元世界王者とケンカ自慢|なぜ「必ず勝てる手法」は存在しないのか

元世界王者とケンカ自慢|なぜ「必ず勝てる手法」は存在しないのか

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マネー・副業
YouTubeで700万回再生されている動画があります。

ボクシング元ミドル級世界チャンピオンの竹原慎二さん。まもなく50歳。その竹原さんと、暴走族の元総長やケンカ自慢たちがスパーリングをする、という企画です。

スパーリング前、彼らは竹原さんを完全に舐めきっています。

「うぃーす。スパーリングできるって聞いたんで」「余裕っしょ」「元チャンピオンっての気に食わないんで。オヤジ狩りどう? みたいな」「おっさんパンチ打てるんですか?」

ところが、始まった瞬間に勝負になりません。

相手がケガをしないよう手加減して打つ竹原さんに対して、彼らは何もできない。

そしてスパーリング後、彼らはこう言います。

「強い。速い。見えない」
「痛感しました。敵わないなって」
「めちゃくちゃ強い」
「ありがとうございました」

——この動画を見て、私はトレードの話に似ているな、と思いました。

今回は、この話を入り口に「なぜ必ず勝てる手法は存在しないのか」を整理します。

そして最後に、この動画でいちばん大事な場面がどこだったかについても書きます。

まず、彼らは弱かったわけではない


誤解しないでいただきたいのですが、このケンカ自慢の人たちは、決して弱くありません。

実際に修羅場をくぐってきた人たちです。街での勝負なら、おそらく大半の人は敵わないと思います。

自信にも根拠がありました。負けたことがなかったのです。

それでも、勝負にならなかった。

なぜでしょうか。

体格でも、気合でも、経験の量でもありません。

やってきたことの「中身」が違ったからです。



竹原さんは、ボクシングという競技のセオリーに沿って、何年も鍛錬を積んできました。ジャブの打ち方、体重の乗せ方、距離の取り方、ガードの位置、フットワーク。全部に理屈があり、順番があります。

一方、ケンカで培われるのは、その場その場を切り抜けた経験の集合です。
それ自体は本物ですが、体系にはなっていません。

だから、体系を持った相手には通用しなかった。

竹原さんも、出発点は同じだった


ここが、この話でいちばん救いのある部分です。

竹原さん自身も、若い頃はケンカに明け暮れていました。

その彼が、プロボクサーを目指して上京し、ジムに入門し、セオリーに沿って鍛錬を重ねて、世界を獲りました。

つまり――

分かれ道は、才能ではなく「体系を学ぶ場所に行ったかどうか」でした。



同じ出発点から、片方は世界チャンピオンになり、片方は「敵わない」と言う側になった。

この構造は、トレードでもそのまま起きています。

トレードでも、同じことが起きている


FXを始めた人の多くは、こういう道をたどります。

・SNSやYouTubeで手法を知る
・試してみる。うまくいく日もある
・「これでいける」と感じる
・しばらくすると、通用しなくなる
・別の手法を探す
・以下、繰り返し

断片的な知識と、たまたま勝った経験。これが積み上がっていきます。

これは「ケンカで負けたことがない」という状態と、よく似ています。

本物の経験ではあります。嘘ではありません。

でも、体系にはなっていない。

だから、環境が変わった瞬間に通用しなくなる。「前は勝てていたのに」という状態は、こうして生まれます。

そして、多くの人が「聖杯」を探し始める


うまくいかない期間が続くと、こう考えたくなります。

「まだ、本当に勝てる手法に出会えていないだけだ」

そして探し始めます。

・勝率90%のロジック
・億トレーダーの秘密の手法
・誰も知らないインジケーターの設定値

トレードの世界では、こうした「絶対に勝てる方法」のことを聖杯(せいはい)と呼びます。

結論から言います。

聖杯は存在しません。

これは「見つかっていない」という意味ではありません。
構造的に、存在できないという意味です。

理由を説明します。

なぜ聖杯は存在できないのか


ボクシングで考えてみてください。

もし「絶対に当たって、絶対に倒せるパンチ」が発見され、本に書かれて、全員が読んだとします。

どうなるでしょうか。

全員がそのパンチを知っています。 だから全員が対策します。結果、誰にも当たらなくなる。

知られた瞬間に、効かなくなるのです。

相場も同じです。というより、相場のほうが露骨です。

相場は、参加者どうしの売買で価格が決まる場所です。
誰かが買うためには、誰かが売る必要があります。

もし「必ず上がるタイミング」が広く知られたら、全員が買おうとします。でも売る人がいなければ、取引は成立しません。成立するとしても、そのときにはもう価格は上がりきっています。

本当に確実な方法は、広まった瞬間に確実でなくなる。

これが、聖杯が存在できない構造的な理由です。

見つかっていないのではなく、見つかったら消える性質のものなのです。

それでも「セオリー」は存在する


ここが今回いちばん伝えたい部分です。

聖杯は存在しません。でも、セオリーは存在します

この2つは、まったく別のものです。

【聖杯】
・知られると効かなくなる
・「必ず勝てる」と約束する
・誰でもすぐに使える、とされる

セオリー
・知られていても価値が消えない
・「必ず勝てる」とは言わない
・身につけるのに時間がかかる

ボクシングのセオリーを考えてみてください。

ジャブ、ガード、フットワーク、距離の取り方。
これらは秘密でも何でもありません。本にもYouTubeにも書いてあります。竹原さんと対戦した人たちも、たぶん知っていたはずです。

