこにPremiereの思想を持ち込まないでください。
本は続けます。
プロジェクトパネルに素材を読み込みます。
プロジェクトパネル。
タイムラインに配置します。
タイムライン。
エフェクトコントロールで調整します。
エフェクトコントロール。
最後にメディアを書き出します。
メディアを書き出す。
一語一語が、僕の紙の体に刺さってきます。
でも、確かに書いてあります。
カットの方法。
テロップの入れ方。
音量調整。
トランジション。
書き出し設定。
すごい。
Premiereの使い方は、ちゃんと書いてある。
でも僕は、そっと本を閉じました。
そして思いました。
オープニングムービーの作り方は、どこに書いてあるんですか。
包丁の持ち方はわかりました。
火加減もわかりました。
でも、僕が作るべき料理がまだ決まっていません。
フレンチなのか。
おにぎりなのか。
披露宴の開始3分前に出していい何かなのか。
Premiere本は悪くありません。
でも、僕が知りたかったのは、
「このボタンを押すと文字が出ます」
ではなく、
どう始めればゲストが引き込まれるのか。
どう構成すればふたりらしくなるのか。
どこに写真を入れれば感情が動くのか。
AIをどう使えば“それっぽい”じゃなく“物語”になるのか。
でした。
すると、Premiere本が静かに言いました。
それは私の担当ではありません。
でしょうね。
あなたは操作説明の人です。
物語の人ではない。
僕は本に軽く会釈しました。
Premiere本も軽く閉じました。
たぶん向こうも疲れていました。
🎬それでも僕は、作りました
ここまで来たら、もう作るしかありません。
AIには動画を断られました。
YouTubeには「あとは書き出せば完成です」と言われました。
TAKA & YUIには、画面の中から倫理で見つめられました。
Premiere本には「担当外です」と言われました。
四面楚歌です。
いや、四面素材です。
それでも僕は、作りました。
友人の結婚式オープニングムービー。
YouTubeを見て。
Premiereの本を読んで。
素材を集めて。
写真を並べて。
BGMを入れて。
キラキラも散らして。
僕は思いました。
できた。
正確には、できた気がしました。
ファイル名はもちろん、
完成版_最終_本当にこれでいく_たぶん.mp4
です。
この時点で、すでに不安がファイル名から漏れています。
そして僕は、再生ボタンを押しました。
僕の作ったムービーは、かなりダサかった
まず、黒背景。
白い文字で、
Welcome to our Wedding
出ました。
なぜか英語です。
普段「了解です」しか言わない僕が、急に披露宴で英語を使い始めました。
紙のくせに、海外ドラマのオープニングに憧れています。
そして写真が出ました。
右から左へ、スーッ。
次の写真も、右から左へ、スーッ。
また次の写真も、右から左へ、スーッ。
全部、右から左へ。
まるで新郎新婦が、ベルトコンベアで運ばれているようでした。
悪魔くんが横で言いました。
「ええやん。人類は横移動に弱いからな」
弱くないです。
たぶん、そんな生物学はありません。
さらに、キラキラを入れました。
画面の端から、謎の光が降ってきます。
祝福というより、何かの粉です。
会場で流したら、親族が
「これは演出なのか、プロジェクターの不具合なのか」
で少し迷いそうです。
BGMは感動系にしました。
でも映像が写真スライドなので、音楽だけが先に泣いています。
画面はまだ何もしていないのに、BGMだけが
「さあ、泣け」
と言ってきます。
怖いです。
感情の押し売りです。
そしてテロップ。
新郎、〇〇。
優しくて、頼れる存在。
新婦、〇〇。
笑顔が素敵で、周りを明るくする存在。
悪くはありません。
悪くはないのですが、どこかで見たことがあります。
たぶん、全国の結婚式場のスクリーンで、何千回も転生している文章です。
テロップが言ってきました。
私は量産型です。よろしくお願いします。
よろしくしないでください。
僕は友人のために作っているはずなのに、
できあがったものは、誰にでも当てはまりそうな、
ふわっとした祝福の湯気
みたいな映像になっていました。
そしてラスト。
写真がふわっと消えて、こう出ました。
本日はお越しいただきありがとうございます
突然の業務連絡。
さっきまで感動BGMが泣いていたのに、最後だけ受付スタッフみたいになりました。
僕は再生を止めました。
部屋が静かになりました。
パソコンのファンの音だけが聞こえます。
そして僕は、はっきりと思いました。
ダサい。
これは、くそダサい。
いや、正確に言うと、
一生懸命作った感じはある。
努力の形跡はある。
誠意もある。
友人を祝いたい気持ちもある。
でも、ダサい。
「いい人が作った、かなりダサいムービー」
になっていました。
一番つらいやつです。
悪意がない。
ふざけてもいない。
ちゃんと頑張っている。
なのに、ダサい。
これはもう、映像界のやさしい事故です。
僕は画面を見つめました。
画面の中の写真たちも、少し気まずそうでした。
新郎の写真が言っている気がしました。
俺、このタイミングで右から流れる必要あった?
