パニック障害の本質的な原因

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前回の記事「症状は“敵”じゃない」の最後に、こんなことを書きました。
症状に対して薬で治せてしまうのであれば、身体の病気と一緒です。
ですが、薬を飲んでもなかなか良くならない方が多くいらっしゃるのも事実です。
それはもしかしたら体への対処法ばかりに目を向けていて、心からのSOSに向き合うことができていないからなのかもしれません。

薬物療法などパニック症状に対しての対処法も大切かもしれませんが、本質的な改善をするには「なぜパニック障害になったのか?」という原因に向き合ってあげることが重要なのです。

私はこのブログで、パニック障害改善において “心と向き合うことの大切さ” を繰り返し書いてきました。

でも、なぜパニック障害で心に向き合う必要があるのか?
今回はこの理由について、お話していきたいと思います。



◆脳の誤作動・神経系の異常って本当?

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●パニック障害の原因は脳の誤作動
●パニック障害の原因は神経伝達の異常
●パニック障害は、はっきりとした原因が分からないと言われている

お医者さんからこんな説明を受けたり、こんな情報を目にしたことはありませんか?現在パニック障害の原因として出てくる情報の多くは、このような内容なのではないでしょうか。

まず、このよく言われている「脳の誤作動」と「神経伝達系の異常」とは何か?について説明していきます。


以前の記事でも書きましたが、
「もっと頑張らなきゃ」と無理して仕事をしたら体調を崩してしまった、苦手な人と一緒に居たらお腹が痛くなってしまったというように、心と身体は繋がっています。パニック発作も同じです。
そして、心と身体を繋げるためには、脳を経由する必要があります。

■パニック発作のメカニズム■

①不安や恐怖を感じる
(その不安を自分自身でどんどん煽り、不安を増大させていく癖がある)

②不安・緊張・恐怖を感じると、マイナスの感情に深くかかわる扁桃体という脳の回路が活性化する

③その扁桃体から「危険だから備えて!」という指令が、脳の視床下部という部分に伝えられ、自律神経(交感神経系)に信号を送る

④信号を受けた自律神経は全身に血液を行き渡らせ、心拍数を上げる、血圧を上げるなどの反応を起こす

⑤体の変化を感じ、体調不良やパニック発作として認識する

⑥発作への恐怖から小さな体調の変化にも敏感になり、常に不安・恐怖・緊張状態となる
(①への繰り返し)

いわゆる「脳の誤作動」「神経伝達の異常」というのは、この過程の②~④のことを指しています。


先日「精神科 パニック障害」というキーワードで50件の精神科・心療内科のホームページにお邪魔し、パニック障害の原因についてどのような記載をしているのかを調べてみました。現時点での集計結果は以下の通りです。
・不安に関する神経伝達系の異常 18件
・脳の誤作動 14件
・原因についての記載なし 12件
・はっきりしていない、原因不明 8件
・ストレス 8件
・心、認知、考え方 3件
・過呼吸 1件

(原因を複数記載している場合、それぞれを1件としてカウント)

心、認知、考え方に原因があると記載している病院が3件あったことは、個人的には嬉しかったです。
ですが、上位の神経伝達系の異常・脳の誤作動・原因不明・ストレスというのは、やはりパニック障害の原因として普段私たちが見たり聞いたりするもの。
そしてこの結果の通り、実際の現場でもお医者さんはこのように患者さんに説明をしているのではないか?と思うのです。


そうすると「パニック障害の原因は、脳の誤作動・神経伝達系の異常である」というのが一般的な認知となってしまうのは、ある意味当然のことなのかもしれません。
私のカウンセリングでも医療機関にかかったことのある方は、やはりこのように説明を受けたと言う方がとても多いです。


ですが、本当にこれが原因なのでしょうか?
ちょっと深堀りしていきましょう。



◆パニック障害の本当の原因とは?

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下記の発作のメカニズムからも分かるように、パニック障害の原因とされている「脳の誤作動」「神経伝達の異常」が②~④のことを指しているとしたら、①はどこへ行ってしまったのでしょうか?

扁桃体の回路が活発になるのは、不安や恐怖という感情を感じるからです。
①の「不安、恐怖、緊張などの感情が原因」だとならないのは、なぜでしょうか?

■パニック発作のメカニズム■

★①不安や恐怖を感じる
(その不安を自分自身でどんどん煽り、不安を増大させていく癖がある)

②不安・恐怖・ストレスを感じると、マイナスの感情に深くかかわる扁桃体という脳の回路が活性化する

③その扁桃体から「危険だから備えて!」という指令が、脳の視床下部という部分に伝えられ、自律神経(交感神経系)に信号を送る

④信号を受けた自律神経は全身に血液を行き渡らせ、心拍数を上げる、血圧を上げるなどの反応を起こす

⑤体の変化を感じ、体調不良やパニック発作として認識する

⑥発作への恐怖から小さな体調の変化にも敏感になり、常に不安・恐怖・緊張状態となる
 (①への繰り返し)

①の「不安や恐怖を感じる心の問題」がパニック障害の本質的な原因だとしたら、改善において “心と向き合うこと” というのは、やはり必要なことなのではないでしょうか?

①の不安や恐怖については
●どういうことに不安を感じるのか
●どういうことに恐怖を感じるのか

という、パニック障害の方に共通した特定の思考パターンがあります。
(こちらの記事に書いています。今後もこの思考パターンについては詳しく書く予定です。)

不安を感じやすい、恐怖を感じやすいのには必ず理由があります。
この思考を少しづつ変えていかなければ、いつまでも不安を感じやすい・恐怖を感じやすいままで、本質的な改善は難しいのです。

脳の神経伝達に関するお薬はあっても、思考や考え方を変えるお薬はないのです。


◆今、パニック障害で苦しんでいる方へ

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苦しいパニック障害をどうにか治したいと思った時。
病院に行く・自力で治す、薬を飲む・飲まないなど、様々な選択肢がありますが、色んな選択肢があっていい。症状が辛ければ薬を飲んだっていい。そう思います。

私自身もパニック障害の経験があるから分かるのですが、パニック発作というのは身体と心がどんどん制御不能になっていき、コントロールが全くできなくなっていく感覚にとても恐怖を覚えます。

そんなパニック障害を抱えている方にとって「脳の誤作動」や「神経伝達の異常」と言われてしまうのは、到底自分ではコントロールできないような不安感を覚えます。脳や神経などと言われたら、どうすることもできないのです。

なのでせめて発作を抑えようと、自律神経のコントロールや様々な健康法にフォーカスしてしまうのです。
でも、もしそれで良くならないのであれば、何かやり方を変える必要があるのかもしれません。



「脳の誤作動」「神経伝達の異常」「原因不明」と言われてどうしたら良いのか分からず、薬、サプリ、栄養療法、整体、本、ネットの情報、呼吸法、漢方など…様々な体へのアプローチをしてもなかなか良くならない方、
今の自分の治療法に少し違和感や疑問を感じている方に、「良くなるヒントは心にある」 という全く別の視点から、少しでも考えるきっかけになれば良いなと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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