歯車のゲームを、覚えていますか(きっかけ)
子どものころ、工場をテーマにしたパズルゲームを遊んだ記憶があります。同じ色の歯車を3つ以上そろえると消える、というものでした。
タイトルも思い出せないくらいうろ覚えなのですが、あの「3つそろえて消す」という手触りだけは残っていて、そこから案を組み立てました。
そしてもう一つ、動機がありました。AIにどこまで作れるのか、確かめてみたかった。
仕様を自分で決めて細かく注文を出したら、どれくらいのものが返ってくるのか。その実験も兼ねて出てきたのが「カラーブロック CHAOS」です。
名前の後ろについているCHAOSは、飾りではありませんでした。
ルールそのものは単純です
盤面は6列×15行。縦に長い、細めの箱です。
上の真ん中から、色のついたブロックが1個ずつ落ちてきます。1個ずつです。4個ひとかたまりの形ではないので、**回転もありません。**左右に動かして、落とす。それだけです。
消える条件はこうです。
同じ色が、縦・横・斜めのどれかに3つ以上つながると消える。
斜めが効くのが気持ちいいところで、何も考えずに置いていても、思わぬ場所で3つつながっていたりします。消えると上のブロックが落ちてきて、そこでまた3つそろえば連鎖します。
まとめて消すほど、連続して消すほど点数の倍率が上がります。3つ消しが基準で、5つ消しなら1.5倍、8つ消しなら2.25倍。何も消さない手を打つと、連続の倍率は0に戻ります。
操作は左右キーで移動、下キーでゆっくり落下、スペースキーで一気に落下。スマホならスワイプと画面タップでも動きます。
テトリスの癖が、最初の罠になります
ここで、たいていの人が一度つまずきます。
横一列を埋めても、何も起きません。
落ちものパズルに慣れていると、体が勝手に一列を埋めようとします。埋まります。消えません。色がそろっていないからです。
盤面が6列しかないのも地味に効いてきて、置ける場所が少ないぶん、1手の失敗がすぐ跳ね返ってきます。
点を取ると、厄災が解放されます
ここからが本題です。
このゲームには「レベル」のかわりに「点数のしきい値」があります。そして、しきい値を超えるたびに新しい厄災が増えます。
色が増えるのが、まず地味に苦しいです。4種類なら3つそろうのは偶然でも起きますが、6種類だとそうはいきません。
「消せないブロック」は、そろえても消えません。爆弾か、後述の首切り役人でしか除去できない置物です。これが盤面に溜まっていきます。
そして虫です。
盤面のどこかに虫が1匹住んでいて、一定時間ごとに別のブロックへ移動します。厄介なのは、移動したあとのブロックが変化することです。緑の丸い虫は通ったあとの色を変えるので、せっかく3つ並べたところを1つ変えられたら終わりです。
8,000点を超えると、紫のトゲトゲした虫が追加されます。こちらは通ったあとを、消せないブロックに変えていきます。虫がいるブロックを消せば追い払えますが、8秒から12秒ほどで戻ってきます。
1秒ごとに、くじが引かれています
厄災は、決まったタイミングでは来ません。
1秒に1回、何か起きるかどうかの抽選が走っています。
序盤の当たる確率は毎秒3%ほど。低いように見えますが、1秒ごとなので遊んでいれば普通に当たります。何が起きるかは選べません。
停電は、本当に見えなくなります。置いたブロックの色が分からないまま、落ちてくるブロックを置くしかない。しかも長さは点数とともに伸びて、40,000点で7.2秒、120,000点で8.5秒になります。
バイオハザードは、放っておくと感染が広がり、全部感染したらゲームオーバー。感染したブロックを消せば治療できるので、ほかの作業を中断して駆けつけることになります。
ブロックシャッフルがいちばんひどいと思います。積み上げた盤面の色が、全部ランダムに入れ替わる。組み立ててきた計画が、1秒で無意味になります。
首切り役人は、少し変わっています。1行まるごと切り落とすので積み上げたものは壊れますが、**消せないブロックも一緒に持っていってくれます。**盤面が置物で詰まっているときは、むしろ救われる。厄災なのに、ときどき助かります。
なお、何か起きたあとは8秒間くじが止まります。連続で殴られないようにはしました。
12万点を超えると・・・
そして120,000点。ここで「大混乱」と表示されます。
・抽選の当たる確率が、毎秒3%から**10%**へ
・停電が8.5秒に
・上から降ってくるものの65%が、消せないブロックに
・虫が3匹まで増える
・ブロックシャッフルが解禁される
毎秒10%というのは、10秒あればだいたい何か起きるということです。つまり、常に何か起きています。
このあたりまで来ると、上手く積むという行為があまり意味を持ちません。次の災害までに何点稼げるかを考える遊びに変わります。
逃げ道もあります
一方的に殴られるだけではありません。
爆弾は、着地したところの3×3を吹き飛ばします。消せないブロックも巻き込めるので、詰まった盤面をこじ開ける手段になります。20,000点からは、3×3をランダムな色に塗り替える爆弾も出ます。こちらは消せないブロックを普通のブロックに戻せるので、点数にもなります。
70,000点からは、いちばん派手なものが出ます。真下にあるブロックと同じ色を、盤面から全部消すという爆弾です。溜まった色を狙って落とすと、盤面が一気に空きます。
盤面を空にしきると、ALL CLEARのボーナスが入ります。大混乱の最中にこれを狙うのは、かなり無理があって、そこがいいです。
なぜ「点数」で難しくしたのか
ここが、いちばん考えたところです。
普通のゲームは、プレイヤーの腕前を見て難易度を変えます。このゲームは、それをやっていません。点数を見て、災害の確率を上げているだけです。
そして、しきい値を超えると、見たことのないものが出てきます。首切り役人とは何なのか。大混乱とは何が起きるのか。それを自分の目で見るには、点を取るしかない。
つまり、次の厄災が見たいから、もっと点を取ろうとするという形を狙いました。難しくなることそのものが、次に進む動機になってくれたらいい。新しい要素の解放が先にあって、難易度の上昇は、その裏についてくるおまけという順番です。
災害の中身については、正直に書くと先に全部設計したわけではありません。思いついたものを順に足していきました。それでも対処の仕方が違うものが並んだのは幸運でした。停電は見えなくなるだけ、バイオハザードは駆けつけないといけない、シャッフルは何もできない。プレイヤーがやることが重ならなかった。
AIも発案者?
最後に、もう一つの目的についてです。
案は自分で出しました。盤面の形、消える条件、しきい値ごとの解放、災害の中身。それを注文として渡して、動くものにしてもらったのがこのゲームです。
思っていたより形になりました。ただ、**自分が決めていない部分は、当然ながら勝手に決められています。**確率の細かい数字や、秒数の刻み方。遊んでみて初めて「ここはこうなっていたのか」と気づいた箇所がいくつもありました。
案を出す側と作る側が分かれていると、こういうことが起きるんだなと思いました。自分で全部書いていたら、知らない数字は一つも残らなかったはずです。
そして12万点は、まだ一度も超えていません。自分で仕込んだ大混乱を、自分の目で見るのが、いまの目標です。