新婦の写真も言っている気がしました。
このキラキラ、私の人生に関係ある?
BGMも小さく言いました。
ごめん、俺だけ泣きすぎた。
Premiereのタイムラインは無言でした。
でもその沈黙が一番きつい。
「で、これを本当に式場で流すんですか?」
そう聞かれている気がしました。
僕は、心の中でそっと答えました。
流したくないです。
友人の結婚式を、
横移動とキラキラと汎用テロップだけで始めたくない。
これは、ふたりの物語ではありませんでした。
これは、写真が順番に通過していく映像でした。
ふたりが主役のはずなのに、
主役はたぶんトランジションでした。
悪魔くんは言いました。
「ええやん。式場暗いし、みんな料理楽しみにしてるし、細かいこと気にせんて」
🎬その瞬間、部屋の奥から静かな声がしました。
「ページくん。
それは“作った”のではない。
写真を並べただけだ」
厳しい。
でも、正しい。
声の主は、どらまいず監督でした。
どらまいず監督、登場
どらまいず監督は、黒いベレー帽をかぶっていました。
丸メガネ。
ひげ。
MacBook。
落ち着いた表情。
「全部見えてますよ」みたいな顔。
できていない人ほど、落ち着いた人を見ると怖いです。
先生に白紙のテストを見られる感じです。
僕は本当に白紙に近いので、余計につらい。
監督は言いました。
「ページくん。
ムービーに必要なのは、写真の枚数ではない。
流れだ」
流れ。
監督は続けます。
「なぜその写真が、そこで出るのか。
なぜその言葉を、そこで届けるのか。
ゲストにどんな気持ちで披露宴を迎えてほしいのか。
その設計がないと、どれだけキラキラを足しても、ただのスライドショーになる」
僕は黙りました。
紙なので、もともと声量は少なめです。
でもこのとき、はっきりわかりました。
僕に足りなかったのは、Premiereの操作だけではありません。
足りなかったのは、
オープニングムービーの作り方そのもの
でした。
どんな始まりにするのか。
ゲストをどう引き込むのか。
ふたりをどう登場させるのか。
写真をどこで使うのか。
最後にどう披露宴へつなげるのか。
そこを決めないまま編集したから、
僕のムービーは、
横に流れる思い出資料
になってしまったのです。
見た目が資料の僕が、
資料みたいなムービーを作ってしまいました。
存在と成果物が一致してしまいました。
つらいです。
でも、ここからでした。
監督は言いました。
「大丈夫だ、ページくん。
ここから作り直せる」
悪魔くんは言いました。
「え、またやるん? 紙、燃えるで」
燃えません。
燃えそうではあります。
でも、やります。
だって友人の結婚式です。
「なんかダサいけど頑張ったね」ではなく、
「これ、ふたりらしいね」と言われる始まりにしたい。
僕は、監督に言いました。
「この作り方を、僕に教えてください」
でも、監督にはひとつ問題がありました
僕は、どらまいず監督に聞きました。
「監督は、結婚式のオープニングムービーを作ったことがあるんですか?」
監督は、静かに答えました。
「ない」
ないんかい。
僕は紙の体から、かすかに音を立てました。
たぶん、心の角が折れた音です。
悪魔くんがすぐに笑いました。
「ないんかい!
