悪質な広告は、なぜYouTubeに表示されるのか

悪質な広告は、なぜYouTubeに表示されるのか

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2026年の実情を踏まえ、実際に起きている問題、広告審査の仕組み、詐欺広告がすり抜ける理由、プラットフォーム側の責任という観点から解説します。

ここでいう「悪質な広告」とは、著名人の画像や名前を無断で使った投資詐欺、偽の金融サービス、偽通販、詐欺サイトへの誘導、実態を誤認させる広告などを指します。

重要なのは、YouTubeに広告が表示されることと、その広告の内容がYouTubeによって事実確認され、信頼できると保証されていることは、まったく別だという点です。

YouTubeを運営するGoogleは広告掲載に関するポリシーを設けています。それでも悪質な広告が表示されるのは、広告の審査・配信・監視という複数の段階に、人間による確認だけでは解決できない問題があるためです。



1. 2026年に確認できる実態:詐欺広告はYouTubeにも入り込んでいる

実例①:著名人の偽動画を使った投資詐欺

2025年10月、英国の消費者団体 Which? は、YouTube上で著名人の偽動画を使った投資詐欺広告が確認されたと報告しました。

問題となったのは、「Quantum AI」という名称で知られる投資詐欺の手法です。広告や動画では、著名人が投資サービスを推薦しているかのように見せかけ、暗号資産などへの投資を促していました。

こうした詐欺では、視聴者を外部サイトに誘導し、少ない労力で大きな利益が得られるかのように宣伝します。最初は利益が出ているように見せても、実際に資金を引き出そうとすると応じないなど、被害につながる危険があります。
Which?(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

この事例から分かるのは、単に広告の文章が不自然かどうかを調べるだけでは、詐欺を見抜けないということです。

- 有名人の顔や声が使われている。
- 実際のインタビューに似せた動画が流される。
- 有名人本人が推薦しているように見える。
- 投資で利益を得られるという説明が添えられている。

生成AIによって映像や音声を加工できるようになったことで、こうした偽装は以前よりも説得力を持つようになっています。

ただし、著名人が登場する広告がすべて偽物というわけではありません。問題は、本人の許可なく映像や音声を利用し、実際には存在しない推薦関係を捏造することです。

出典:英国の消費者団体 Which? による2025年10月8日の調査報告「Which? finds deepfake investment scams on YouTube」
Which?(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)


実例②:日本政府も、なりすまし詐欺広告への対策強化を要請

日本でも、著名人の名前や肖像を無断で利用した投資詐欺広告が問題になっています。

経済産業省は2024年6月、著名人や有名企業になりすました偽広告への対応について、プラットフォーム事業者から聞き取りを行い、各社の取り組みを評価した結果を公表しました。
経済産業省(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

さらに2026年8月7日には、警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省、経済産業省の7府省庁が、Google、LINEヤフー、Meta、TikTok Japan、Xに対し、なりすまし詐欺広告への対策強化を要請しました。

政府が問題視しているのは、ディープフェイクなどを利用して著名人が投資サービスを推薦しているように見せかけ、利用者を詐欺に誘導する広告です。こうした広告は、金銭的な被害を引き起こすだけでなく、名前や肖像を無断使用された本人の社会的信用も傷つけます。
デジタル庁(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

この政府の動きは、2026年時点でも、プラットフォーム事業者の対策が重要な社会的課題になっていることを示しています。




2. なぜYouTubeは、悪質な広告を事前に排除できないのか

運営元の Google は、広告に関する審査基準を設け、違反広告のブロックや広告主アカウントの停止を行っています。

それにもかかわらず、悪質な広告が表示されるのには、いくつかの理由があります。


理由①:広告の審査は、すべての詐欺を見抜くための完全な仕組みではない

Googleの広告ポリシーでは、詐欺的な商慣行、虚偽の推薦、誤解を招く表示、信頼できない主張などが禁止されています。

例えば、次のような広告はポリシー違反に該当し得ます。

- 有名人が推薦しているように見せかける投資広告。
- 実際には存在しない商品やサービスを宣伝する広告。
- 非現実的な利益が得られると期待させる広告。
- 企業やサービスの正体を隠して、利用者を誤認させる広告。

