週末に口座を開いたら、残高が先週から1円も動いていない。チャートにはEAが乗ったままで、設定も触っていない。止まっているのか、条件が揃わずに見送り続けただけなのか、その画面からは分からない。
動かしっぱなしにしていると、異常に気づくのは「おかしい」と思った瞬間ではなく、数字を眺めて違和感を持った時になる。そのころには何日か過ぎている。複数のEAを並行して動かしていると、なおさら気づくのが遅れる。
今回は、毎朝の点検で見る場所と、残しておく記録をまとめる。止まってから原因を探す話ではなく、動いているうちに材料を貯めておく話だ。端末の更新も再起動も、こちらの都合とは関係なく起きる。気づくのが翌週になるか翌朝になるかは、点検を習慣にしているかどうかで決まる。
「動いている」の中身を先に決める
口座画面を開いて、ポジションがあるから動いている、と読んでしまいがちだ。だがポジションが無いのは正常なこともある。判定は回っていて条件が揃わなかった日と、判定そのものに届いていない日は、口座画面では同じ見え方になる。
確認する場所は口座ではなくログだ。今日も動いていた証拠は、その日のログにしかない。チャートに乗っていることと、今日も判定が回っていることは別の話になる。前者は画面を見れば分かるが、後者は文字が残っていなければ確かめようがない。まずは、自分が何をもって「動いている」と呼ぶのかを決めておきたい。
毎朝見るのは三か所
見るのは三か所。チャート右上のEA名と、乗っている銘柄・時間足。ターミナル下段のログの最終行の時刻。そして「取引」タブの未決済の一覧。慣れれば数分で終わる。複数のEAを動かしているなら、チャートの数だけ一つ目を、口座の数だけ二つ目と三つ目を見ることになる。
肝は二つ目で、今日の日付の行があるかどうかを見る。無ければ昨日のどこかで止まっている。三つ目では、意図していない建玉、決済されずに残った予約注文、同じ場面で二重に出た注文がないかを見る。
大切なのは順番を変えないことだ。毎日同じ順で同じ場所を見ていると「いつもと違う」が浮いてくる。逆に、その日の画面だけを単独で見ても、それが正常なのか異常なのかは判断できない。比べる相手が無いからだ。点検は毎日やるから意味があるのであって、気になった日にだけ開いても答えは出ない。
出なかった日と、回っていない日
注文が出ない日が続いたとき、中身は二つに分かれる。判定は回っていて条件が揃わなかった日と、そもそも判定まで届いていない日だ。前者は待てばよく、後者は直さないと戻らない。原因がまったく違う。
見分けるには、ログに判定の痕跡が残っている必要がある。エントリーしたときだけ書き出すEAだと、静かな相場の日と、止まっている日が同じ無音になる。見送った回も一行だけ残す作りにしておくと、翌朝そこが読めるようになる。
残すのは、日付と時刻、銘柄、そして揃わなかった条件がどれか。それだけで足りる。一日に数行が増えるだけなので、改修としては小さい部類だ。何も書き出さないEAを動かし続けるのは、この点で後から高くつく。
残す記録は三つ
点検が今日の話なら、記録は先月の話になる。EAごとに残すのは三つ。名前と版、口座と銘柄と時間足、パラメータと変更した日。凝った仕組みは要らない。表計算のファイル一枚に、動かしている本数だけ行を作れば足りる。
一つ目の版は、ファイル名に入れておく。「最新版」という名前のまま上書きし続けると、先月の成績がどの版で出たものだったか、数か月後には分からなくなる。手直しをした日付をそのまま版として付けるだけでも用は足りる。
二つ目は口座と銘柄と時間足だ。同じEAを別の口座や別の足で回しているなら、それは別の運用になる。設定が違えば、名前が同じでも別物として数える。まとめて「あのEAの成績」と呼んだ時点で、数字は読めなくなる。
三つ目のパラメータは、プロパティの画面から設定ファイルとして保存できる。変えるたびに日付を付けて別名で残していく。上書きせず、日付を付けて増やす。こうしておくと、先月の成績がどの設定で出たものかが後から動かない。
止めた日と、止めた理由
記録がいちばん抜けるのは、止めたときだ。動かし始めた日はだいたい覚えている。相場が荒れた、思ったより滑った、しばらく様子を見たい。そう思って外したあとの日付と理由は、たいてい残らない。動かしていない期間は点検もしないので、記憶だけが薄れていく。
「たしか、あのときロットを下げたはずだ」——たしか、で始まる記憶は記録の代わりにならない。
理由が残っていないと、同じ判断を何度も繰り返すことになる。半年後にまた動かし、しばらくして同じ理由で止める。書くのは一行でいい。何月何日に外した、指標の週に続けて滑ったから。それだけで、次に動かすかどうかを迷ったときの材料になる。
そして、あとで考えが変わっても前の行は消さない。次の行に書き足していく。消してしまうと、その時なぜそう判断したのかが分からなくなり、判断の履歴そのものが失われる。後から確かめられるのは、残っているものだけだ。設定も記録も、直すときは上書きではなく追記で扱いたい。
週に一度、履歴を書き出す
最後は週に一度の作業。取引履歴を書き出して、手元のフォルダに置いておく。口座履歴の画面から、レポートとして保存できる。ファイル名は書き出した日付にしておくと、あとで並べたときに迷わない。週末の数分で終わる。
端末の中の履歴は、表示している期間の設定によっては出てこないし、口座を変えれば見えなくなる。ログも日付ごとのファイルなので、いつまでも遡れるわけではない。手元に置いておく理由はここにある。
効いてくるのは、改修を頼む場面です。「先月あたりから、たまに変な時間に入る」だけでは、受け取った側は現象を再現できない。何日の何時何分に、どの銘柄でどう入ったかが分かれば、その時刻のログと突き合わせて原因の場所を絞れる。記録があるかどうかで、直るまでの時間はかなり変わります。
当方は元金融系のシステムエンジニアで、MT4・MT5のEAの改修と最適化をココナラでお受けしています。ログを一行出したい、パラメータを外に出したい、といった小さな手当てからで構いません。動かしている銘柄と時間足、いつから何が気になっているかを添えて、ココナラのメッセージからご相談ください。なお、お渡しするのはソフトウェアであって、投資助言や運用の代行ではありません。