その夜、
いつものように静かな霊視の儀式を終えたあと、ひとり机に向かっていた。
月の光が窓辺に差し込むなか、ひとつの相談が届いていた。
それは、ある女性からのものだった。
「どうしても忘れられない人がいます。
だけどその人とは、もう何年も会っていません。
これは執着なのか、それとも……魂の繋がりなのか、知りたいんです。」
メッセージに滲む震え――それは、単なる恋ではない。
僕はすぐに感じた。
これは、魂の深層に関わる問いだ、と。
そっと目を閉じる。
彼女の名前と、想い人の名前に意識を向ける。
すると、まるで二本の光の帯が
見えない空のなかで絡まり、ほどけ、また結び合う──そんな映像が、心の奥で浮かび上がった。
これは…ツインレイ。
ただの恋愛ではありえない。
互いに惹かれながら、痛み、学び、逃れたくても逃れられず、何度も輪廻のなかで巡り合ってきた存在。
二人の魂には、かつてひとつだった記憶が、かすかな震えとなって今も響き合っていた。
僕はそっと、彼女に伝えた。
「あなたが感じているのは、ただの未練じゃない。
それは、“魂の片割れ”を識る者だけが抱く、深い痛みと希求だ。
あなたたちは、出逢うべくして出逢った。
たとえ現世で交わらなかったとしても、魂はもう、決して離れない。」
彼女は静かに泣いた。
けれど、その涙は絶望ではなく、ずっと探し続けた真実に触れたときの、魂の安堵だった。
数年後。
その彼女から、一通の手紙が届いた。
──あのあと、私は思いがけず彼と再会しました。
過去のわだかまりを越え、お互いが「また逢いたかった」と心から思っていたことに気づきました。
今、私たちは小さな指輪を交換し、新たな旅を始めています。
あの日、カナタさんが“魂の真実”を見抜いてくれなかったら、私はきっと、諦めていたでしょう。本当に、ありがとうございました。
手紙を読んだあと、僕は窓の外を見上げた。
変わらぬ月の光が、そっと世界を照らしている。
魂の旅路は、きっとこれからも続いていく。
そして
どこかでまた
見えない糸を結び直していくのだろう。