Nine of Water / Joy
今ある幸せを受け取り、喜びを広げていくカード
今回は、Vision Quest Tarot の小アルカナから「Nine of Water / Joy」です。
前回の「Eight of Water / Stagnation」では、積み重なった心の器を、静かに見つめ直すカードを見ていきました。
Eight of Waterでは、壊れた器が積み重なり、水辺はあるのに、水を受け取れる状態ではありませんでした。
心の水は完全になくなったわけではない。
でも、古い思い込みや未整理の感情が積み重なり、流れが止まっているように見えました。
そこから今回のNine of Waterに入ると、また水が大きく流れ始めます。
カードには、豊かな滝と川の流れが描かれています。
周囲にはたくさんの壺が置かれ、その中には水が満ちています。
そして中央には、水の中に立つ人物の後ろ姿があります。
この人物は、何かを無理に動かしているわけではありません。
ただ、水の流れの中に立っている。
その流れを、全身で受け取っている。
周囲にも水の入った壺がたくさんある。
そこには、十分にあるものを受け取る静かな喜びがあります。
カード名は「Joy」。
喜び。
感謝。
あふれる活力。
受容性。
自由。
幸福を経験し、それを広げること。
Nine of Waterは、今ある幸せを素直に受け取り、その喜びが自然に周囲へ広がっていくカードなのだと思います。
絵柄から感じること
このカードでまず印象的なのは、豊かな水の流れです。
滝の水が流れ、川となり、中央の人物のまわりを通っていきます。
水は止まっていません。
勢いよく、けれど自然に流れています。
Eight of Waterでは、水辺はあるのに、器が水を受け取れる状態ではありませんでした。
Nine of Waterでは、水は大きく流れています。
そして人物は、その水の中に立っています。
水から離れているのではありません。
水を遠くから眺めているのでもありません。
自分自身が水の流れの中にいる。
ここが、とても大切に感じます。
Waterのカードにおいて、水は感情や愛、心の流れを表します。
その水の中に立っているということは、自分の感情や喜び、癒やしの流れを、もう一度受け取れる状態になっているということなのかもしれません。
中央の人物が受け取っているもの
中央の人物は、こちらに背を向けて、水の中に立っています。
その姿は、何かを頑張って獲得しているようには見えません。
水の流れとともに、静かにそこにいるように見えます。
この人物は、喜びや癒やしを全身で受け取っているように感じます。
頭で理解する喜びではなく、体ごと感じる喜び。
言葉で説明する幸福ではなく、ただそこにある水の流れを感じるような幸福。
無理に作ったものではなく、自然に湧いてくる喜び。
そんな印象があります。
Nine of Waterの喜びは、何かを手に入れたから嬉しいというだけではないと思います。
もちろん、現実的な満足や、願いが叶う喜びもあるかもしれません。
でも、このカードにあるのは、もっと深いところの喜びです。
水の中に立っているだけで、心が潤う。
生きていることそのものに、少し感謝が湧いてくる。
今あるものを、素直に受け取れる。
そんな喜びなのだと思います。
周囲の壺に満ちている水
カードには、人物のまわりにたくさんの壺が描かれています。
それぞれの壺には、水が入っているように見えます。
この壺たちは、これまでのWaterの流れの中で受け取ってきたもののようにも見えます。
愛情。
感情。
癒やし。
人とのつながり。
経験。
思い出。
学び。
自分の中に残っている豊かさ。
それらが、周囲にちゃんとある。
Five of Waterでは、割れた器と残った器がありました。
Seven of Waterでは、割れた器から水が漏れていました。
Eight of Waterでは、壊れた器が積み重なり、水を受け取れない状態でした。
でもNine of Waterでは、壺は周囲に置かれ、水が満ちています。
これは、心の器が再び整い、受け取れる状態になっていることを表しているように感じます。
しかも、中央の人物自身も水の流れの中にいます。
水は外にもあり、内側にも流れている。
周囲にも満ちていて、自分もその流れの中にいる。
Nine of Waterには、そうした豊かな受容の感覚があります。
Eight of WaterからNine of Waterへ
Eight of Waterでは、停滞がテーマでした。
壊れた器が積み重なり、水はあるのに受け取れない。
