相続した「金(ゴールド)」を売却したらどうなる? ―― 税金・申告・売る前に気をつけたいこと

相続した「金(ゴールド)」を売却したらどうなる? ―― 税金・申告・売る前に気をつけたいこと

記事
コラム
「父の金庫から、金の延べ棒が出てきた」 「母が純金積立をしていたことが、亡くなってから分かった」

相続のご相談の中で、*金(ゴールド)*の話を聞くことが増えています。近年、金の価格は大きく値上がりしていることもあり、「相続した金を売ったら、いくらになるだろう」と考える方も多いのではないでしょうか。

ただ、相続した金を売るときには、税金のことや、売るタイミングについて知っておきたいことがいくつかあります。知らずに売ってしまうと、思わぬ税金がかかったり、相続の手続きに影響したりすることもあります。

この記事では、相続した金を売却したらどうなるのかを、順番に解説します。

※この記事は制度の概要をご紹介するものです。実際の税額の計算や申告については、税理士にご確認ください。

1. 金も「相続財産」になる

まず大前提として、亡くなった方が持っていた金は、相続財産になります。

・金の延べ棒(インゴット)
・金貨
・純金積立
・金のアクセサリー

これらはすべて、現金や預貯金、不動産と同じように、遺産として扱われます。

金は、不動産のように名義が登記されているわけではないため、「家にあるものだから、だれのものでもない」と思われがちです。しかし、金庫やタンスにしまってあった金も、れっきとした相続財産です。

相続税の対象にもなる

相続財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告が必要です。その際、金も財産の一つとして計算に含める必要があります。

金の価値は、原則として亡くなった日の時価で評価します。一般的には、その日の買取価格などを目安にします。

「家にあった金だから、申告しなくても分からないだろう」と考えるのは危険です。申告から漏れていると、後で追加の税金や、ペナルティが課されることがあります。

2. 相続した金を売ると、どんな税金がかかる?

相続した金を売って利益が出た場合、その利益には*所得税(譲渡所得)*がかかります。

ここで注意したいのが、相続税と所得税は別の税金だということです。

・相続税:財産を相続したことに対してかかる税金
・所得税:相続した金を売って、利益が出たことに対してかかる税金

「相続税を払ったから、もう税金はかからない」というわけではありません。相続税がかからなかった場合でも、金を売って利益が出れば、所得税がかかることがあります。

「利益」はどう計算する?

金を売ったときの利益(譲渡所得)は、おおまかに次のように計算します。

売った金額 -(取得費 + 売るためにかかった費用)- 特別控除(最高50万円)

ここでいう「取得費」は、亡くなった方が金を買ったときの金額です。相続した日の価格ではない、という点がポイントです。

3. 税金の計算で知っておきたい3つのポイント

ポイント① 「いつ買ったか」は亡くなった方を引き継ぐ
相続した金は、亡くなった方が買った日と、買った金額を、そのまま引き継ぎます。

たとえば、父が20年前に300万円で買った金を相続し、それを1,500万円で売った場合、利益は「1,500万円 - 300万円」をもとに計算します。相続した日から計算するわけではありません。

金の価格が大きく上がっている今、昔に買った金ほど利益が大きくなり、税金も大きくなりやすいのです。

ポイント② 5年を超えて持っていたかどうかで変わる

金の売却による利益は、持っていた期間が5年を超えるかどうかで扱いが変わります。

・5年以内:利益の全額が、ほかの所得と合わせて課税される
・5年超:利益の2分の1が、ほかの所得と合わせて課税される

この「持っていた期間」も、亡くなった方が買った日から数えます。相続した金の多くは、5年を超えて持っていたものとして扱われることが多いでしょう。

なお、金の売却による利益は、給与や年金などのほかの所得と合計して税金を計算します。そのため、同じ利益でも、売った人の収入によって税額が変わります。

ポイント③ 買った金額が分からないとき
困るのが、「父がいつ、いくらで買ったのか分からない」というケースです。

購入時の領収書や取引の記録が見つからない場合、原則として、*売った金額の5%*を取得費として計算することになります。

1,500万円で売った場合 → 取得費は75万円

利益は「1,500万円 - 75万円」をもとに計算

実際に買った金額より、ずっと低い取得費で計算されることになるため、税金が大きくなってしまいます。

金庫の中や書類の束に、購入時の明細書や領収書が残っていないか、売る前にしっかり探しておきましょう。購入した店に、取引の記録が残っていることもあります。

相続税を払った人は、特例が使えることも
相続税を納めた人が、相続した財産を、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合、納めた相続税の一部を取得費に加えられる特例があります。これにより、所得税の負担を軽くできる場合があります。

