クローゼットの奥から出した長袖には、まだ畳みじわが残っていました。
腕を通すと、袖口が手首をふわりと包む。夏のあいだ、ずっと素肌のままだった場所です。
包まれた瞬間に、なぜか胸の奥が少しだけ苦しくなりました。
この袖口には、恋愛の深い真実が宿っています。
こんにちは、神楽 玄斗(かぐら げんと)です。
人の体は、覆われた場所から記憶を思い出します。
手首、二の腕、首すじ。誰かに触れられた場所というのは、たいてい、これから布に隠れていく場所です。
だから衣替えの朝は、思い出したくないことまで一緒に出てきてしまいます。
彼の手の温度。歩くときに肩が触れた感触。上着を貸してくれたときの、少し大きすぎた袖丈。
そういうものは頭ではなく、皮膚のほうが覚えています。忘れようと決めても、皮膚は決定に従ってくれません。
その記憶が今も消えないのは、あなたの側だけの問題ではありません。彼のなかにも同じ温度が残っています。それは霊視でハッキリと視えます。今のお二人の距離を、一度視させてください。
視えていることをお伝えします。
彼のほうにも、この季節、体のほうが先に動く瞬間が訪れています。
朝、少し肌寒くて上着を羽織るとき。ふと手が止まる。理由は自分でも分からない。けれど、その一瞬に浮かんでいるのはあなたの姿です。
男性は、感情を言葉で保存するのが得意ではありません。そのかわり、感覚として保存します。だから彼のなかであなたは、言葉の記憶ではなく、体温の記憶として残っています。
言葉の記憶は上書きできますが、体温の記憶はそう簡単に消えません。連絡が途切れていても、この記憶は彼の内側で生き続けています。
視えた場面をひとつ。
彼が朝、洗濯物のなかから長袖を選んでいます。そのなかに、まだ処分していないものがある。二人で出かけた日に着ていたものです。彼はそれを一度手に取って、けれど別のものを着ました。
処分しないのに、着られない。彼のなかで、この恋はまだ何ひとつ終わっていないという意味です。
彼が手に取っては置いているもの、その理由まで含めて、私が視てお伝えします。
これから朝は日ごとに冷えていきます。
気温が下がるほど、人は温もりの在り処を思い出すようになります。九月から十月にかけて、離れていた二人が動き出す例を、私は何度も視てきました。
だから今朝の胸の苦しさを、未練だと決めつけないでください。
それは、まだ続いているという合図のほうです。
長袖の袖口が教えてくれた続きは、霊視でお伝えします。
あなたの恋愛が前向きになるように、お手伝いさせていただきます。
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