室内写真や不動産写真を見ていて、
「なんとなく違和感がある」
「実際に見た印象と違う」
と感じたことはありませんか?
実はその原因のひとつが、
【垂直と水平のズレ】
にあります。
同じ建物でも印象は大きく変わる
建物を撮影する際、建物全体を入れようとしてカメラを上に向けると、建物は上に向かって細く見えてしまいます。
これはスマートフォンや一般的な撮影でよく見られる現象です。
一方で建築写真では、建物の垂直ラインを整えながら撮影することで、本来の形状を正しく伝えることができます。
同じ建物でも、写真の印象は大きく変わります。
●人は無意識に違和感を感じている
一般の方は「垂直水平」という言葉を知らなくても、
・建物が傾いて見える
・壁が不自然に見える
・空間が狭く感じる
といった違和感を無意識に感じています。
人間の脳は、
「壁は垂直」
「床は水平」
ということを知っているためです。
そのため、写真の中でラインが崩れていると、実際の空間よりも魅力が伝わりにくくなります。
●設計者の意図を正しく伝えるために
建物は、窓の配置や天井の高さ、壁のラインまで計算して設計されています。
しかし写真の中で垂直や水平が崩れてしまうと、その設計意図まで変わって見えてしまいます。
例えば本来は真っすぐな壁が内側に倒れて見えたり、水平な天井ラインが傾いて見えたりするだけで、空間全体の印象は大きく変わります。
建築写真では、設計者が意図した空間をできるだけ正確に伝えることが重要です。
●室内写真でも同じです
室内写真でも垂直水平は非常に重要です。
特にキッチンや洗面台、収納など直線が多い空間では、少しのズレでも違和感として現れます。
水平が整った写真はスッキリと見えますが、ズレた写真はどこか落ち着かない印象になります。
見る人は理由を説明できなくても、その違いを無意識に感じ取っています。
●建築写真は「広く見せる」だけではありません
建築写真というと、
「広く見せる」
ことが重要だと思われがちです。
もちろん空間の広がりを伝えることは大切ですが、それ以上に重要なのは、
【実際の空間を自然に見せること】
です。
そのため私は撮影時も現像時も、
壁の垂直
床の水平
窓や建具のライン
を意識しながら仕上げています。
●建物の魅力を正しく伝えるために
高価なカメラやレンズも大切ですが、
それ以上に重要なのは建物を正しく見せることです。
垂直水平を整えることは、単なるテクニックではありません。
設計者の意図を伝え、建物本来の魅力を伝えるための基本だと考えています。
私はこれまで1,000棟以上の建築・不動産撮影に携わってきましたが、今でも撮影時に最も意識しているのはこの「垂直水平」です。
建物の魅力を正しく伝えるために。
建築写真では、とても大切な要素のひとつです。