結婚式ムービー作ったことない監督に、結婚式ムービー教わろうとしてたんか。
おい紙、お前の人生、だいぶ攻めてるな」
たしかに。
僕は、結婚式ムービーを頼まれたパソコン音痴の紙です。
そして目の前にいるどらまいず監督は、結婚式ムービーを作ったことがない。
終わった。
このプロジェクト、開始早々に席次表から消えそうです。
でも、監督は続けました。
「ただ、オープニングには、ずっとこだわってきた」
そう言って、監督は自分のYouTubeを見せてくれました。
そこには、AIを使っていない映像が並んでいました。
使ってないの!?
悪魔くんが叫びました。
「AIでやるんちゃうんかい!
肩書きが先に走りすぎとるやないか!」
僕も少し思いました。
でも、動画を見て黙りました。
オープニングの作り込みが、すごかったのです。
最初の数秒で、世界観が立ち上がる。
視聴者を引き込む。
ただ始まるのではなく、ちゃんと“入場”させる。
タイトルの出し方。
間の取り方。
音の入り方。
画面の切り替わり。
「これから何かが始まる」という空気の作り方。
僕は思いました。
この人、オープニングに住んでる。
普通の人が玄関から入るところを、
この人はオープニング演出から入ってくるタイプです。
しかも、そのYouTubeはすごいことになっていました。
たった9本の動画で登録者1万人超え。
1本目の動画は100万再生級のバズ。
僕は画面を見ながら言いました。
「え、これ……すごくないですか?」
悪魔くんも、少し黙りました。
そして小声で言いました。
「……オープニングのこだわり、だいぶ変態やな」
褒めているのか、悪口なのか、よくわかりません。
でも、その通りでした。
どらまいず監督は、結婚式ムービーを作ったことはない。
でも、
人を映像に引き込む“始まりの作り方”
を知っている。
そして僕は、思いました。
結婚式のオープニングムービーに必要なのも、まさにそれではないか。
ただ写真を流すことではなく。
ただ名前を出すことではなく。
ただキラキラさせることではなく。
ゲストを、ふたりの物語へ連れていくこと。
披露宴の空気を、最初の数分で作ること。
「これから、ふたりの時間が始まる」
そう感じてもらうこと。
監督は言いました。
「今までは、AIを使わずにオープニングを作ってきた。
でも、AIを使えば、もっと可能性が広がる」
悪魔くんが言いました。
「ほう。つまり未経験ジャンルにAIで殴り込むんやな」
言い方。
監督は続けました。
「絵本のような世界。
映画のような導入。
テーマパークのようなワクワク感。
水のアトラクションのような流れ。
そういう表現を、
結婚式ムービーにも、
商品PRにも、
YouTubeにも、
講座にも、
イベントにも持ち込めるはずだ」
僕は、少しだけ胸が熱くなりました。
紙なので、燃えない程度に。
監督は、僕を見て言いました。
「ページくん。
君と一緒にやりたい」
僕は固まりました。
パソコンの前で固まるのは慣れていますが、
人からまっすぐ何かを言われて固まるのは、
また別の種類のフリーズです。
悪魔くんが言いました。
「おい紙。ここで断ったら、ただの資料やぞ」
たしかに。
僕は資料ではあります。
でも、ただの資料では終わりたくありません。
友人の結婚式ムービーを、
かっこ悪いスライドショーで終わらせたくない。
YouTubeを見てもわからなかった。
Premiere本を読んでもわからなかった。
AIに丸投げしても、礼儀正しい普通しか出てこなかった。
でも、この人となら、
ただの写真スライドではない、
ちゃんと“始まり”になるムービーを作れるかもしれない。
僕は言いました。
「はい。ぜひ」
声は小さかったと思います。
紙なので。
でも、その瞬間、僕の中で何かが起動しました。
人生.exeが、少しだけ応答しました。
そして、僕たちは比較してみることにした
まずは、僕が作ったムービー。
かっこ悪い素人スライドショー。
