坂道でパワーが出ない、それ様子見で大丈夫?エンジン出力低下の見落としがちな原因

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以前より坂道での加速が鈍い気がする。でも「そういう時期もあるか」と様子を見てしまう。そんな経験はありませんか。
出力低下の原因としてまず疑われるのは、ターボの摩耗やインジェクターの劣化です。特にインジェクターは高走行距離になると1本ずつ順番に壊れていく傾向があり、結果的に1本ずつ交換するより、まとめて交換した方が総コストを抑えられるケースもあります。
インジェクターの良否は、症状だけで判断するものではありません。実際には、診断機でのテスト結果に加えて、取り外したインジェクターを直接目視し、スリーブとの当たり面の状態、先端の詰まりや摩耗、ヒビや傷の有無などを総合的に見て判断します。さらに言うと、内部の破損状態や噴霧の状態(燃料をどう霧状に噴いているか)は、正規ディーラーであっても内燃機専門の特殊工場でなければ正確には判断できません。「ディーラーで見てもらったから大丈夫」と思っていても、実はそこまで踏み込んだ診断がされていない、ということもあり得るわけです。
交換費用の目安としては、部品代が1本あたり約20万円、工賃は1本交換で5万円前後、6本(全数)交換でも工賃は7万円程度に収まります。単純計算では、1本交換が約25万円、全数交換が約127万円です。
ここで悩ましいのが、「外観上は問題なさそうに見えても、使用期間が同じであれば摩耗の進み具合も同程度である可能性が高い」という点です。1本だけ交換しても、しばらくして別の1本がダメになった、というケースは珍しくありません。その場合、通常は「悪い部分だけ再度交換」という対応にはならず、結局は全数交換を勧めることになります。つまり、最初に払った5万円の工賃が無駄になり、合計では132万円かかってしまう計算です。
25万円で済むならそれに越したことはありませんが、その車両を今後数年単位で乗り続ける予定であれば、整備のたびに運行を止める時間、再入庫の手間、そして最悪の場合は走行中にエンジンがかからなくなりレッカーが必要になるリスクまで考えると、多少初期費用がかさんでも全数交換を選んだ方が、結果的に安く済むことが多いというのが実感です。
出力低下は、こうしたインジェクターやターボ以外にも、燃料リフトポンプやクランクポジションセンサーの不具合による息継ぎ・エンストが原因のこともあります。これも初期は「なんとなく調子が悪い」程度で見過ごされがちな症状です。
同じように見過ごされやすいのが、ピストンリングの摩耗による圧縮低下です。特定の気筒だけ実質的に仕事をしていない「一発死んでいる」状態になっても、エンジンは普通にかかりますし、吹け上がりも一見普通に見えます。ただし力は明らかに出ず、走行中のバタつき(振動・脈動)が目立つようになります。
「なんとなく調子が悪い」段階で相談してもらえれば、様子見で良い症状か、早めに点検すべき症状か、写真や症状の説明からある程度の見立てをお伝えできます。
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