売るタイミングによって使えるかどうかが変わるため、相続税を納めた方は、売る前に確認しておくとよいでしょう。

4. 売却したら確定申告が必要

金を売って利益が出た場合は、売った年の翌年の2月16日から3月15日までに、確定申告をする必要があります。

会社員の方で、ふだん確定申告をしていない方も、金の売却による利益があれば申告が必要になることがあります。

「売ったことは分からない」は通用しない
金の買取業者は、一度に200万円を超える金を買い取った場合、売った人の氏名や住所、金額などを記載した支払調書を、税務署に提出することになっています。

つまり、まとまった金額の金を売れば、税務署はその取引を把握できるということです。

「200万円以下なら分からない」と、何回かに分けて売ろうと考える方もいますが、支払調書が出るかどうかに関わらず、利益が出ていれば申告の義務はあります。また、相続税の申告で金を申告していなかった場合、売却をきっかけに、相続税の申告漏れが分かることもあります。

5. 売る前に気をつけたいこと

遺産分割が終わる前に、勝手に売らない
金は、遺産分割が終わるまでは、相続人全員のものです。一人の相続人が、ほかの相続人に断りなく売ってしまうと、トラブルの原因になります。

売って現金で分ける場合も、まずは相続人全員で話し合い、合意しておくことが大切です。

相続放棄を考えているなら、売ってはいけない
亡くなった方に借金があり、相続放棄を考えている場合は特に注意が必要です。

相続財産を売ったり使ったりすると、*相続することを認めた(単純承認した)*とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。

「借金があるかもしれない」という場合は、金に手をつける前に、財産と借金の全体をよく確認しましょう。

売った利益は、売った人にかかる
複数の相続人で金を売って、お金を分けた場合、譲渡所得はそれぞれの相続人が、取り分に応じて申告することになります。相続人のだれか一人がまとめて申告すれば済む、というわけではありません。

6. 純金積立・金貨・金のアクセサリーの場合

純金積立
亡くなった方が純金積立をしていた場合、まず、積立をしていた会社で相続の手続きが必要です。

手続きの方法は会社によって異なりますが、一般的には、

・金を売却して、現金で受け取る
・相続人の口座に、金のまま移す

といった方法から選ぶことになります。売却する場合は、延べ棒などと同じように、譲渡所得の扱いになります。

純金積立は、郵便物やメールが届くまで、家族が存在に気づかないこともあります。通帳の引き落とし記録なども確認してみましょう。

金貨
金貨も、延べ棒と同じく、売って利益が出れば譲渡所得の対象になります。記念金貨などは、金の価値とは別に、収集品としての価値がつくこともあります。

金のアクセサリー
ネックレスや指輪などのアクセサリーの場合、1個または1組の価格が30万円以下であれば、売っても原則として税金はかかりません。30万円を超えるものは、課税の対象になることがあります。

7. まとめ

相続した金を売却するときのポイントを、あらためて整理します。

・金も相続財産。相続税の申告が必要な場合は、金も含めて計算する
・売って利益が出たら、相続税とは別に所得税がかかる
・利益は、亡くなった方が買ったときの金額をもとに計算する
・買った金額が分からないと、**売った金額の5%**で計算され、税金が大きくなる
・まとまった金額を売ると、買取業者から税務署に支払調書が出る
・遺産分割前に勝手に売らない。相続放棄を考えているなら手をつけない

金は、現金に換えやすい便利な財産である一方、売り方やタイミングによって、税金や相続の手続きに大きく影響する財産でもあります。

おわりに

「家から金が出てきたけれど、どうすればいいか分からない」

そんなときは、ココナラの相続・遺言の電話相談をご利用ください。

※税額の計算や申告など、税金に関する具体的なご相談は税理士、相続人どうしの争いは弁護士など、ご相談内容によっては他の専門家へのご相談をおすすめすることがあります。

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