写真が横に流れる。
謎のキラキラ。
明朝体の「Welcome」。
BGMだけ感動的。
テロップは全部説明。
写真の順番に意味がない。
最後だけ急に「本日はお越しいただきありがとうございます」。
まるで、披露宴のオープニングというより、
地区センターの思い出上映会です。
悪いわけではありません。
でも、結婚式の始まりとしては、ちょっと弱い。
いや、正直に言います。
かなり弱い。
弱すぎて、映像の足腰がぷるぷるしています。
次に、どらまいず監督が考えたムービー。
同じように、ふたりの写真を使います。
でも、いきなり写真を並べません。
まず、世界観を決める。
たとえば、一冊の絵本が開く。
まだ白紙だったページに、ふたりの名前が浮かび上がる。
小さな光がページの上を走る。
ページをめくるたびに、ふたりの物語が始まっていく。
子どもの頃の写真。
出会い。
笑顔。
日常。
今日という日へつながる道。
写真は、ただ並ぶのではありません。
物語の中で意味を持つ。
テロップも、ただ説明するのではありません。
感情を運ぶ。
BGMも、ただ泣かせにくるのではありません。
会場を、ふたりの世界に連れていく。
監督は言いました。
「ページくん。
まず写真を並べるのではない。
ゲストを、ふたりの物語へ案内するんだ」
僕は思いました。
同じ写真を使っているのに、
なぜか僕の方だけ卒業制作の未提出感があります。
同じ素材なのに。
同じ友人なのに。
同じ結婚式なのに。
構成が違うだけで、こんなに変わる。
僕は、その比較を見て思いました。
これ、どうやって作るんですか。
そしてたぶん、この記事を読んでいるあなたも、どこかで思うはずです。
動画素人でも作れる
その作り方、教えてください。
このアカウントは、そのための場所です。
🎬どらまいずの3人
ここで、改めて登場人物を紹介します。
僕/いちぺぇじ
あなたにいちばん近い存在です。
パソコン音痴。
動画編集こわい。
AIもよくわかっていない。
でも、大事な人や大事な企画を、雑に済ませたくない。
見た目はほぼ資料。
中身はほぼ不安。
たまに自分の存在形式に疑問を持ちます。
悪魔くんからは、
「おい、紙」
と呼ばれます。
どらまいず監督からは、
「ページくん」
と呼ばれます。
口癖は、
「僕で大丈夫ですか?」
「保存ってどこですか?」
「今、心のタイムラインが崩れました」
「Premiereが僕を見ています」
「AIにも困られました」
です。
自虐シュール担当です。
心が未保存になりがちです。
悪魔くん
あなたの中にいる、サボりたい心の代弁者です。
毒舌。
甘い誘惑。
テンプレに誘ってきます。
口癖は、
「テンプレでええやん」
「写真流してキラキラや」
「お城出しとけ。人類は城に弱い」
「初心者が世界観とか言い出したら危ないで」
「AIに丸投げでええやん」
「生成ガチャ回そか」
です。
むかつきます。
でも疲れているときには、少し正しく聞こえます。
そこがいちばん悪魔です。
どらまいず監督
このアカウントの案内役です。
優しいです。
でもクセが強いです。
すぐ深イイことを言います。
AIのことを
暴走しがちな新人AD
だと思っています。
オープニング演出へのこだわりが異常です。
最初の数秒で世界観を立ち上げる。
人を引き込む。
「これから始まる」という空気を作る。
その技術と、AIの可能性を組み合わせて、
オープニングムービーの新しい作り方を探していきます。
口癖は、
「ページくん。主人公を立たせろ」
「真似るのではなく、翻訳しろ」
「編集の前に、設計だ」
「大丈夫。順番に作れば完成する」
「生成の前に、構成だ」
です。
たまに良いことを言うので、悪魔くんが嫌そうな顔をします。
その顔を見るために、僕は少し頑張れます。
🎬このアカウントでやること
このアカウントでは、パソコン音痴の僕が、
毒を吐く悪魔くんに毎回足を引っ張られながら、
どらまいず監督と一緒に、