それでも、竹原さんは強かった。

なぜか。

知っていることと、できることは、まったく別だからです。

だからセオリーは、全員に公開されていても価値が減りません。この点で、聖杯とは根本的に性質が違います。

ボクシングジムは「必ず勝てるパンチ」を売っていない


ここも大事なところです。

世の中にはたくさんのボクシングジムがあります。
でも、どのジムも「必ずKOできる必殺パンチを教えます」とは言いません。

教えているのは、基礎です。

・フォーム
・体の使い方
・練習のやり方
・何を、どの順番で身につけるか

そして、それでも価値があります。 というより、それこそが価値です。

独学でサンドバッグを叩き続けても、フォームが崩れていれば力は伝わりません。自分では気づけない。外から見てもらって初めてわかることが、たくさんあります。

トレードの学習も、構造としては同じです。

セオリーは「勝ち方」より先に「負け方」を教える


もうひとつ、重要な特徴があります。

ボクシングジムに入って、初日に何を習うか知っていますか。

構えとガードです。

パンチの打ち方ではありません。まず、殴られない体をつくるところから始まります。フットワークもそうです。攻撃ではなく、位置取りの技術です。

トレードのセオリーも、まったく同じ順番です。

・資金管理
・損切りの置き方
・1回の取引で失っていい額の決め方

先に来るのは「守り」です。

多くの人が最初に知りたがるのは「どこで入るか」ですが、セオリーの順番では、それはもっと後ろにあります。

理由は単純で、退場しなければ次の機会があるからです。

竹原さんはスパーリングでパンチをもらっていました。プロも被弾します。
無敗ではありません。

でも倒れない。もらってもダメージを最小限にする技術があるからです。

トレードも同じです。プロも負けます。 負けない人はいません。負けても致命傷にならない設計をしているだけです。

勝率100%の手法は存在しない。でも、負けても続けられる設計は存在する。

この違いは決定的です。

では、何から学べばいいのか


セオリーには順番があります。ボクシングでいきなりKOの取り方から入らないのと同じです。

大まかには、こういう順序になります。

1. 資金管理
1回の取引でいくらまで失っていいか。ここが決まっていないと、他が全部無意味になります。

2. 相場環境の認識
今がどういう状況か。上がりやすいのか、下がりやすいのか、方向感がないのか。

3. ファンダメンタルズ分析
金利、経済指標、ニュース。なぜその方向に動くのかを考える材料です。

4. テクニカル分析
チャートの形から、タイミングを考える材料です。

5. 記録と振り返り
やったことを残して、後から見返す。ボクサーが自分の試合映像を見るのと同じです。

多くの方が4番から入り、1番を飛ばします。
順番が逆になると、身につきにくくなります。

そして、この順番を自分で組み立てるのは、実はかなり難しいことです。
「何を知らないか」は、自分では見えにくいからです。

この動画で、いちばん大事な場面


さて、ここまで書いてきましたが、私がこの動画でいちばん重要だと思ったのは、スパーリングの内容ではありません。

終わった後です。

彼らは、こう言いました。

「痛感しました。敵わないなって」
「ありがとうございました」

言い訳をしませんでした。

「調子が悪かった」とも「ルールが不利だった」とも言わず、負けを認めて、礼を言って帰った。

これが、いちばん強い態度だと思います。

トレードでうまくいかないとき、こういう説明をしたくなることがあります。

・相場が特殊だった
・あのニュースがなければ勝っていた
・手法が自分に合っていなかった

その説明が事実である場合もあります。でも、そこで止まると、次に進めません。

一方、「自分にはまだ足りない部分がある」と認められた人は、そこから学び始めることができます。

竹原さんと対戦した彼らは、そこができていました。だから、あの動画は見ていて気持ちがいい。

負けを認めるのは、弱さではありません。 
更新できるということです。そして更新できる人が、いちばん速く伸びます。

まとめ


1. 聖杯は「見つかっていない」のではなく、存在できない
本当に確実な方法は、広まった瞬間に確実でなくなる。相場は参加者どうしの取引で成り立っているため。

2. でもセオリーは存在する
セオリーは公開されていても価値が減らない。知っていることと、できることが別だから。

3. セオリーは「勝ち方」より先に「負け方」を教える
ボクシングの初日はガードから。トレードも資金管理と損切りが先。

4. プロも負ける
勝率100%は存在しない。負けても続けられる設計があるだけ。

5. 分かれ道は才能ではなく、体系を学ぶ場所に行ったかどうか
竹原さんも、出発点はケンカだった。

6. いちばん強い態度は、負けを認められること
更新できる人が、いちばん速く伸びる。

おわりに


この記事の最後に、私のサービスの案内があります。

先に、ひとつだけはっきりさせておきます。

これは「勝てる手法」の案内ではありません。

そんなものがあれば売りません。売った時点で効かなくなるからです。この記事で書いてきたとおりです。

案内しているのは、ボクシングジムと同じものです。何を、どの順番で身につけるか。自分では見えない癖はどこか。そういうことを整理するための場所です。

竹原さんが世界を獲れたのは、才能だけではなく、セオリーを学べる場所に行って猛練習したからでした。

「勝ちたいけれど、うまくいかない」という状態は、能力の問題ではないことが多いです。学ぶ順番が整理されていないだけ、という場合が本当によくあります。

チャートだけを見ていると、相場が動いた理由がわからないまま終わってしまいます。ニュースだけを追っても、どれが効いているのか整理できません。

大事なのは情報を集めることではなく、見る順番を決めることです。

FXを基礎から体系的に学びたい方、独学で学習順序に迷っている方は、一度ご自身に必要な学習内容を整理してみることをおすすめします。順番が決まるだけで、日々の相場の見え方はかなり変わってきます。

竹原さんの言葉を、最後に引いておきます。

世の中、甘くないとわかってくれたらいいんだけど

厳しい言葉に聞こえますが、裏を返せば、きちんとやれば通用する世界だということでもあると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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