私がレトロで耽美なイラストを描く理由

私がレトロで耽美なイラストを描く理由

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デザイン・イラスト
私は昔から、耽美でレトロなものに強く惹かれてきました。

少し古びた色彩。
静かな影。
曇った光。
そして、触れたら壊れてしまいそうな繊細さ。

ただ綺麗なだけではない、どこか危うく、寂しさを含んだ美しさ。

そういうものにとても惹きつけられます。

振り返ると、その感性の原点は学生時代にあるのかもしれません。

高校時代、私はいわゆる耽美作品に触れました。

江戸川乱歩の描く、妖しく幻想的で、どこか不穏な世界。
谷崎潤一郎の、美と執着、そして倒錯を孕んだ美意識。
中原淳一の、繊細で気高く、儚さを纏った少女たち。
丸尾末広の、退廃と美が共存する鮮烈な世界観。

それぞれ表現はまったく違うのに、共通して感じていたものがあります。

それは、美しさの中にある影です。

明るさだけではない。
純粋さだけでもない。

静けさの奥に、孤独や狂気、退廃、痛みが滲んでいる。
私は、そうした複雑な美しさに強く惹かれていました。

私にとって耽美とは、単なる華やかさではありません。

むしろ、儚さや危うさを抱えた美しさです。

永遠ではないもの。
壊れてしまいそうなもの。
触れた瞬間に消えてしまいそうなもの。

そういうものほど、なぜか強く心に残る。

消えてしまいそうだからこそ、美しい。

私はずっと、そう感じています。

レトロなものが好きなのも、きっと同じ理由です。

古い写真の褪せた色。
少し黄ばんだ紙。
時を経て柔らかくなった白。

新品の完璧な美しさではなく、
時間が作った美しさ。

そこには、今にはない静かな空気があります。

失われたもの。
戻らない時間。
記憶の中にしか存在しない景色。

レトロなものには、そんな余韻が宿っています。

特に私は、鮮やかで強い色よりも、明度や彩度が抑えられた静かな色を好んで使います。

少しくすんだ白。
褪せた赤。
灰色がかった青。
古い紙のようなベージュ。

そうした色には、不思議な静けさがあります。

派手に主張するのではなく、静かに感情を滲ませる色。

そこには、孤独や余韻、時間の気配が宿っているように思えます。
私はきっと、色そのものよりも、色が纏う空気に惹かれているのです。

絵を描くとき、私はただ綺麗な絵を描きたいわけではありません。

目にした瞬間の美しさだけではなく、
見終わったあとに余韻が残る絵を描きたい。

ふとした夜に思い出すような絵。
理由はわからないのに、心に残り続ける絵。

そんな作品を描きたいと思っています。

学生時代に触れた耽美の世界は、今も私の中に生きています。

文学、イラスト、漫画、映画。
あの頃に受け取った美意識は、形を変えて、今の絵に繋がっています。

だから今日も私は、
耽美で、レトロで、儚い世界を描き続けています。

美しさと影が共存する、静かな世界を。


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