違反が確認された場合、Googleは広告を停止したり、悪質な広告主のアカウントを停止したりすることがあります。特に重大な違反については、事前の警告なしにアカウントを停止する場合もあります。Google 広告ポリシー(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

しかし、禁止されていることと、違反を事前に100%検出できることは別です。

広告の画像や文章だけを見ても、その広告主が本当に金融サービスを提供しているのか、著名人の推薦が本物なのか、広告のリンク先で詐欺が行われているのかを完全に判断するのは困難です。

広告主が正規の企業を装っていたり、広告の内容とリンク先の実態が異なっていたりすれば、審査を通過してしまう可能性があります。

Google自身も、広告の審査に加え、広告主の身元確認や、広告・ウェブサイト・アカウントなど複数の情報を用いた調査を行う仕組みを説明しています。Google 広告ポリシー(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)


理由②:詐欺業者は、審査をすり抜けるために手口を変える

悪質な広告を出す側は、単に同じ広告を繰り返し掲載するだけではありません。

広告の審査を回避しようとする業者は、広告の内容や誘導先を変更したり、複数のアカウントやウェブサイトを利用したりすることがあります。

Googleは、審査システムを欺いたり回避したりする行為を「Abusing the ad network(広告ネットワークの不正利用)」として禁止しています。

その具体例には、審査時には問題のないコンテンツを見せ、実際の利用者には別のリンク先を表示する「cloaking(クローキング)」などがあります。
Googleのポリシー情報(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

このような行為が厄介なのは、広告を一度審査するだけでは、掲載後も同じ状態が維持されるとは限らないことです。

つまり、広告審査は掲載前に一度行えば終わりという単純な作業ではありません。掲載後の監視や、問題が発覚した際の再調査も重要になります。


理由③:生成AIによって、詐欺広告を大量に作りやすくなった

以前から、詐欺広告には偽の企業情報や有名人の写真が使われてきました。

近年は生成AIの普及によって、実在する人物に似た映像や音声を作り、本人が話しているかのように見せることが容易になっています。

この変化は、広告審査を難しくする要因の一つです。

例えば、ある詐欺業者が著名人の偽動画を使った広告を作成し、アカウントを停止されたとしても、別の広告素材やウェブサイトを使って再び広告を出そうとする可能性があります。

広告の数が増え、表現が巧妙になるほど、広告を審査する側には、画像や文章の一致だけでなく、広告の目的や誘導先の実態を判断する能力が求められます。

Googleは、こうした脅威への対策として、生成AIを活用した広告検出の強化を進めています。
Googleの2025年広告安全性レポート(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

ただし、AIを使って検出する側と、AIを使って広告を偽装する側の双方が技術を進化させているため、技術の導入だけで問題が完全に解消するとは限りません。


理由④:広告の表示対象を決める仕組みと、広告の安全性を審査する仕組みは別

YouTubeでは、視聴者にどの広告を表示するかを決める際、広告設定、視聴した動画、閲覧したウェブサイト、利用地域など、さまざまな情報が使われます。広告には、利用者の興味や関心に応じて表示されるものと、個人に合わせて最適化されていないものがあります。
YouTubeの広告に関する説明(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

ここで重要なのは、自分に合った広告が表示されることと、その広告が安全であることは同じではないという点です。

例えば、投資関連の動画をよく見る人に投資サービスの広告が表示されること自体は、広告配信の仕組みとして不自然ではありません。

しかし、その広告が詐欺業者によって出稿されたものであれば、興味に合っているからといって安全とは限りません。

広告配信の仕組みは「誰に広告を見せるか」を決めるものであり、広告審査は「その広告を掲載してよいか」を判断するものです。両者は関連していますが、役割は異なります。



3. Googleは実際にどの程度、悪質な広告を排除しているのか

ここは、Googleが公表している2025年の実績を見ると理解しやすくなります。

Googleが2026年4月16日に公表した「Google Ads Safety Report 2025」によると、同社は2025年に世界全体で次の措置を実施しました。

