ろうそくの火は揺れる

ろうそくの火は揺れる

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夜になっても、部屋の空気がまだ昼間の熱を覚えています。今日の京都は36度まで上がったそうです。つむぎは日中ずっと、部屋のいちばん涼しい床を選んで伸びていました。日が落ちてから、ようやくいつもの顔で歩き回っています。

今日から、奈良で燈花会が始まりました。

夏の夜の奈良の町に、何千というろうそくの灯りが並ぶ行事です。この時間ですから、そろそろ今夜の灯りは消えた頃でしょうか。祖母が奈良の人だったので、あのあたりの夏の夜の空気は、私も少しだけ知っています。昼間の熱がゆるんで、石畳から夜の匂いが立ちのぼってくる、あの時間。

ろうそくの火のことを、時々考えます。

電球の光は揺れません。いつでも同じ明るさで、同じ形で、そこにある。便利で、正確で、疲れない光です。でも、ろうそくの火は揺れます。人が通れば揺れ、風が入れば揺れ、何もなくても、ふるふると揺れ続けている。

そして、揺れているのに、なかなか消えないのです。

鑑定をしていると、「気持ちが揺れてしまう自分が嫌になります」という言葉によく出会います。好きなはずなのに不安になったり、決めたはずなのに迷ったり。揺れるたびに、自分の想いは本物じゃないのかもしれない、と心細くなってしまう。

でも、揺れている火は、消えかけの火ではありません。生きている火です。絵に描いた火だけが、揺れずにいられるのです。

今夜、奈良の町で灯っていた何千の火も、ひとつ残らず揺れながら、あの町を照らしていたはずです。

あなたの中の火も、揺れながらでいい。

寝る前の一杯は、氷を入れないぬるめのほうじ茶にしています。それでは、おやすみなさい。
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