玄関先の鉢に、黄色い菊がひとつ咲いていました。幾重にも重なった花弁の奥から、朝の空気に混じって淡い苦みのような香りが立ちのぼる。指先で葉に触れると、まだ夏の名残の熱がわずかに残っていました。
この菊の香りには、恋愛の記憶が宿っています。
こんにちは、神楽 玄斗(かぐら げんと)です。
九月九日は重陽の節句、別名を菊の節句といいます。昔の人はこの日の前夜、菊の花に真綿をかぶせて眠りました。一晩かけて花の香りと夜露を綿に移し、翌朝、その綿で顔や肌を拭う。菊の被綿(きせわた)と呼ばれる習わしです。九は陽の数のなかで最も大きく、それが二つ重なる日。おめでたいと同時に、力が強すぎて陰へ転じやすい日ともされてきました。だからこそ菊の香りで身を清め、整えたのです。
香りは、一晩待たなければ移らない。
私はこの風習に、恋の本質が隠れていると感じています。
急かせば逃げていくもの。待った分だけ濃くなるもの。彼の気持ちも、それとよく似ています。
けれど、待つ時間はつらい。トーク画面を開いて、既読の二文字を確かめて、また閉じる。夜の台所で麦茶ではなく温かいお茶を淹れるようになった今も、彼から届く言葉だけが夏で止まったまま。何を考えているのか、もう気持ちがないのか、それとも言えないだけなのか。ひとりで答えを探し続けるのは、心を確実に削ります。
彼の本心は、霊視でハッキリと視えます。今のあなたの状況を、一度視させてください。
同じように悩まれていた方の鑑定で、こんな情景が視えたことがあります。
夜、部屋の明かりを落とした彼が、携帯を手に取っている。文字を打ち、少し眺めて、そのまま消す。また打つ。また消す。画面の光だけが彼の頬を照らしていて、その表情には、面倒でも無関心でもない、はっきりとした迷いがありました。
彼は気持ちを失ったのではありませんでした。言葉にした瞬間、今の距離すら壊れてしまうことを恐れていたのです。男性は、想いが深いほど言葉を出し惜しみます。沈黙は冷たさではなく、慎重さの裏返しであることが少なくありません。
そうした彼の内側は、私が視てお伝えできます。ひとりで想像を重ねる前に、確かめてしまいましょう。
今夜、もし少しだけ気持ちを整えたいなら。湯呑みに熱いお茶を注ぎ、小さな菊の花びらを一枚だけ浮かべてみてください。スーパーの野菜売り場に並ぶ食用菊で構いません。立ちのぼる湯気に鼻を近づけると、あの苦みを含んだ清らかな香りが胸の奥まで届きます。舌に残るかすかな渋みが、不思議と頭の中を静かにしてくれます。
重陽の菊は、長寿と厄払いの花です。滞ったものを流し、新しい風を通す力があると伝えられてきました。香りを吸い込みながら、彼の名前を一度だけ思い浮かべる。そして、湯気が消えるまで、何も考えずにいる。
答えを出す夜ではなく、答えが届くための場所をつくる夜です。被綿が一晩かけて香りを受け取ったように、心も空けておかなければ何も入ってきません。トーク画面を何度も開いてしまう指を、今夜だけは湯呑みに預けてしまいましょう。
菊の香りが教えてくれた続きは、霊視でお伝えします。
あなたの恋愛が前向きになるように、お手伝いさせていただきます。
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