- 83億件以上の広告をブロックまたは削除
- 2,490万件以上の広告主アカウントを停止
- このうち、詐欺に関連する広告は約6億200万件
- 詐欺に関連する広告主アカウントは約400万件

また、Googleは、ポリシー違反広告の99%以上を、利用者に配信される前に検出したと報告しています。

出典:Google Ads Safety Report 2025(2026年4月公表)(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)


この数字をどう解釈すべきか

まず、Googleが大量の広告を検出・排除していることは事実です。

一方で、この数字だけから「YouTubeの広告は99%以上安全だ」と結論づけることはできません。

理由は3つあります。

1. 99%という数字は、広告全体の安全性を直接示すものではない。

Googleが公表したのは、ポリシー違反広告を配信前に検出した割合です。YouTubeだけの数値ではなく、Googleの広告システム全体についての報告です。

2. 広告の総数と、利用者が実際に目にする広告の割合は異なる。

広告の件数には、同じ広告の複数のバリエーションなどが含まれ得ます。したがって、83億件という数字を、そのまま被害件数や利用者が目にした詐欺広告の数と読み替えることはできません。

3. 検出・排除された広告の数だけでは、見逃された広告の実数は分からない。

Googleの報告は対策の規模を示していますが、見逃された違反広告が世界全体で何件あったのかを、この数字だけから算出することはできません。

つまり、Googleの対策が機能していないと断定することも、対策が十分なので安心だと判断することも、同じように適切ではありません。

評価するには、検出実績だけでなく、実際の被害、再発の状況、通報後の対応速度なども見る必要があります。


4. なぜ、怪しい広告が何度も表示されるのか

悪質な広告が繰り返し表示されるように感じる背景には、広告主の再参入と、広告配信の仕組みという2つの問題があります。

広告主が変われば、同じ詐欺の手口が再び現れることがある

例えば、ある詐欺広告が発見され、広告主のアカウントが停止されたとします。

それによって、そのアカウントからの広告配信は止められる可能性があります。しかし、詐欺を企てた人物や組織そのものが消滅するとは限りません。

別のアカウント、別のウェブサイト、異なる広告素材などを利用して、同じような詐欺を再び仕掛けようとする可能性があります。

もちろん、Googleはこうした審査回避行為も禁止しています。それでも、広告主の身元や実態を確認し、関連するアカウントやサイトを特定するには、継続的な調査が必要です。
Googleのポリシー情報(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

このため、広告が削除されたという事実だけで、同じ手口による広告が今後一切表示されないとは限りません。

個人に合わせた広告配信が、詐欺広告の表示を直接意味するわけではない

Googleの説明によると、YouTubeの広告表示には、視聴履歴や閲覧したウェブサイトなどが影響することがあります。
YouTubeの広告に関する説明(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

しかし、投資関連の広告が何度も表示されたからといって、Googleがその人を詐欺の標的として特定しているとは限りません。

また、同じ広告が繰り返し表示されたという事実だけでは、その広告主がGoogleに特別扱いされているとも判断できません。

広告の表示頻度には、広告主の配信設定や広告配信システムなど、複数の要因が関係します。

ここは、実際に確認できる事実と推測を分けて考える必要があります。



5. YouTubeに広告を出せるということは、Googleが広告主を信用しているということなのか

結論からいえば、広告が掲載されていることだけを根拠に、広告主や商品の信頼性を保証することはできません。

Googleは広告主の身元確認を実施し、広告の内容やリンク先などを審査しています。しかし、それは広告主のすべての主張が正しいことや、投資サービスが利益を生むことを保証するものではありません。

例えば、実在する企業が広告を出していても、広告で説明されている投資商品のリスクが十分に伝えられているとは限りません。

また、実在する企業の名前やロゴを無断で使い、その企業と関係があるように装うこともできます。

したがって、次の3つは区別する必要があります。

- 広告が掲載されていること: 広告がプラットフォーム上で配信されているという事実。
- 広告主の身元が確認されていること: 広告主について一定の確認手続きが行われたということ。
- 広告の内容が信頼できること: 広告の主張、商品、サービス、取引条件などに十分な根拠があるということ。