オープニングムービーを作る方法
を発信していきます。
ただの動画編集講座ではありません。
Premiereのボタンだけを教える場所ではありません。
YouTubeの
「簡単です!」
を信じて心が折れた人の避難所です。
TAKA & YUIの名前を消したくなった人を、
ギリギリこちら側に連れ戻す場所です。
AIに
「直接動画は作れません」
と言われて、AI神話が一度、静かに葬儀を始めた人のための場所です。
ここで作りたいのは、
写真を横に流しただけのムービー。
テンプレを少しいじっただけのムービー。
どこかで見たことある“それっぽい感動”。
お城とキラキラで強引に押し切る魔法風味の何か。
最後だけ突然、受付スタッフになる業務連絡ムービー。
ではありません。
主人公がちゃんと立ち上がる、
世界観のあるオープニングムービー
です。
🎬結婚式だけではありません。
商品PR。
YouTube。
講座。
イベント。
プレゼン。
個人ブランド。
地域プロジェクト。
何かが始まる瞬間には、必ず主人公がいます。
その主人公を、最初の10秒でどう立たせるか。
それが、どらまいずのテーマです。
誰もが、物語の主人公になれる。
どらまいずが信じているのは、これです。
誰もが、物語の主人公になれる。
特別な人だけが、主人公なのではありません。
結婚式を迎えるふたりも。
新しく商品を届けようとしている人も。
YouTubeを始める人も。
講座を作る人も。
イベントを開く人も。
プレゼンで何かを伝えようとしている人も。
その始まりには、必ず主人公がいます。
ただ、まだ
どう始めれば物語になるのか
を知らないだけです。
僕もそうでした。
すぐ情報を並べる。
すぐBGMに頼る。
すぐ光らせる。
すぐAIに丸投げする。
そのたびに、悪魔くんが笑います。
「おい、紙。
人類は忙しいんや。
物語なんか探してる暇ないで」
でも、監督は言います。
「ページくん。
忙しい人ほど、物語を必要としている。
人は情報では動かない。
主人公に出会った時に、心が動くんだ」
僕は、この言葉を信じています。
🎬結婚式まで2ヶ月。大丈夫、間に合います。
ここを読んでいるあなたも、もしかすると今、焦っているかもしれません。
友人の結婚式ムービーを頼まれた。
自分たちのオープニングムービーを作りたい。
外注すると高い。
テンプレは嫌。
でも動画編集はわからない。
AIも気になる。
YouTubeは見た。
Premiereの本も買った。
AIにも聞いた。
でも、作り方がわからない。
そして結婚式まで、あと2ヶ月。
大丈夫です。
間に合います。
本当に大丈夫です。
ただし、いきなり編集ソフトを開くと、
タイムラインに精神を吸われます。
いきなりYouTubeを見すぎると、
「みんな簡単そうに言うのに、自分だけできない」
という謎の孤独が発生します。
いきなりAIに
「いい感じのムービー作って」
と頼むと、AIはとても丁寧に、ものすごく無難な、
礼儀正しい普通
を差し出してきます。
必要なのは、才能ではありません。
必要なのは、順番です。
まず、どんなムービーにしたいかを決める。
次に、主人公を見つける。
その次に、物語を整理する。
そこから、構成を作る。
必要なシーンをAIで作る。
写真を入れる場所を決める。
最後に編集する。
この順番で進めれば、2ヶ月あれば間に合います。
悪魔くんは言います。
「2ヶ月あると思って油断するやつが、最後の3日で泣くんや」
これは正しいです。
悪魔くん、たまに正論を毒に漬けて出してきます。
YouTubeではわからなかった“作り方の作り方”を出します
YouTubeには情報がたくさんあります。
Premiereの使い方もあります。
CapCutの使い方もあります。
Canvaの使い方もあります。
AI動画の作り方もあります。
でも、僕が本当に知りたかったのは、
オープニングムービーを、どう考えて、どう組み立てて、どう完成まで持っていくか
