会社員として働きながら副業で収入を増やしたい人へ
すでにAIを使っている。文章は速くなったし、調べ物も楽になった。でも、副業の収入は増えていない。そもそも何を売ればいいのかが見えていない。そんな段階にいる方を想定しています。
僕も同じ時期を通りました。そして原因は、はっきりしています。AIに聞いていた内容が、ずっと「作業」の話だったからです。
AIは質問に答える道具としては優秀ですが、答えの質は問いの質を超えません。収入を動かしたいなら、問いの階層を変える必要があります。
「作業の問い」と「構造の問い」
試しに、自分が最近AIに聞いたことを思い出してみてください。おそらく、こんな類ではないでしょうか。
- この文章を要約して
- このコードのエラーを直して
- 提案書のたたき台を作って
これらはすべて作業の問いです。目の前のタスクを速く終わらせる。価値はありますが、終わった瞬間に効果も終わります。
一方で、収入を動かすのは構造の問いです。
- 自分の持っているスキルのうち、市場で値段がつくのはどれか
- その中で、今いちばん供給が少ないのはどれか
- そのスキルを、一回売りではなく繰り返し売れる形にするには何が必要か
どちらも同じAIに投げる問いですが、返ってくるものの性質がまったく違います。前者は時間を返してくれる。後者は選択肢を返してくれる。
副業の収入を動かす4つの問い
構造の問いは、抽象的なままでは使えません。実際に投げられる形にすると、おおむね次の4つに整理できます。
①棚卸しの問い
> 「私の経歴は〇〇です。この経験の中で、外部の人がお金を払ってでも知りたがる知識や、代わりにやってほしがる作業を、できるだけ具体的に列挙してください。一般論ではなく、この経歴に固有のものに絞ってください。」
本業の経験は、自分からは平凡に見えます。毎日やっているからです。この認知の歪みを外から補正してもらうのが、この問いの役目です。
②値付けの問い
> 「列挙したもののうち、①需要が安定していて、②参入障壁がそこそこ高く、③会社員が空き時間で提供できるものを3つに絞ってください。それぞれ、想定顧客と価格帯の目安も添えてください。」
ここで重要なのは、AIの出した価格をそのまま信じないことです。相場は変動するうえ、AIは出典なしでもっともらしい数字を出します。ここで得るのは「どの方向に探すか」であって、「いくらで売るか」ではありません。実際の相場は、実際の市場を見て確かめます。
③障害の問い
> 「このサービスを会社員が副業として提供する場合、実務上つまずきやすい点を、着手前・提供中・提供後に分けて挙げてください。」
これが最も使われていない問いです。人は、やりたいことは想像できても、つまずく場所は想像できません。先回りして潰しておくと、着手後の消耗が明確に減ります。
④反証の問い
> 「この計画がうまくいかないとしたら、最も可能性が高い原因は何ですか。厳しく指摘してください。」
AIは放っておくと肯定的に答えます。意識的に反証を求めないと、都合のいい材料だけが集まります。
なお、始める前に就業規則と守秘義務の確認は必ず済ませてください。ここはAIに聞く話ではなく、自社の規程を読む話です。
問いが出てこないのは、見方の問題
ここまで読んで、「そもそも自分にはそんな問いが思いつかない」と感じた方もいるはずです。それが正常です。
問いは知識から出てくるのではなく、ものの見方から出てきます。そして、見方は鍛えられます。
鍛え方1:日常を「誰かの困りごと」として見る
一番実践しやすい方法です。
本業の中で、自分や同僚が「面倒だ」と感じた瞬間を、その日のうちにメモする。重要なのは、解決策を考えないことです。困りごとのストックだけを溜めます。
なぜなら、売れるものは自分の得意から生まれるのではなく、誰かの困りごとから生まれるからです。自分の得意を起点に考えると、ほぼ必ず需要のないものを作ります。メモが20個も溜まる頃には、繰り返し出てくるパターンが見えてきます。
鍛え方2:「なぜその値段なのか」を考える癖
サービスを見たとき、価格を「高い・安い」で判断せず、「なぜこの価格が成立しているのか」を考えてみてください。
何が手間で、何が代替困難で、誰が払っているのか。これを繰り返すと、価格が能力ではなく構造で決まっていることが見えてきます。そこが見えると、自分の価格設定も変わります。
鍛え方3:AIに考えさせず、AIと考える
最後に、使い方そのものの話です。
結論を聞いて終わりにすると、見方は育ちません。有効なのは、自分の仮説を先に書いてからAIに投げることです。
> 「私はこう考えています。この見立ての弱点はどこですか。」
この形にすると、AIは採点者になります。自分の思考の癖が、返答のたびに可視化される。これを何十回と繰り返した頃には、AIに聞く前に弱点が見えるようになっています。
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小さく一回、実際に売ってみる
ここまでは準備の話です。ただ、見方を最も効率よく鍛えるのは、一度実際に売ってみることです。
金額は小さくて構いません。5,000円でも、3,000円でも。売れた瞬間と売れなかった瞬間のどちらも、机上の分析100回分の情報量があります。価格が高すぎたのか、説明が伝わらなかったのか、そもそも需要がなかったのか。この答えは、市場からしか返ってきません。
そして一度売ると、次にAIへ投げる問いが変わります。「何を売ればいいか」から「この反応をどう解釈すべきか」へ。問いが具体的になるほど、AIの答えは鋭くなります。
おわりに
AIは、答えを出す道具ではなく、思考を増幅する道具です。増幅される前の思考が浅ければ、浅い答えが速く返ってくるだけです。
明日、AIを開いたら、いつもの作業の依頼を打つ前に、一つだけ聞いてみてください。
「私のこの経験に、値段がつくとしたらどこですか」
その一行が、半年後の副業収入を変える問いかもしれません。