感情の流れが塞がれ、心がこわばっている。
無理に前へ進むより、積み重なった心の器を一つずつ見つめ直す必要がある。
そんなカードでした。
Nine of Waterでは、その停滞のあとに、水がもう一度流れ出しています。
積み重なった器を見つめ直し、内側のこわばりが少しほどけたからこそ、水の流れの中へ戻っていける。
そんな流れを感じます。
Eightでは、感情が止まっていました。
Nineでは、感情が成熟した喜びとして満ちています。
Eightでは、器が水を受け取れませんでした。
Nineでは、壺に水が満ち、自分自身も水の中に立っています。
Eightでは、心の中に重さがありました。
Nineでは、心の通路が開き、喜びが自然に広がり始めています。
この流れを見ると、Nine of WaterのJoyは、ただ軽い楽しさではないと思います。
停滞を越えたあとに戻ってくる、深い喜びです。
一度、止まった水を見つめたからこそ、今ある水のありがたさが分かる。
壊れた器を見つめ直したからこそ、受け取れる喜びがある。
そんなカードなのだと思います。
Joyという言葉について
このカードの名前は「Joy」です。
Joyは、楽しさや喜びを表します。
でも、Six of WaterのPleasureとは少し違うように感じます。
Six of Waterは、日常の中にある小さな楽しみや、心の回復の喜びでした。
器が満たされ、花が咲き、日常の中に喜びが戻ってくるカードでした。
Nine of WaterのJoyは、もう少し深いところから湧いてくる喜びのように感じます。
ただ生きていること。
水が流れていること。
今ここにあるもの。
すでに持っているもの。
自分の中にある愛や感謝。
それらを素直に受け取れること。
そうした喜びです。
この喜びは、無理に作るものではありません。
誰かに見せるための明るさでもありません。
頑張って前向きになることでもありません。
自分をごまかすための楽しさでもありません。
自然で、作りごとのない喜び。
Nine of Waterは、その喜びが心を若返らせるカードなのだと思います。
今ある幸せを素直に受け取る
このカードが伝えている大切なメッセージは、
「今ある幸せを素直に受け取ってよい」
ということだと思います。
人は、幸せを感じることに遠慮してしまうことがあります。
まだ問題が残っているから。
過去に傷ついたことがあるから。
また失うのが怖いから。
自分だけ幸せを感じてよいのか分からないから。
喜ぶと、あとで落ち込むのが怖いから。
そうして、心の通路を閉じてしまうことがあります。
でもNine of Waterは、今流れてきている水を受け取るカードです。
すでにあるものに感謝する。
今来ている喜びを楽しむ。
心地よさを拒まない。
愛や癒やしを受け取る。
自分の中に湧く喜びを、なかったことにしない。
それが大切なのだと思います。
このカードでは、人物が水の流れの中に立っています。
そこから、
「今は、受け取っていい」
というメッセージを感じます。
喜びを受け取ることに遠慮していないか
このカードが出たとき、私は
「幸せを受け取ることに、少し遠慮していませんか」
とも問いかけたくなります。
つらい時期が長かった人ほど、喜びが来ても、すぐには受け取れないことがあります。
また失うかもしれない。
今だけかもしれない。
喜んだら、あとで傷つくかもしれない。
自分だけ幸せを感じてよいのだろうか。
そんなふうに、心が慎重になることがあります。
でも、Nine of Waterの人物は、水の外から眺めているのではなく、水の中に立っています。
喜びを遠くから確認しているのではなく、もうその流れの中にいる。
頭で「幸せかどうか」を判断する前に、体ごと水を受け取っている。
このカードが出たときは、今ある幸せを疑いすぎず、まず少しだけ受け取ってみてもよいのだと思います。
大きな喜びでなくても構いません。
今日、少し心が軽くなること。
誰かの言葉に救われること。
好きなものに触れること。
自分の中から自然に出てくる表現。
小さな感謝。
そうしたものを受け取ることから、心の通路は開いていくのだと思います。
過去の痛みで、心の通路を塞がない
Nine of Waterで注意したいのは、過去の痛みで心の通路を塞がないことです。
これまでのWaterの流れには、喪失や停滞もありました。
Five of Waterでは、器が割れ、水が流れ出していました。
Seven of Waterでは、水が漏れていました。
Eight of Waterでは、壊れた器が積み重なり、水を受け取れなくなっていました。