これらは同じ意味ではありません。

広告主の身元が確認されていても、個別の広告に問題がないとは限りません。逆に、広告が掲載されているからといって、Googleがその商品を推奨しているとも限りません。

この区別は、投資や金融商品に限らず、健康食品、通販、オンラインサービスなどにも当てはまります。



6. 悪質な広告が表示された場合、利用者にできること

広告を見かけた場合、最も重要なのは、広告の印象だけで判断せず、表示されている情報と実際のサービスを切り分けて確認することです。

広告を報告する

YouTubeでは、不適切な広告やGoogleの広告ポリシーに違反していると考えられる広告を報告できます。

公式ヘルプによると、スマートフォンやパソコンで広告の情報メニューなどを開き、「広告を報告」を選択して手続きを進められます。報告された広告は審査され、必要に応じて措置が講じられます。
YouTube公式ヘルプ:広告の報告方法(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)

詳しい手順は、YouTube公式ヘルプ:広告の報告方法(リンクはココナラポリシー遵守のため省略)で確認できます。

なお、報告しただけで必ず広告が削除されるわけではありません。また、報告が受理されたことと、違反が確定したことも別です。

広告に登場する人物の公式発信を確認する

著名人が投資サービスを推薦している広告では、本人の公式ウェブサイトや公式SNSなどで、実際にそのサービスを紹介しているか確認することが重要です。

ただし、公式アカウントの画像や動画を無断で転載することもできるため、広告に本物の写真や映像が使われていることだけでは、本人が推薦している証拠にはなりません。

広告から誘導されたサイトで、すぐに個人情報やお金を渡さない

特に注意したいのは、次のような特徴です。

- 短期間で大きな利益が得られると強調している。
- 著名人が秘密の投資方法を公開したと宣伝している。
- 今すぐ登録しないと機会を失うと急かしている。
- 運営会社の名称、所在地、金融サービスに必要な登録などを確認できない。
- 入金を求める一方で、出金条件や手数料などの説明が不明確である。

これらは個別に見れば必ずしも詐欺の証拠ではありませんが、複数が重なっている場合は、慎重に確認する必要があります。



7. 結局、悪質な広告はなぜYouTubeに表示されるのか

ここまでの事例と資料から、主な理由は次のように整理できます。

- 審査の限界: 広告やリンク先の情報だけでは、すべての詐欺を事前に見抜くことが難しい。
- 詐欺手口の変化: 悪質な業者が広告素材、アカウント、ウェブサイトなどを変更し、審査を回避しようとする。
- 生成AIの普及: 実在する人物に似た映像や音声を使い、虚偽の推薦をより巧妙に演出できる。
- 広告配信と安全性審査の違い: 視聴者の興味に合う広告を表示する仕組みと、広告の信頼性を審査する仕組みは別である。
- 掲載後の対応の必要性: 事前審査を通過した広告でも、問題が発覚すれば再審査や停止などの措置が必要になる。

ただし、これらの理由が、個々の広告が審査を通過した直接の原因だったと特定できるわけではありません。広告主の審査履歴や配信記録などを確認しなければ、特定の広告がなぜ掲載されたのかを断定することはできません。


Googleは、2025年に83億件以上の広告をブロックまたは削除したと公表しており、悪質な広告への対策を進めています。一方、2025年にはYouTube上で著名人の偽動画を使った投資詐欺が報告され、日本政府も2026年にプラットフォーム事業者へ対策強化を要請しました。

この2つの事実は、矛盾するものではありません。広告を大量に排除する仕組みがあっても、悪質な広告がすべて排除されるとは限らないからです。

YouTubeに悪質な広告が表示される根本的な理由は、広告を掲載するための審査制度が存在しないからではなく、審査制度があっても、詐欺の実態をすべて事前に把握して排除することが難しいからです。

そして、利用者が広告を信頼する際には、「YouTubeに表示されている」という事実を、広告主や商品の信頼性を保証するものとして扱わないことが重要です。


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