吃音のフィジカル的なアプローチというと、まず出てくるのは「ゆっくり話しましょう」という助言です。これは本当によく言われることですし、実際に効果を感じている方も多いと思います。私自身も長年、発声練習を通じてこのあたりのコントロールと向き合ってきました(今は戦略的に、あえて発声練習をしない、というスタンスを取っているのですが、それはまた別のお話です)。
そして、「ゆっくり話す」と同じくらい大切なことが、「抑揚をつけて話す」ということだと思います。
娘の読み聞かせで気づいたこと
うちの娘はもう小学2年生なのですが、寝る前の儀式として今も絵本を読んでもらいたがります。とはいえ内容を楽しんでいるというよりは、もう完全に「眠るためのスイッチ」と化していて、読み始めるとあっという間に寝てしまいます。
それはさておき、長く訓練してきた発話のコントロール感を確認するために軽い練習のつもりで最後まで読み続けるのですが、よくあるのが、ゆっくりなペースで読んでいても、なんだか硬いというか、スムーズに言葉が出てこない感覚のときがあるということです。そういうとき、「スピードだけではなく、抑揚も気を付けなくては」と思い出して、抑揚をつけて読むようにすると、すっとスムーズに読めるゾーンに入っていく感覚になることが多々あります。
ペースを落とすことだけに意識が向いていると、かえって声が単調で硬くなってしまうことがある。そこに抑揚という要素を足すことで、言葉の流れそのものがほぐれていく。そんな感覚です。
抑揚が少ない、という共通点
吃音のある方を見ていると、話すスピードが速い人はよくいます。これはよく指摘される特徴だと思います。ただ、それと同じくらい「抑揚が少ない、平坦な話し方になりやすい」という方も多いように感じています。
こういったことを意識したうえで、テレビやYouTube動画でお笑い芸人さんの話し方を観察していると、当たり前かもしれませんが、彼らの抑揚のつけ方は本当に見事だと気づきます。間の取り方、声の高低、強弱の変化。あれは笑いを生むための技術であると同時に、言葉をスムーズに紡ぎ出すための技術でもあるのだろうな、と勝手に学ばせてもらっています。
ゆっくり、だけでは足りないかもしれない
「ゆっくり話す」は間違いなく有効なアプローチのひとつです。ただ、それだけを意識していると、声が硬く単調になり、かえって言葉が出にくくなることもある。そんなときは、スピードよりも先に「抑揚」を思い出してみる。これも、フィジカル的なアプローチのひとつの引き出しとして、持っておく価値があるのではないかと感じています。
これはあくまで私個人の体験からくる感覚であり、すべての方に当てはまるものではありません。ただもし、吃音改善においてフィジカル面からのアプローチを試みている方は、ゆっくり話すことに加えて、抑揚という視点にも重点を置いてみると改善の後押しになるかもしれません。