「共通の友達から、『あの人があなたの話をしていたらしいよ』と聞いて、それから頭から離れないんです。本当かどうかもわからないのに」。そんな声を、鑑定のご相談でうかがったことがあります。
こんばんは、月詠ソラです。今夜開くのは、剣のスート8枚目にあたる「剣のペイジ」です。
これまでの剣のスート7枚(34弾「剣の8」、37弾「剣の3」、43弾「剣の9」、48弾「剣の5」、53弾「剣の2」、57弾「剣の4」、60弾「剣の7」)は、どれも数字だけが描かれた「数札」でした。今回はそこから少し外れて、人物が描かれた「宮廷札」を開いてみようと思います。数札が場面や状況そのものを表すのに対して、宮廷札は誰か一人の態度や立場を映すことが多いカードです。
もしあなたが、
・共通の知人やSNS経由で、あの人についての話を耳にして、それが頭から離れずにいる
・あの人からの連絡が、やけに質問ばかりで、何を考えているのかつかめない
・「本当はどう思われているんだろう」という噂や又聞きの情報に、気持ちが揺さぶられている
・確かめたいのに、確かめる勇気も、確かめない我慢もどちらも難しくて、宙ぶらりんのまま過ごしている
このどれかに心当たりがあれば、今夜はこの絵柄をゆっくりたどっていこうと思います。
■「剣のペイジ」は恋愛占いで「陰で噂している人・二枚舌を使う相手」と誤解されやすいカードです
タロットの「剣のペイジ」は、高台に立つ若い人物が描かれた絵柄です。風は強く、髪も裾も大きく後ろへなびいています。空には速い雲が流れ、鳥が数羽、同じ方向へ飛び去っていきます。人物は両手で剣を構えたまま、体は正面を向いているのに、首だけをぐるりとひねって、後ろを振り返っています。足元の草も、同じ風に大きく傾いています。この、振り返っている、という一点だけを見て、恋愛占いでは「これが出たら誰かが陰であなたの噂をしている」「二枚舌を使う、油断ならない相手」と、隠しごとや裏切りの兆しとして読まれることが少なくないようです。
■「剣のペイジ」が伝えているのは、隠しごとではありません
構図をもう一度見てみると、この人物は剣を振り下ろしても、鞘に収めてもいません。ただ両手で真っ直ぐ構えたまま、まだどちらの動作も選んでいない状態です。後ろを振り返っているのも、何かを隠すためというより、いま吹いている風が本物かどうか、後ろで動いた気配が何だったのか、確かめようとしている姿に近いのかもしれません。空を流れる雲の速さは、噂や又聞きの情報が、確かめる暇もないくらい速く動いていくことの表れとも読めます。事実そのものより先に、話だけが風のように通り過ぎていく——冒頭でご紹介したような、心から離れない一言も、同じ速さの中で受け取ってしまったものなのかもしれません。剣を振るわずに構え続けているのは、まだ何も断じていない証でもあります。この風に流された噂の真偽を、ご自身でも聞き分けてみたい方には、コンテンツマーケットに置いている入門記事もよろしければどうぞ。
■ 剣のペイジが示す、二つの色
剣のペイジを視るとき、浮かんでくることが多いのは、次の2色です(どちらか一方だけのこともあります)。
氷色(こおりいろ)が、宙に浮いたままの噂そのものに視えるとき
淡く澄んだ、体温の低い水色です。表しているのは、まだ本当とも嘘とも決まっていない話が、事実として固まる前に、ただ冷たく浮いたままになっている、その温度のなさそのもの。鈍色が「視界がぼやける当惑」という迷いや混乱の色だったのに対し、氷色にあるのは、まだ何も乱れていない、ただ止まっている冷たさのほうです。
灰青(はいあお)が、振り返った視線の先にちらりと視えるとき
灰色がかった、静かな青です。表しているのは、何かが動いた瞬間、意識せずそちらへ向いてしまう視線そのもの、まだ判断にもなっていない、ただの反応。秘色が「どこまで見られているか確かめずにいられない警戒」という自分を守るための緊張だったのに対し、灰青が向くのは、外側で動いたものへの反射のほうです。
■ 実際の鑑定で視てきたパターン
剣のペイジの相談で重なりやすいのは、噂や又聞きが心をざわつかせる場面だけではありません。あの人自身の態度に、同じ気配が表れることもあります。急に質問が増えて、こちらの近況をあれこれ尋ねてくるのに、自分の気持ちには一切触れない。連絡のテンポは速くなっているのに、内容は当たり障りのない話ばかり。そんな変化を鑑定にいらっしゃる方から伺うことがあります。これまでの剣の数札(剣の2の意志的な保留、剣の8の思い込みという足枷、剣の9の未来への誇張された恐れ)とは違って、剣のペイジにあるのは、まだ確かめている最中の警戒、というより身についた態度そのものです。年若い宮廷札らしく、答えを固めるより先に、周りの気配を拾い集めている段階なのかもしれません。あの人に迷いがあるとすれば、それはあなたへの気持ちの薄さというより、まだ材料を集めている途中、ということが多いようです。
■ 今夜のあなたへ
「剣のペイジ」は、隠しごとや裏切りを言い渡すカードではありません。振り返っているのは、何かを企んでいるからではなく、まだ確かめている最中だからということもあります。噂や又聞きの情報に心が揺れるのは、自然なことだと思います。それでも、剣がまだ振り下ろされていないという事実は、何も決着していないということでもあります。真偽をいますぐ確かめようと焦らなくても、風が凪ぐのを待つように、少し様子を見ていて構わないのではと思います。心を、まだ動いていない事実そのものの方へ、そっと置いておく。今夜はそのくらいの心の置きどころを、持ち帰っていただけたらと思います。
これで剣のスートは、数札7枚に加えて宮廷札も1枚加わりました。本来なら次は杖の10を、とお伝えしていましたが、今回は少し寄り道をしての一枚でした。次回はまた、その杖の10に戻ろうと思います。
剣を構えたまま、何を確かめようとしているのか。それは離れた場所からだけでは見分けがつきにくいものです。よろしければ鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」で、1,500字ほどの鑑定書としてまとめてお届けしています。
振り返った先に視えるものが、いつかあなたにも見える色になりますように。1週間ほど経って、色がどう変わったか、また教えてくださいね。
月詠ソラ