「完全な敗北」ってわけじゃない。「剣の5」が出たとき、その場に持ち込まれているもの

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こんばんは、月詠ソラです。前回の続きで、今夜は剣のスートに戻ってきました。34弾「剣の8」、37弾「剣の3」、43弾「剣の9」に続いて、剣のカードは今回で4枚目、「剣の5」を一緒にめくっていきます。

もしあなたが、

・「剣の5=完敗・屈辱的な結末」と聞いて、この関係はもう取り返しがつかないところまで来てしまったのではと怖くなっている
・言い合いのあと、あの人だけが平然としていて、自分だけが傷を負ったようで惨めに感じる
・話し合うたびにあの人の方が強気で、こちらばかりが折れているような力関係を感じている
・この先どちらが「勝ち」でどちらが「負け」なのか、そんな物差しでしか二人の関係を測れなくなっている

そのうちのどれかに、いまの息苦しさが重なるようなら。今夜はこのカードの絵柄を、一緒にたどってみます。

■「剣の5」は恋愛占いで「完敗・屈辱的な結末」と誤解されやすいカードです

タロットの「剣の5」は、3本の剣を抱えた人物が、涼しい顔でこちらを見て立ち、その奥では、うなだれた二人の人物が波打ち際の方へと歩き去っていく絵柄です。足元には、まだ誰の手にも渡っていない2本の剣が転がり、頭上には荒れた雲が渦を巻いています。剣を独り占めして立つ人物と、力なく去っていく二人という組み合わせから、恋愛占いでは「これが出たら惨めな敗北が確定している」「あの人に一方的に打ち負かされ、屈辱的な結末を迎える」と、勝ち負けのはっきりついた決着として読まれがちです。けれど絵柄を一つひとつ丁寧に見ていくと、そこまで単純に割り切れる話ではないようです。

■「剣の5」が伝えているのは、決着のついた敗北ではありません

よく見ると、手前で剣を抱えている人物の表情は、勝ち誇った笑みというより、口元だけをわずかに緩めた、どこか力の入った顔つきです。地面にはまだ2本の剣が横たわったままで、誰にも拾われていません。奥へ歩いていく二人も、剣で追い立てられているわけではなく、ただ静かに背を向けて、波打ち際の方へ歩いているだけです。そして三人の頭上には、同じ一つの荒れた空が広がっています。つまりこの絵柄が実際に描いているのは、決着のついた勝敗そのものではなく、その場に「勝ち負け」という物差しを持ち込んでしまった誰かと、その物差しの外側にまだ残っている、拾われていないものです。話し合いのあとであの人が妙に強気で平然として見えるときにも、これと近い構図が視えることがあります。それはあの人が本当に勝者の余裕でいるからというより、崩れかけている自分を見せたくなくて、あえて涼しい顔を保っているだけ、ということが少なくありません。

■ 剣の5が示す、二つの色

剣の5のカードと重ねて視ることが多いのは、次の2色です。片方だけが強く出ることもあれば、同時に混じって視えることもあります。

煤色(すすいろ)が、あの人の物腰を覆っているとき
灰がかった、くすんだ黒みの色です。消炭色の「熱を失いつつあるが完全には消えていない名残」とも、鴉羽色の「艶を帯びた深い闇、静かな緊張感」とも違って、煤色は熱の有無や緊張そのものを表す色ではありません。崩れそうな内側を見せないために、あえて硬く保たれている表面、いわば虚勢の硬さそのものを表す色です。強がっているように見えるとき、その奥では案外もろいものが押さえ込まれていることがあります。

潤み色(うるみいろ)が、三人の頭上の同じ空ににじんでいるとき
灰みを帯びた、湿った柔らかな色です。曙色の「危機を通り抜けたあとの回復のきざし」とも、鳩羽鼠の「あいまいなまま揺れている迷い」とも違って、潤み色は回復でも迷いでもありません。勝ったように見える側にも、去っていくように見える側にも、同じだけ降りかかっている、まだ言葉にならない心もとなさを表す色です。勝ち負けの外側にある、誰の手柄にもならない痛みのようなものです。

■ 実際の鑑定で視てきたパターン

剣の5の鑑定で、実際に何度も行き当たる場面があります。「喧嘩をしたあと、向こうだけ何事もなかったみたいに普通に接してきて、自分だけがいつまでも引きずっているみたいで惨めになる」というお声を、実際のご相談でよくいただきます。けれど剣の5が示しているのは、そういうときあの人が本当に勝者として涼しい顔をしているのではなく、崩れそうな自分を見せたくないという、もう一つの理由があることが多いです。剣の8のように本人が気づかないまま思い込みに縛られているのでも、剣の3のようにすでに受けた古い痛みを守っているのでも、剣の9のようにまだ起きていない未来を暗闇の中で膨らませているのでもなく、剣の5はいまこの瞬間に「勝ち負け」という物差しがその場に持ち込まれてしまい、双方がその物差しに合わせて振る舞ってしまっているときに出やすいカードです。地面に残った2本の剣のように、まだ誰のものにもなっていないものが、その場にはまだ残っています。

■ 今夜のあなたへ

「剣の5」は、決着のついた敗北を言い切るカードではありません。剣を抱えて涼しい顔をしているあの人も、歩き去っていく側に見える人も、同じ荒れた空の下に立っています。どちらが勝ってどちらが負けたのかを急いで数えるより、その物差し自体がこの場にふさわしいのかどうかを、一度そっと脇に置いてみる。それだけで、今夜は見える景色が変わることがあります。地面に残った2本の剣を、誰が拾うかはまだ決まっていません。急いでどちらかの手に握らせてしまうより、しばらくそのままにしておくことも、今夜はできるのかもしれません。

剣のスートもこれで4枚目になりました。次は少し手薄になっている杖のスートに戻って、まだ触れていない「杖の5」を見ていこうと思います。また次の夜、ここで。

もし今、剣の5があなたに示した意味を、もっと詳しく知りたくなったら。

剣を抱えて涼しい顔をしているように見えても、その下にどんな色が隠れているのか、それはあの人自身もまだ言葉にできていないかもしれません。鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」で、1,500字ほどの鑑定書にして24時間以内にお届けしています。



勝ち負けの外側で、あなたの本当の色が、ちゃんと誰かに見えていますように。
月詠ソラ
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