「親やきょうだいががんになった。自分も必ずなるのだろうか」家族にがんを経験した人がいると、心配になるのは自然なことです。けれど、家族にがんになった人がいることだけで、自分も必ずがんになる、あるいは遺伝性だと決まるわけではありません。
■「家族に多い」と「遺伝性」は同じではありません
国立がん研究センターによると、がんの種類によって異なりますが、がんになった人のおよそ5〜10%は、がんの発症と関係する生まれつきの遺伝子の変化を持つとされています。この割合は、がんになった人全体についての目安です。家族の誰かががんになったときに、あなた自身ががんになる確率を示す数字ではありません。
家族の中に同じ種類のがんが複数ある場合でも、共通の生活環境や習慣が影響していることや、偶然同じがんが起きていることがあります。家族歴だけで、遺伝性腫瘍かどうかは判断できません。
■家族歴は、相談の手がかりになります
若い年齢でがんになった人がいる、同じ種類または関連する種類のがんが複数の血縁者にある、ひとりの人に複数のがんができた、といった情報は、医療者が状況を考える手がかりになることがあります。
気になる場合は、分かる範囲で「誰が、何のがんに、何歳ごろなったか」を整理し、主治医やかかりつけ医に相談できます。遺伝に関する心配は、遺伝カウンセリングでも相談できます。相談したからといって、遺伝子検査を受けると決まるわけではありません。
■遺伝的な変化があっても、発症が決まるわけではありません
遺伝性腫瘍に関係する遺伝子の変化を受け継いでも、必ずがんを発症するわけではありません。反対に、家族にがんの人がいなくても、がんになる可能性はあります。家族歴は大切な情報ですが、それだけで将来を決めるものではありません。
家族の病歴を振り返るとき、ご自身や家族を責める必要はありません。不安をひとりで抱えず、相談できる窓口と一緒に情報を整理していきましょう。
※この記事は一般的な情報で、個別の診断や治療の助言ではありません。心配な症状や家族歴については、医療機関にご相談ください。
【参考情報】
・国立がん研究センター がん情報サービス「遺伝性腫瘍」(2026年4月24日更新・確認)
・国立がん研究センター がん情報サービス「遺伝性腫瘍 3.遺伝カウンセリング」
・米国国立がん研究所(NCI)“The Genetics of Cancer”
・米国国立がん研究所(NCI)“Genetic Testing for Inherited Cancer Risk”
シリーズ「がんにまつわる10の誤解」は、誤解の頻度順を示すものではなく、編集上選んだテーマを取り上げています。