でした。
つまり、
操作方法ではなく、設計図。
素材ではなく、構成。
テンプレではなく、物語。
ここがわからないと、何を見ても迷子になります。
YouTubeを見れば見るほど、
「あれもできそう」
「これも良さそう」
「この演出すごい」
「このBGMいい」
「このテンプレもいい」
となって、最終的に何も作れなくなります。
情報が多すぎて、脳内で小さな披露宴が炎上します。
このアカウントでは、そこを整理します。
まず何を決めるべきか。
どの順番で作ればいいか。
どこでAIを使えばいいか。
どこは自分たちの写真や言葉を使うべきか。
どうすれば、その人らしさ、その企画らしさが残るか。
ここを、順番に解説していきます。
🎬どらまいずでできること
どらまいずでは、
人生・商品・企画・挑戦の主人公が立ち上がる
オープニングムービーを作ります。
目指しているのは、“上手い動画”ではありません
ここで大事にしたいのは、映像の上手さだけではありません。
もちろん、見た目は大事です。
テンポも大事です。
構成も大事です。
でも一番大事なのは、
そのムービーを見た人が、ちゃんと嬉しいこと。
「自分たちらしい」
「頼んでよかった」
「これで始められてよかった」
そう思ってもらえること。
ゲストが笑ったり、少し泣いたり、
「ふたりらしいね」と言ってくれたりすること。
お客さんが、商品に興味を持つこと。
視聴者が、YouTubeの続きを見たくなること。
講座の受講者が、「学んでみたい」と思うこと。
イベントの参加者が、「ここから始まるんだ」と感じること。
それが一番大事です。
AIを使う理由は、手抜きをするためではありません。
自分ひとりでは届かなかった表現に、手を伸ばすためです。
……と、監督が言っています。
僕はその横で、まだ保存場所を探しています。
最後に
オープニングムービーは、ただの映像ではありません。
空気を作る、最初の一歩です。
会場が暗くなる。
音楽が流れる。
スクリーンに物語が映る。
その瞬間に、
「あ、これから何かが始まる」
と思ってもらえる。
それが、オープニングムービーの力です。
そしてそれは、プロだけのものではないと思っています。
動画編集が得意じゃなくても。
AIに詳しくなくても。
Premiere本に一度敗北していても。
YouTubeの「簡単です!」に心を削られていても。
AIに「直接動画は作れません」と言われて、椅子ごと少し沈んでも。
TAKA & YUIの名前を消したい衝動に負けかけても。
結婚式まであと2ヶ月でも。
大丈夫です。
間に合います。
このアカウントは、そのための場所です。
僕は、紙です。
見た目はほぼ資料。
中身はほぼ不安。
たまにパソコンに軽く拒絶されます。
でも、大事な人の物語を、
大事な商品を、
大事な企画を、
大事な挑戦を、
「それっぽい」で終わらせたくない。
だから、どらまいず監督と一緒に作っていきます。
悪魔くんは今日も言います。
「テンプレでええやん」
「写真流しとけ」
「締切近いぞ」
「もう寝ろ」
「AIに丸投げでええやん」
「生成ガチャ回したらそのうち当たるやろ」
うるさいです。
でも、きっと大丈夫です。
完璧な人だけが、誰かの物語を作れるわけではないから。
不安なままでも。
ポンコツなままでも。
保存場所がわからないままでも。
タイムラインに「で?」と言われても。
Premiere本に「担当外です」と言われても。
AIに「直接動画は作れません」と言われても。
YouTubeに「あとは書き出せば完成です」と置き去りにされても。
大切な人のために、何かを作ろうとするその気持ちは、
もうすでに、ムービーの始まりなのだと思います。
というわけで。
これが
どらまいずの物語です。
ページくん、起動します。
たぶん。
Premiereがこちらを見ています。
怖いです。
誰もが、物語の主人公になれる。
Drama Is...
どらまいず