だからこそ、Nine of Waterに来ても、心のどこかで怖さが残っているかもしれません。
また失うかもしれない。
また傷つくかもしれない。
また停滞するかもしれない。
また喜びが壊れるかもしれない。
そう思って、せっかく流れてきている水を受け取らないことがあります。
でも、このカードは、過去の痛みで内なる通路を塞がないようにと伝えているように感じます。
過去は確かにありました。
痛みも、喪失も、停滞もありました。
でも、今ここに流れている水もあります。
今ある喜びを、過去の記憶で拒まないこと。
今の幸せを、昔の痛みで小さくしないこと。
それが、このカードの大切なメッセージなのだと思います。
喜びは広がっていく
Nine of Waterの喜びは、自分の中だけで終わるものではないと思います。
ただ生きていることの喜びは、広い輪となって広がっていくように感じます。
これは、このカードの絵柄にも合っています。
水は一か所に留まっていません。
滝となり、川となり、周囲へ流れていきます。
人物は、その流れの中心にいます。
無理に誰かを喜ばせようとしているわけではありません。
自分が喜びの中にいることで、その空気が周囲へ広がっていく。
そんな感じです。
本物の喜びは、押しつけなくても伝わるのかもしれません。
楽しそうにしている人を見ると、こちらも少し明るくなる。
心から感謝している人に触れると、自分も何かを大切にしたくなる。
自然体で喜びを表している人のそばでは、安心して心を開ける。
Nine of Waterは、喜びが自然に広がるカードなのだと思います。
創造的になる時
このカードは、創造的になるには良い時期を示すカードでもあります。
内側に生じているものに、形を与える。
これは、文章を書いたり、絵を作ったり、カードを読み解いたりする活動とも相性がよいテーマだと思います。
喜びは、創造につながります。
無理に作るのではなく、内側に湧いているものを形にする。
自分の中の水の流れを、文章や絵や音楽、言葉や行動として外へ出す。
Nine of Waterが出るときは、そうした創造の流れも開きやすいのかもしれません。
大切なのは、うまくやろうとしすぎないことです。
自然に湧いているものを信頼する。
自分の喜びが向かう方向を見る。
形になりたがっているものを、少しずつ外へ出す。
そのようにして、喜びはさらに広がっていくのだと思います。
受け取った喜びは、自分だけで終わらなくてもよい。
文章にする。
絵にする。
音にする。
誰かへの言葉にする。
小さな優しさとして渡す。
Nine of Waterは、受け取った喜びが、その人らしい形で周りへ広がっていくカードでもあるのだと思います。
日常の中で見るNine of Water
小アルカナは、日常の中にある出来事や感情を映すカードです。
Nine of Waterが日常で出るとしたら、今あるものに感謝できるときかもしれません。
家族や大切な人がいること。
安心できる場所があること。
好きなものを楽しめること。
自然の中でほっとできること。
自分の感情を受け取れるようになったこと。
過去よりも少し心が開いていること。
そうしたものです。
また、自分の好きなことや創作が、自然に形になっていくときにも出ると思います。
頑張って押し進めるより、内側から湧いてくる喜びに従う。
それを表現してみる。
人と分かち合ってみる。
すると、その喜びが周囲にも伝わっていく。
Nine of Waterは、そうした自然な広がりを表すカードなのだと思います。
鑑定でこのカードを見るとき
鑑定でNine of Waterが出るとき、私は、相談者さんの中で喜びを受け取る通路が開き始めているのではないかと見ます。
これは、願いが叶うとか、良いことが起きるという意味だけではありません。
もっと内側の深いところで、
「今あるものを受け取れる」
「すでに持っているものに感謝できる」
「自分の中にある愛や喜びを、もう隠さなくてよい」
という状態に近いと思います。
恋愛や人間関係の相談で出た場合は、愛情や喜びを素直に示すことが大切になるかもしれません。
心の相談で出た場合は、過去の痛みで今の喜びを閉じないことがテーマになります。
仕事や創作の相談で出た場合は、内側から湧いてくるものに形を与える良いタイミングとして読めます。
このカードが出たときは、
「今ある幸せを、遠慮せず受け取ってください」
「過去の痛みで、今の水の流れを止めないでください」
「自然に湧く喜びを、形にしてみてください」
と伝えたいです。
