以前「フリー素材の落とし穴」という記事で、ライセンスの注意点を詳しく解説しました。今回はその実践編として、「写真ならここ」「イラストならここ」「動画ならここ」というように、目的別におすすめのサイトを一つひとつ掘り下げて紹介します。定番サイトだけでなく、意外と知られていない使い勝手の良いサービスも交えて解説します。
フリー素材サイトは数え切れないほど存在しますが、実際に使ってみると「思っていたのと違った」「欲しい雰囲気の素材が見つからない」という声をよく聞きます。それぞれのサイトには得意な写真のテイスト、イラストのスタイル、動画の種類があり、目的に合ったサイトを知っているかどうかで、素材探しにかかる時間は大きく変わります。この記事では、実際の制作現場でよく使う素材サイトを、写真・イラスト・動画の3ジャンルに分けて、それぞれの特徴とライセンス条件を詳しく解説します。
この記事で分かること
・写真素材サイト5選と、それぞれの得意なテイスト
・イラスト素材サイト5選と、スタイル別の使い分け
・動画素材サイト4選と、商用利用の注意点
・あまり知られていない、掘り出し物のようなサービス
・用途別に「結局どれを使えばいいか」の早見表
写真素材サイト——テイスト別に5つを比較
まずは最も利用頻度の高い、写真素材のサイトから見ていきます。同じ「フリー写真」といっても、サイトごとに雰囲気が大きく異なるため、複数のサイトを使い分けることをおすすめします。
サイト名:得意なテイスト
Unsplash 海外的で洗練された写真全般
Kaboompics 統一感のあるライフスタイル・デスク周り
ぱくたそ 日本人モデル・ユニークなシーン
GIRLY DROP 女性向け・カフェ/花/美容系
写真AC 日本の生活シーン全般・種類が豊富
01. Kaboompics
——統一感のある「デスク周り・くらし」写真の穴場
商用利用:可、クレジット表記:不要、会員登録:不要
ポーランド発の写真素材サイトで、3万点以上の写真を無料・商用利用可・クレジット表記不要・会員登録不要で使えます。最大の特徴は、同じ背景・同じ光の当たり方で撮影された「セット写真」が多いことです。トップページのメイン写真とブログ内の写真で雰囲気がバラバラになりがちな問題を、Kaboompicsの同一セット内の写真を使い回すことで自然に解決できます。特にカフェ・雑貨・デスク周りのような、色味の統一感が重要なビジネスと相性が良いサイトです。
02. GIRLY DROP
——美容系・女性向けビジネスに刺さる質感
商用利用:可、クレジット表記:不要、会員登録:不要
プロのカメラマンが撮影した、女性向けの上質な写真を無料・会員登録不要で使える日本のサイトです。カフェ、花、コスメ、季節の行事など、エステサロンや美容室のホームページで欲しくなるようなテイストの写真が充実しています。ブログやSNSでの利用が想定されているサイトのため、商用のホームページで使う場合は念のため利用規約のページを確認しておくと安心です。
03. O-DAN
——複数のフリー素材サイトを日本語で横断検索できる裏技ツール
O-DANはそれ自体が写真を提供しているサイトではなく、Unsplash・Pixabay・Kaboompicsなど40以上の海外フリー素材サイトを、日本語キーワードで一括検索できる検索エンジンです。「カフェ」「打ち合わせ」のように日本語で検索するだけで、複数サイトの写真がまとめて表示されるため、一つひとつのサイトを回る手間が省けます。素材探しの時間を大幅に短縮できる、知る人ぞ知る便利ツールです。
ぱくたそは独特のユーモアがある写真が多く、親しみやすい雰囲気を出したいサイトに向いています。ただし、同じ写真素材を大量に商品化して再配布するような使い方には制限があるため、通常のホームページ利用であれば問題ありませんが、念のため利用規約ページの該当項目に一度目を通しておくことをおすすめします。写真ACは種類の豊富さが魅力ですが、ダウンロードには無料会員登録が必要になる点は覚えておきましょう。
イラスト素材サイト——スタイルで選ぶ5つの選択肢
イラストは写真以上に「サイト全体の雰囲気」を左右する要素です。フラットなビジネス系イラストが欲しいのか、手描き風のやわらかい雰囲気が欲しいのかによって、選ぶべきサイトはまったく変わってきます。
サイト名とスタイル
ソコスト 落ち着いたフラットデザイン
Loose Drawing ゆるい手描き風の線画
unDraw 単色でモダンなベクター
Storyset カラフルで賑やかなベクター
イラストAC 日本語に強い、種類が豊富
01. ソコスト
——ブランドカラーに合わせて色を変えられる万能フラットイラスト
商用利用:可、クレジット表記:不要、色の変更:可
