「台本を用意したのに、いざ読むと棒読みになる」
「感情を込めようとすると、なぜか子供っぽく聞こえてしまう」
そんな悩みを持つ配信者は多いです。
実はそれ、あなたの声が悪いわけでも、練習不足なわけでもありません。
日本語の構造上、「て・に・を・は(助詞)」の扱い方を間違えているだけかもしれません。
今回は、子育てサイトの脳科学記事をヒントに、大人のポッドキャスターが身につけるべき「プロの話し方」へ翻訳して解説します。
取り上げたニュース
【音読の宿題には意味がある!】脳の先生が教える脳活性音読が育む8つの力と、加藤式音読のコツ
発表日:2022年9月25日
参照元:Gakken こそだてまっぷ
脳科学者・加藤俊徳医師による「脳活性音読法」の解説記事
音読で最も重要なのは「声を出すこと」ではなく、出した声を「自分の耳で聞くこと」。自分の声を聞くことで脳へのインプットと理解が進む。
学習の基礎となる「8つの力(聞く・見る・動かす・伝える・吸収する・わかる・考える・気持ちを知る)」が育まれる。
喋りとは「出力」ではなく「フィードバック」である
多くの配信者は、喋ることを「口から音を出す作業(出力)」だと思っています。しかし、この記事が示唆するのは、「出した音を自分の耳で聞き、脳で再認識するサイクル(フィードバック)」こそが本質だという点です。
「噛む」「棒読みになる」原因の多くは、自分の声が脳に届いていない(=自分が一番のリスナーになれていない)ことにあります。
自分が聞いて理解できていない言葉は、当然、リスナーにも届きません。
「喋りながら聞く」
この回路を繋ぐことが、トーク力向上の鍵です。
「て・に・を・は」は大人の作法で扱う
記事内では子供向けに「助詞(てにをは)を強調して読む」と書かれていますが、これを大人のポッドキャストでそのままやると「私は! 今日が!」と幼稚に聞こえてしまいます。
大人の配信者が取り入れるべきは、「強調」ではなく「丁寧さ(間と音程)」への変換です。
子供の音読: 助詞を大きく強く言う(構造を理解するため)
大人の配信: 助詞を丁寧に置き、一瞬の「間」を作る(リスナーを誘導するため)
助詞は文章の「関節」です。関節をガチガチに固める(強く読む)のではなく、関節をしなやかに使う(丁寧に置く)ことで、倍速再生でも聞き取りやすいプロのトークになります。
判断のヒント
✅ やるべきこと(Go)
「モニター」の徹底:
収録時は必ずヘッドホンをし、自分の声を「リスナーの耳」として聞きながら喋ってください。自分の声が聞こえにくい環境での収録は、脳へのフィードバックを遮断してしまいます。
助詞の「丁寧」処理:
「~ですが、」や「~というのは、」と言った後、コンマ数秒だけ待ってください。音量は上げなくていいです。この「丁寧な間」があるだけで、リスナーの脳は次の情報をスムーズに受け取れます。
⏹ やらなくていいこと(Don't)
大声での強調:
記事にある「強く読む」は学習用です。大人のあなたは、ボリュームではなく「スピード(緩急)」でコントロールしてください。
早口言葉の練習:
口の筋肉を鍛えるよりも、「自分の声を聴く脳」を鍛える方が先決です。早口でペラペラ喋るよりも、ゆっくりと助詞を噛み締めて喋る方が、信頼度は上がります。
音読は、子どもだけの宿題ではありません。
我々音声配信者にとって、それは「脳と口を繋ぐ、毎日のチューニング」です。
まずは次回の収録で、「て・に・を・は」を強く言うのではなく、「大切に」言ってみてください。
それだけで、あなたの言葉は驚くほど「届く音」に変わるはずです。
執筆・監修
でんすけ|音声メディアプロデューサー(Office Scene8 代表)
大阪出身、40歳。テレビ局・レコーディングスタジオ、ラジオ局で番組プロデューサー兼エンジニアとして番組づくりに携わり、企画から制作、収録、編集まで一貫して経験。これまでに100名以上のパーソナリティをサポートしてきました。
業界のニュースやトレンドをそのまま追うのではなく、その人の立場やフェーズを前提に、「今、何に時間とリソースを使うべきか」を整理し、一緒に考えることを大切にしています。
【主な実績】
Apple Podcast マネジメント部門1位/ビジネス部門3位
DLsite ボイス・ASMR部門1位/総合2位
Voicy 企業部門1位/フォロワー11.2万人
近畿コミュニティ放送 番組賞・パーソナリティー賞 W受賞
ラジオドラマ、CM、ASMR制作など業界歴15年以上
【安心サポート】
技術面だけでなく、「配信を楽しみながら継続する」ための判断や選択を重視。メンタルコーチおよびコーチングの有資格者として、配信者一人ひとりの不安や迷いに寄り添い、状況に応じた伴走を行っています。