また、このカードが出たとき、私は「幸せを受け取ることに、少し遠慮していませんか」とも問いかけたくなります。
つらい時期が長かった人ほど、喜びが来ても、すぐには受け取れないことがあります。
また失うかもしれない。
今だけかもしれない。
喜んだら、あとで傷つくかもしれない。
自分だけ幸せを感じてよいのだろうか。
そんなふうに、心が慎重になることがあります。
でも、Nine of Waterの人物は、水の外から眺めているのではなく、水の中に立っています。
喜びを遠くから確認しているのではなく、もうその流れの中にいる。
頭で「幸せかどうか」を判断する前に、体ごと水を受け取っている。
このカードが出たときは、今ある幸せを疑いすぎず、まず少しだけ受け取ってみてもよいのだと思います。
大きな喜びでなくても構いません。
今日、少し心が軽くなること。
誰かの言葉に救われること。
好きなものに触れること。
自分の中から自然に出てくる表現。
小さな感謝。
そうしたものを受け取ることから、心の通路は開いていくのだと思います。
そして、その喜びは自分だけで終わらなくてもよい。
文章にする。
絵にする。
音にする。
誰かへの言葉にする。
小さな優しさとして渡す。
Nine of Waterは、受け取った喜びが、その人らしい形で周りへ広がっていくカードでもあるのだと思います。
注意したいこと
Nine of Waterは、とても明るく豊かなカードです。
ただし、注意したいこともあります。
ひとつは、喜びを疑いすぎることです。
こんなにうまくいっていいのだろうか。
また失うのではないか。
今だけではないか。
喜ぶと、あとでつらくなるのではないか。
そう思うことがあります。
でも、このカードが出るときは、まず今ある水を受け取ることが大切なのだと思います。
もうひとつは、過去の記憶で心を閉じることです。
過去に傷ついたことがあると、人は喜びにも慎重になります。
でも、今流れている水を、すべて過去と同じものとして扱う必要はありません。
今は今の水があります。
Nine of Waterは、過去をなかったことにするカードではありません。
でも、過去に通路を塞がせないカードです。
Nine of Waterが出るとき
このカードが出るとき、今は喜びを受け取るタイミングなのだと思います。
中央の人物は、水の中に立っています。
周囲には水の入った壺がたくさんあります。
滝も川も、豊かに流れています。
水は足りています。
喜びは近くにあります。
受け取る準備も、少しずつ整っています。
Nine of Waterは、
「今ある幸せを受け取ってください」
「すでに持っているものに感謝してください」
「自然に湧く喜びを、周囲へ広げてください」
と伝えているように感じます。
これは、無理に明るくなるカードではありません。
心の通路が開いたときに、自然に流れてくる喜びのカードです。
その喜びは、自分を癒やし、周りにもやわらかく広がっていきます。
読者への問い
このカードを見たとき、自分に問いかけてみるとしたら。
今、私のまわりにはどんな水が流れているのだろう。
私は今ある幸せを素直に受け取れているだろうか。
すでに持っているものに、感謝できているだろうか。
過去の痛みで、今の喜びを小さくしていないだろうか。
喜びを感じることに、どこか遠慮していないだろうか。
私の内側から自然に湧いているものは何だろう。
それをどんな形にできるだろう。
私の喜びは、誰にどんなふうに広がっていくだろう。
今、心の通路を開いたままにするために、何を大切にすればよいだろう。
Nine of Waterは、Joyのカードです。
喜び。
感謝。
受容性。
自由。
幸福を経験し、それを広げること。
そして、過去の痛みで心の通路を塞がず、今ある水を全身で受け取ること。
そんなWaterの豊かな成熟を表すカードなのだと思います。
もし今、幸せを受け取ることに遠慮してしまうときや、自分の中に湧く喜びをどう形にすればよいか迷っているときは、カードを通して、今の心の流れを一緒に整理することもできます。必要なときは、どうぞお気軽にご相談ください。
Hal Luno
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This reading features cards from The Vision Quest Tarot, created by Gayan S. Winter and Jo Dosé, and published by AGM Müller. All rights reserved.