それでもコンクールで18人中17人が入選・入賞した理由
「コンクールに出るなら、毎日1時間は練習しないと無理ですよね?」
これまで、保護者の方から何度も聞かれてきた言葉です。
確かに、ピアノコンクールと聞くと、
「毎日たくさん練習する」
「何時間もピアノに向かう」
「練習量が多い子が勝つ」
そんなイメージを持つ方が多いと思います。
でも、私は生徒たちに、やみくもに長時間練習させているわけではありません。
むしろ、できるだけ「最低限の練習で結果を出す」ことを考えてレッスンしています。
その結果、カワイ子どもコンクール・音楽コンクールでは、私の生徒18人が参加して、17人が入選・入賞しました。
18人中17人。
この数字だけを見ると、
「ものすごく練習させたんでしょう?」と思われるかもしれません。
でも、そうではありません。
私が大切にしているのは、練習時間を増やすことではなく、
「何を、どれだけ練習すれば、その子の演奏が変わるのか」を見極めることです。
「30分練習しましょう」ではなく「ここを〇回」
私のレッスンでは、宿題を「毎日30分練習しましょう」という形で出すことは、ありません。
なぜなら、30分ピアノの前に座っていても、その30分が全部上達につながるとは限らないからです。
例えば、「この部分を10回弾いてください」
「左手だけ5回」
「この2小節を、音をよく聴きながら3回」
というように、できるだけ具体的に練習内容を決めます。
大切なのは、
「長く練習したか」ではなく、「必要な練習ができたか」だからです。
コンクール前になると、特にこの違いが大きくなります。
ただ何度も最初から最後まで通して弾くより、
「この音が弱い」
「ここでフレーズが切れている」
「左手が大きすぎる」
「この部分は曲の情景が伝わってこない」
という問題を一つずつ見つけて、そこだけを直していく。
そのほうが、短い練習時間でも演奏は変わります。
私は「練習量」より先に、その子を見ます
もう一つ、私が大切にしていることがあります。
それは、ピアノだけを見ないことです。
子どもには、それぞれ生活があります。
学校が忙しい子もいます。
習い事が多い子もいます。
家に帰ってから宿題をしなければならない子もいます。
毎日長時間ピアノに向かえる子ばかりではありません。
だから私は、
「もっと練習しなさい」
と言う前に、
「この子は今、どのくらいなら無理なく続けられるのか」
を考えます。
そして、その限られた時間の中で、最大限に伸びる練習を組み立てます。
これは、全員に同じ練習をさせる方法とは違います。
同じ曲を弾いていても、直す場所は一人ひとり違うからです。
「練習しない子」ではなく「練習方法が合っていない子」
レッスンをしていると、
「うちの子は練習しないんです」
と相談されることがあります。
でも、私はすぐに「もっと練習させましょう」とは言いません。
まず、
なぜ練習しないのか?
を考えます。
何を練習すればいいのかわからないのかもしれません。
難しいところを何度やってもうまくいかず、嫌になっているのかもしれません。
練習する量が多すぎて、最初からやる気をなくしているのかもしれません。
あるいは、本人にとっては「練習すること」そのものが目的になってしまい、何を直すための練習なのかがわかっていないのかもしれません。
だから、私は練習の量を増やす前に、練習の中身を変えます。
18人中17人という結果から、私が改めて感じたこと
18人中17人が入選・入賞したとき、私は「みんな、ものすごく練習したから結果が出た」とは考えませんでした。
むしろ、
「一人ひとりに必要なことを絞って練習させたことが、結果につながった」
と感じました。
もちろん、コンクールですから、練習は必要です。
何もしないで結果が出るわけではありません。
ただし、「練習時間が長い=必ず上手くなる」
ではありません。
1時間、間違った弾き方を繰り返すより、
10分間、直すべき場所を正しく練習したほうが、演奏が変わることがあります。
だから私は、レッスンで生徒の演奏を聴きながら、
「今、この子に一番必要なのは何か?」を考えます。
そして、その課題を家でできる大きさまで小さくします。
コンクールで評価されるのは「練習時間」ではありません
審査員が見ているのは、
「この子は毎日何分練習したのか」
ではありません。
本番で、
どんな音を出したのか。
曲をどう表現したのか。
音楽がきちんと伝わったのか。
そこが評価されます。
だからこそ、コンクールを目指すなら、
「もっと練習させなければ」
と焦るだけではなく、
「今の練習は、本当に演奏を良くする練習になっているだろうか?」
と一度考えてみてほしいのです。
「たくさん練習させる先生」ではなく「必要な練習を見つける先生」
私は、生徒に何時間も練習させることを指導の目標にはしていません。
その子が無理なく続けられる練習量の中で、
一番効果のある練習を見つけること。
そして、次のレッスンまでに一つでも二つでも、確実に演奏を変えること。
それを積み重ねています。
18人中17人が入選・入賞したという結果は、私にとって単なる数字ではありません。
「練習時間を増やさなくても、練習の質と設計を変えることで、子どもは伸びる」
ということを、改めて実感した経験です。
もし今、
「うちの子は練習しないから、コンクールは無理なのかな」
と思っている方がいたら、まず練習時間を増やすことだけを考えないでください。
その子に合った練習になっているか。
直す場所が明確になっているか。
家で一人でも取り組める内容になっているか。
ここを見直してみてください。
ピアノの上達は、単純な「練習時間の足し算」ではありません。
その子に必要なことを見つけ、必要な分だけ練習する。
私はこれからも、そんな「無理なく続けながら、結果につながるレッスン」を大切にしていきたいと思っています。
生徒一人ひとりの生活や性格を見る
練習時間をむやみに増やさない
「30分練習」ではなく、必要なことを必要な回数だけ練習させる
レッスンでその子の課題を見つける
次の1週間で直すポイントを絞る
家では最低限の練習でも、毎日続けられる仕組みにする
本番で評価される「音・表現・曲の理解」を優先する
という、「量ではなく、練習の設計」が核です。