英語の学習方法ってどう選べばいいの?

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英語学習で成果を出すためには、「自分が抱えている問題の特定」が最初の一歩だと前回の記事でまとめました。

今回は、「問題を特定した後に、それぞれの症状を改善する学習方法」を紹介していこうと思います!

実際にインターネットやSNSを開けば、英語の学習方法って山ほどあるんだなって驚くと思うんですね。

逆に「情報が多すぎて混乱してしまうわ!」と辟易としてしまう学習者の方もいると思うんです。

「英語の学習」を「抱えている英語の問題を改善する治療」だと捉えると、「ある学習方法がどんな症状に効果があるのか」を知っておくことが大切だと分かります。

やっても効果が出ない。
成長を実感するまでに、時間がかかりすぎる。
効果があるかどうか確信がなく、続かない。

治療法や服用する薬を間違えると、上のような問題が起こる可能性があります。

というわけで、今日は抱えている英語学習上の問題(症状)ごとに、オススメの学習方法(治療法)を一部紹介していこうと思います!

レッツゴー!




英語学習上の問題と学習活動

今日は、下の問題(症状)に焦点を当てて書いていこうと思います!

①英語の音が聞き取れない
②音は聞き取れるが理解が間に合わない
③英語を読んでも理解できない
④言いたいことが話せない

①英語が聞き取れない

単に「リスニングが苦手」と言っても、その理由はいくつかあります。英語を聞いて理解するために、「知識データベース」と「音声知覚」と「意味理解」が密接に連携して複雑なプロセスを経ているからです。

それを見極めるのに最も効果的な方法が「ディクテーション」です。

ディクテーションとは、英文音声を一文聞いて、文字に書き起こす活動のことです。
すると、聞き取れなかった部位が浮かび上がってきます。

【CASE1. 全く聞き取れない】

一語も分からないということは、英語の知識データベース不足が考えられます。語彙の暗記や文法学習から始めるといいでしょう。

治療法 → 語彙暗記+文法学習

【CASE2. 一部聞き取れない】

聞き取れない箇所を確認します。それが、自分の知らない単語であった場合は、知識のデータベース不足です。正確には、聞き取れなかったのではなく、「知らなかった」と考えましょう。語彙の学習を強化します。
すでに知っている単語であった場合は、英語の音としてのデータを修正するか、英音法(英単語が他の単語とつながり音声変化を起こす際のルール)について学ぶ必要があります。

治療法 → 語彙暗記 / 英音法 + フォニックス + プロソディシャドーイング


このようにディクテーションには「リスニング上の問題を特定する」という効用があります。

また、脳内で一時的に保持できる英文の長さを伸ばす力、つまりワーキングメモリの拡張にも役立つという方もいらっしゃいます。

ところが、リスニング力を向上させるという観点から見たときに、プロソディシャドーイング(音に意識を集中させて影のように英文音声をリピートすること)の方がより効果が高いとされています。

もちろん、ディクテーションをすることでも「音」に関するデータベースを再構築することは可能だと思いますが、能率で比べるとシャドーイングの方が優秀だと考えられているんですね。

要は、「ある学習方法にどのような効果が期待できるのか」をはっきりと自覚した上でトレーニングに臨むことが大切だということです。
でないと、学習をしながら「これ、意味あるのか…?」と学習の継続が困難になってしまう可能性が高まります。

なぜなら、能率が悪いことで結果が出るまでに時間がかかるからです。

あ、これ私の経験談ね笑。



②音は聞き取れるが理解が間に合わない

ディクテーションの結果、単語自体は聞き取れているのに、実際のリスニングの速度になると意味理解が追いつかず、どんどんと英語が流れていってしまい、頭が真っ白になることがあります。

これは、リスニングにおける「意味理解」のプロセスの遅さに問題があります。

この情報処理のスピードを速くするためには、語彙の親密度(ある語彙を聞いたり見たりしてから意味を理解するまでのスピード)を高めるか、文章の理解スピードを高める活動が適切です。

治療法 → サイトトランスレーション + チャンクリーディング + コンテンツシャドーイング

語彙の親密度を上げる、という観点から見たときに、単語の学習方法にも工夫が必要です。

単語の学習は、「一語一語にじっくり時間をかけて暗記する」よりも「一語につき一秒しか時間をかけず、一日でたくさんの語彙を何日も繰り返して勉強する」という方法の方が効率がいいです。
正しい治療や薬を使っていても、用法容量を守らないと効果がうまく発揮されませんよ、というお話です。



