毎日同じ時間に起きて、同じタスクをこなし
昨日と寸分違わない今日を終える。
それ、全然悪いことじゃないからな。
むしろ大正解だ。
波風立てずに今の生活を維持するのって、生物の防衛本能として完璧な生存戦略だから。
毎日無事に息してるだけで、お前はすでに結構すごいことをやってる。
胸張っていい。
でもさ。
夜、ベッドに寝っ転がってスマホをぼーっとスクロールしてる時、
心のどこかでチクッとモヤモヤしないか?
SNSを開けば、「親指ひとつで画面を上に弾くだけで、見ず知らずの他人の『人生のショートカット』が、ファストフードみたいに次から次へと消費されていく。」
「これからの時代は〜」とか「これで月収〇〇万!」とか「AI時代は~」
みたいなうさん臭いそれっぽいノウハウや成功譚が無限に流れてくる。
で、その数分の動画を見ただけで、
「なるほどね、その手があったか」
「俺もやろうと思えばできるな」
なんて思っちゃう。
これ、現代の最強の合法麻薬だから気をつけたほうがいい。
何が一番ヤバいって、情報を食っただけで自分がレベルアップしたと「錯覚」することだ。
脳内ドーパミンだけは一人前にドバドバ出るのに、現実は1ミリも動いていない。
知ってるという状態は、
何のリスクも負わずに成長した気分になれる、最高に気持ちのいい劇薬なんだよ。
はっきり言うけど、「知ってる」だけのやつは、「何も知らない」やつとマジで一緒だ。
これ、ゲームも買ってないのに攻略本だけ端から端まで読み込んで、
自分も裏ボスを倒した気になってる小学生とマジで変わらないからな。
いや、無駄にプライドだけ肥大化してる分、タチが悪いかもしれない。
偉そうに語ってる俺だって、別に高尚な人間でも何でもない。
昨日なんて、うちの猫(ちなみに俺と同じ『けらくん』って名前なんだけどさ)に「お前またそれやってんの?」みたいな冷ややかな目で見られながら、パソコンの前でひたすらエラーを吐きまくるコードと格闘したり、たった数秒の動画のタイミングが合わなくて深夜に頭抱えたりしてるわけよ。
キラキラしたものとは剥離している
冷めきったコーヒーすすりながら、
充血した目でなんでここ動かねぇんだよ!!
って画面に悪態ついてるだけの、ただの泥臭くてダサいおっさんだ。
でもな、この「やってる」の泥沼こそが、唯一のリアルなんだよ。
プロ野球の試合を客席から見て、「あそこで振らないからダメなんだよ」ってヤジを飛ばすのは誰にでもできる。
でも、いざ自分がバッターボックスに立ったらどうなる?
時速150キロの球の風切り音にビビり散らかして、バットを振るどころか腰抜かすのがオチだろ。
「やってる」世界っていうのは、想像以上にダサくて、
思い通りにいかなくて、恥にまみれてる。
インプットした「知ってる」知識なんて現場じゃ大して役に立たなくて、自分の無力さに絶望する。
「あー、いつもの安全な日常でおとなしくしとけばよかった」って、絶対後悔する瞬間が来る。
だけど、その泥水すすってかいた恥の数だけ、確実に自分の血肉になる。
自分で手を動かして、痛い目を見て「やってる」やつには、安全な客席から冷笑してくる評論家どもの声なんか一切届かなくなる。
だってあいつら、一生バッターボックスに立たないんだから。
傷だらけのプレイヤーが見てる景色は、客席からは絶対に死角になってて見えないんだよ。
別に明日から会社辞めて起業しろとか、世界を変えろとか、そんな大それたことを言いたいわけじゃない。
ほんとに少しやったことないもんを継続的に一日30分でもやってみるとか、
いつもと違う銘柄のコーヒーを買ってみるとか、
気になってたツールを5分だけ触ってみるとか、
たまには杉田家以外のラーメン屋を開拓してみるとか、
マジでそんな日常のちょっとしたバグみたいなもんでいい。
そのたった5分や数百円の小さな痛みが、
お前を知ってるだけの観客から『やってる当事者』に引きずり下ろす、
最初の入場料になる。
「知ってる」の安全な特等席から、そろそろ降りてこいよ。
とりあえずやってみるか...から始める
不格好で泥だらけのバッターボックスも、案外悪くないぜ。
さ、スマホ閉じて、今日何やる?
……とか偉そうに熱語りした当の俺は今、
Amazonプライム感謝祭の特設ページを親指で無限にスクロールしながら、
「安くなってるからなんか買わなきゃいけない気がするけど、マジで何買えばいいんだこれ…」
って、かれこれ1時間くらいベッドの上でウダウダ迷い続けてるんだけどな。
結局、俺もまだまだしょーもないただの消費者ってわけだ。
とりあえず、けらくん(猫)のちゅーるでもカートに入れてくるわ。