画面の端に浮かぶ進捗率の数字を眺めながら、僕はキーボードを叩く手を止めた。
フリーランスになって数年。大手SIer時代とは違い、
自分の技術と成果だけが頼りの世界だ。
スタートアップや中小企業の開発支援に入ると、周りには優秀なエンジニアばかりが目につく。「もっと新しい技術をキャッチアップしなければ」「もっと速く、綺麗なコードを書かなければ」。胸の奥で絶え間なく響く「もっとできるはず」という焦燥感が、気づけば自分自身を激しく追い詰めていた。
作業効率が落ち、コードを書くこと自体が苦しくなったある夜、
僕はふと過去のプロジェクトのノートを開いてみた。
そこに残されていたのは、新卒で大規模システムに挑み、
右も左も分からずに躓いていた頃の自分の姿だ。
エラーログ一つに何時間も頭を抱えていた当時の僕と、今の自分。
比べれば、解決できる課題も、書けるコードの質も、明らかに広がっている。
「もっとできるはず」という思いは、成長への原動力にもなるけれど、
行き過ぎればただのナイフになる。
他人や理想の自分と比較して落ち込むのではなく、過去の自分と比べて
「何ができるようになったか」をひとつずつ確認していく。
それが、自分自身の成長を正しく見つめ直し、エンジニアとして
長く歩み続けるための、僕なりの処方箋だった。
デスクを離れ、冷えたお茶を飲み干す。少しだけ肩の力が抜け、
僕は再び静かにエディタに向き合った。