③英語を読んでも理解できない

「読む」という活動にも複雑なプロセスがありますので、これもケースごとに分けて考えていきます。

【CASE1. 分からない単語が多すぎて理解できない】

語彙に関するデータベース不足が原因ですので、語彙の習得に専念しましょう。目安としては出てくる単語の90%は分かっている状態が好ましいです。

治療法 → 語彙暗記 


【CASE2. 文章全体のつながりがずれてしまう】

日本語にゆっくり訳していったときに、文と文の関係性がズレてしまうことがあります。これは、英語の文法的な知識が欠落しているか、指示代名詞が差している内容に意識がいっていない可能性が高いです。もしくは、カンマやセミコロンなどがどんな役割を果たしているのかを誤解している可能性があります。

治療法 → 文法学習 / 精読 + サイトトランスレーション + チャンクリーディング

【CASE3. 読むのが遅い】

特に英検やTOEICなどの資格試験では時間内にまとまった分量の英文を読まなければいけません。そんな時に、「時間がなくて…」となってしまう場合は、返り読みをしている可能性が高いです。日本の英語教育現場では「精読」に力を入れすぎるあまり、「英文を正しい日本語に訳して理解する」という思考のクセが身についてしまいがちです。その結果、左から右へ流れる英文を読んで、日本語に直すために「右から左に(文章の流れに逆らって)」へ読み返して理解する傾向があります。これは、単純に「一つの文を2回読んでいる」ことになるので、それだけ時間もかかります。

治療法 → サイトトランスレーション + チャンクリーディング + コンテンツシャドーイング

こうやってみると、リスニングとリーディングの学習方法は似通っていることに気づきませんか?

「音と文字」というフレームワークで4技能を捉えると、「リスニングとスピーキング」「リーディングとライティング」という組み合わせが相性良さそうに見えるんですけど、インプットスキルかアウトプットスキルかということを考えると「リスニングとリーディング」「スピーキングとライティング」というセットの方が実は親和性が高いんですね。

私、バスケットボールやってたんですけど、中学校の体育でハンドボールやったことがあるんですよ(当時の体育の先生が元ハンドボールの選手だった)。で、そこそこ上手くやれたと思うんですね。

バスケットとハンドボールって結構相性がいいからだと思います。

これが「リスニングとスピーキング」みたいな関係性です。

あとは「野球とソフトボール」みたいな。

これが「リーディングとライティング」の関係。

でも、バスケットと野球は全然違うじゃないですか。

これが「リスニングとスピーキング」の関係。

ね。



④言いたいことが話せない

言いたいことが話せないのにもいくつかプロセスがあるって話を前回の記事でしました。

【CASE1. 言いたいことが英語で出てこない】

日本語で思い浮かんだ内容が英語に変換できないために起こっている症状です。大前提として、日本語のスキルの方が英語のスキルよりも高いので、直訳しようとすると事故ります。思考は大人でも発話は子どもレベルに落とさないといけません。この思考の転換のスキルを身につけながら、英語を生成できるようにします。

治療法 → 一文ライティング + パタンプラクティス + 単語描写

【CASE2. 英語にするのに時間がかかりすぎる】

瞬間的に英語にしていくためには、「日本語の思考→英語への翻訳」から脱する必要があります。よく「イメージから英語を生成する」と表現されますが、これね。ただ、これはあくまで成長プロセスの一部を切り取ったものなので、最初からこれをやるのは難しいと思います。CASE1を乗り越えたあとの治療法になります。

治療法 → 瞬間英作文 + オンライン英会話 + 独り言英会話 + フレーズ暗記

まとめ

ここにまとめたのは本当に代表的な例でしかありません。

それぞれが抱える問題はもっともっと色々な要素が絡み合っているので、この学習活動の治療法が100%の効果を発揮するよ!というものではないことをご留意くださいね。

この記事でお伝えしたかったのは、「学習方法にはそれがもたらす効能があり、それが分からないでがむしゃらに試してみても自分の問題を解決する学習方法に辿り着くまでには時間がかかります」ということです。

だから、学習方法を選択するときは、「この学習方法はどんな力が伸びるのだろう?」「自分のどんな問題を解決するのだろう?」と調べてみてください。

なんとなく、SNSで話題になっているから、自分の憧れの人がオススメしているから、その学習方法でめちゃくちゃ伸びた人が知り合いにいるから、などの理由で選んでしまうと失敗してしまうことがあります。

ただ、このトライアンドエラーの過程自体は決して悪いものではないとは思います。

自分で仮説を立てて、試してみて、結果を検証して、自分なりの成功法則を打ち立てていくという流れは、英語学習以外の場面でも役に立つはずです。

なので、「どうしても最速最短で英語の力を伸ばしたい場合」は今回の記事を参考にしていただければと思いますが、自分で色々と試してみるというのも同じくらい価値があると考えています。

もし、「自分では無理!でも最短ルートで英語の力を伸ばしたい!」と思われる方がいらっしゃいましたら、私でよければお力添えいたします。

目標設定、問題分析、学習方法と学習教材の提案、毎日の学習設計
ここまでをサポートさせていただきますので、興味があればぜひ。

それではまた!

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