こんにちは、コツコツ自動化ラボです。
自動化の道具を作って売っている立場で、こういうことを書くのは変かもしれません。でも先に言っておきます。
世の中の作業には、自動化してはいけないものがあります。 そして、それを見分けないまま手をつけた自動化は、たいてい途中で捨てられます。
先に結論を書きます
この4つのどれかに当てはまる作業は、いま自動化しないでください。
1. ルールを言葉にできない作業
2. 半年以内にやり方が変わる作業
3. 月に数件しかない作業
4. 間違っていても誰も気づけない作業
逆に言えば、この4つに当てはまらない作業は、ほぼ確実に自動化して得をします。 記事の後半で、その見分け方も1問だけ書きます。
道路の舗装と同じです。毎日通る道は舗装する価値がある。年に1回しか通らない道は、砂利のままでいい。 全部舗装しようとした会社から、お金がなくなります。
① ルールを言葉にできない作業
一番多い失敗がこれです。
こんな会話に心当たりはありませんか。
「この振り分けって、どういう基準ですか?」
「んー……見れば分かるんですけどね」
「見れば分かる」は、自動化できないという意味です。
自動化とは、要するに「やり方を言葉にして、機械に渡すこと」です。渡す言葉がないものは渡せません。
ここで無理をすると、例外処理だらけの仕組みができあがります。8割は自動で処理され、残り2割は毎回人が判断する。そして人は結局、2割のために全件を目視するようになります。手作業のときより時間が増える、というのはこの型です。
対処法:自動化をやめる、ではありません。先にルールを言葉にするのが正解です。半日かけて基準を書き出してみて、書き切れたなら自動化できます。書き切れなかったら、その作業はまだ人の仕事です。
正直に言うと、この「書き出し」だけで作業時間が減ることもあります。基準が曖昧なまま各自の判断でやっていた、というだけの話だったりするので。
② 半年以内にやり方が変わる作業
制度が変わる。取引先の様式が変わる。組織が変わる。
変わると分かっているものを、いまの形で固めないでください。 作り直しになります。しかも「せっかく作ったから」と、変わったあとも古い形を引きずることがある。これが一番たちが悪い。
対処法:変わったあとに作る。それだけです。
ただし例外があります。変わるのが「入力する場所」ではなく「出力する様式」だけなら、先に作って構いません。 中身の流れは変わらないので、出口の形だけ差し替えれば済みます。
③ 月に数件しかない作業
これは単純な算数です。
1件10分の作業が月3件なら、月30分。年間で6時間です。6時間を消すために、数万円と自分の説明時間を使うか。 割に合うことは、あまりありません。
⚠ ただし、1つだけ例外があります。
「回数は少ないが、間違えると損害が大きい」作業です。年に4回の申告用の集計、まとまった金額の請求。ここは時間ではなく事故を減らすためにやる価値があります。
判断の軸が「時間」から「リスク」に変わるだけで、結論は逆になります。ご自分の作業がどちらなのかは、はっきり分けて考えてください。
④ 間違っていても誰も気づけない作業
個人的には、これが一番こわい型だと思っています。
手作業には、実は検算が組み込まれています。人が数字を打っていると、「先月より妙に少ないな」と気づく瞬間がある。自動化すると、この違和感が消えます。
数字は毎月きれいに出てくる。誰も疑わない。半年後に、ずっと1行だけ取りこぼしていたことが分かる——こういう事故が起きます。
対処法:自動化を諦める必要はありません。検算を1つだけ足してください。
・件数の合計が、元データの行数と一致しているか
・前月比で、あり得ない変動になっていないか
このどちらかを画面に出しておくだけで、ほとんどの事故は防げます。私が道具を作るときも、この2つは必ず入れます。 ボタンを押した人が、結果を信じてよいかどうかを判断できないと、その道具は使われなくなるからです。
では、自動化していい作業は?
判定は1問で足ります。
そのやり方を、明日入社した人に、紙1枚で説明できますか?
説明できるなら、自動化できます。説明できないなら、まだ人の仕事です。
そのうえで、回数が多く、間違いに気づく仕掛けを足せるなら、やる価値があります。
費用の目安を、正直に書きます
・1つのファイルの中で完結する集計・転記なら、数千円〜数万円の範囲です
・複数のファイルをまたぐ、様式が会社ごとに違うあたりから、金額の桁が変わります
そして、これも書いておきます。
既製品で足りるなら、既製品を買ってください。 世の中には安くてよくできたツールがあります。それで済む作業に、わざわざ作る費用を払う必要はありません。
作る意味があるのは、「うちの様式でないと使えない」部分が残っているときだけです。
今日やってほしいこと
いま「自動化したいな」と思っている作業を1つ思い浮かべてください。そして、上の4つに当てはまるか確かめてください。
1つでも当てはまったら、今日は手をつけない。 それが今日の正解です。
当てはまらなかったなら、そこはやる価値があります。一番回数の多い1本から、小さく始めてみてください。
「うちのこの作業は、どっちなんだろう」で迷ったら、ご相談ください。どの作業から、どの順番で、いくらくらいで手をつけるべきかを、数字にしてお渡しするサービスを用意しています。
そして、やらないほうがいいものは、はっきりそうお伝えします。 全部やりましょうと言う相手のほうを、少し疑ってください。
小さなことをコツコツと。手をつける場所さえ間違えなければ、自動化は静かに効きます。
コツコツ自動化ラボでした。
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