1,000点以上のイラストを、PNG・SVG・EPS形式で商用利用可・クレジット表記不要・登録不要で使える日本のサイトです。線の太さや色使いに落ち着いたトーンで統一されており、サイト全体のブランドカラーに合わせて色を変更できるのが大きな強みです。以前の記事で紹介した「メインカラーを2〜3色に絞る」という世界観づくりの考え方とも相性が良く、イラストの色をサイトのアクセントカラーに揃えるだけで、統一感のある印象に仕上がります。
02. Loose Drawing
——「ゆるさ」で差別化したいときの定番
商用利用:可、クレジット表記:不要、色の変更:不可
手描きのようなやわらかい線が特徴のイラストサイトです。法人・個人を問わず商用・非商用ともに無料で使用でき、クレジット表記も不要です。ただし、イラストそのものをLINEスタンプなどの商品として再配布・販売することは禁止されています。堅い印象になりがちな業種でも、このゆるいタッチのイラストを使うことで親しみやすさを演出できます。
03. unDraw と Storyset
——似ているようで条件が違う2大ベクターサイト
商用利用:可、クレジット表記:要表記(無料版)、色の変更:可
どちらも海外発の高品質なベクターイラストサイトですが、ライセンス条件に違いがあります。unDrawは単色ベースのイラストで、商用利用・クレジット表記ともに完全に不要です(ただしイラストをまとめて再配布したり、類似の素材サービスを作ったりすることは禁止されています)。一方Storyset(Freepik提供)はカラフルで表現力が高い反面、無料版は利用の際にクレジット表記が必要で、表記を省略したい場合は有料プランへの加入が必要です。「とにかく無条件で使いたい」ならunDraw、「表現力を優先したい」ならクレジット表記を前提にStorysetを検討すると良いでしょう。
写真は「世界観」を、イラストは「親しみやすさ」を伝える素材です。両方を同じトーンで揃えることで、サイト全体の説得力が一段と増します。
動画素材サイト——ヒーロー動画やSNS用に使える4選
最近はトップページの背景に短い動画を使うサイトも増えています。動画素材は写真以上にファイルサイズが大きく、表示速度への影響も考慮しながら選ぶ必要があります。
サイト名と特徴
Coverr ループしやすい、雰囲気重視の短尺動画
Mixkit 本数が多く、動画・音楽・効果音も揃う
Pixabay Videos 写真素材と同じ感覚で探せる汎用性
01. Coverr
——ホームページのヒーロー動画に使いやすい一本
商用利用:可、注意点:特になし
雰囲気重視の短い動画が中心で、商用・非商用ともに無料、クレジット表記も不要です。1080pのHD画質でループ再生に向いた素材が多く、トップページの背景動画として使うのに適しています。
02. Mixkit
——本数の多さは魅力、ただしライセンス表記の確認を忘れずに
商用利用:素材による、注意点:一部Restricted Licenseあり
動画に加えて音楽・効果音までまとめて揃うのがMixkitの強みです。多くの素材が商用利用可能な「Free License」ですが、一部の素材には利用範囲が制限された「Restricted License」が設定されています。ダウンロードページに記載されているライセンス種別を、使用前に必ず確認してください。
動画素材を使う際は、ファイルサイズにも注意が必要です。以前の記事で紹介した画像の軽量化と同様、動画も圧縮ツールで容量を抑えてから設置しないと、ページの表示速度が大きく低下する原因になります。せっかく雰囲気の良い動画を見つけても、読み込みが遅ければ離脱の原因になってしまいます。
用途別の早見表
最後に、「結局どれを使えばいいか分からない」という方のために、目的別のおすすめをまとめました。
✔ トップページのメイン写真を揃えたい → Kaboompicsのセット写真
✔ 複数サイトをまとめて日本語で探したい → O-DAN
✔ 美容系・女性向けの雰囲気が欲しい → GIRLY DROP
✔ ブランドカラーに合わせたイラストが欲しい → ソコスト
✔ 親しみやすい、ゆるい雰囲気を出したい → Loose Drawing
✔ とにかく制約なく使えるイラストが欲しい → unDraw
✔ トップページの背景動画が欲しい → Coverr
どのサイトも便利ですが、便利さに惹かれて安易に組み合わせすぎると、サイト全体の統一感が失われてしまいます。まずは軸になる1〜2サイトを決め、そこで足りないものだけを他のサイトで補うという使い方が、結果的に一番まとまりの良いホームページに仕上がります。
素材選びに迷ったら、ご相談ください
サイトの世界観に合う写真・イラストの選定もサポートします。