息子が家にいる。
「夢なんだろうか…」
と何度も思った。
娘も保育園に行っている。
これで私の目標は「達成」できた。
子供たちを引き取るまで約2年。
女性相談所で子供たちと離れてから、とてつもない時間と
たくさんのことを経験した。
息子と遊びながら、娘の帰ってくる時間を待った。
夕方5時
娘を迎えに行った。
もちろん息子を一人にはできないので車に乗せて…
そして、保育園の園長先生にも顔出しのためにも連れて行った。
まずは園長先生のところに挨拶に…
園長先生は
「あら~!!よくきてくれました~!!」と、息子に向かって話しかけていた。
職員室に入ってきた先生たちも
「こんにちは~かわいいねぇ!いつから登園するの~?」と気軽に声を掛けてくれた。
息子は先生たちの顔を見ても怯えることもなくニコニコしていた。
前もって息子の入園のこと、そして登園のことは園長先生や市役所の人と話が済んでいたため、スムーズに会話は進んだ。
園長先生は「この調子だと明日から登園させてもいいわね!」と言ってくれた。
そして、待ちに待った
「娘との対面」
娘も当時まだ2歳半くらいだったから「覚えているか」が気になったけれど…
息子を抱きかかえたまま教室へ行くと、真っ先に
「○○~!!」
と息子の名前を呼んだ!
そして、真っ先に息子に抱きついた。
そして、「一緒に帰ろうね」というと
「ほんと?○○も一緒に暮らせるの?!」
と驚きながら、けれどとても嬉しそうにピョンピョン跳ねながら話してきた。
そして先生に帰りの挨拶をして車に乗り込んだ。
娘は興奮気味だった。
「お母さん!今日は○○の好きな食べ物にしよう!」などと話しながらも、息子にも話しかけながら家路についた。
そして、私はまず「彼」に電話をすることにした
息子を無事に引き取れたこと、娘が喜んでいること、登園の準備もできていること…
そして何より彼には「感謝」を伝えなければ、と思ったからだ。
私一人のチカラでは到底子供二人を引き取ることなどできなかっただろう…。
それは「愛情」よりも「金銭面」が重要視されるからだ。
これを読んでくださっている方の中にも
「愛情はもちろんあるけれど金銭面が本当に厳しい」
という方は少なくないと思う。
児童相談所にいったところで金銭面的な「援助」などしてはくれない。
本当に世の中は「理不尽」だと思う。
話は戻って…
彼に電話をした。
まだ運転中だったようで走行音が聞こえた。
彼は運転中は基本「スピーカー」にして電話をしている。
「おう!どうだった?」とぶっきらぼうではあるが、気にかけてくれていた。
「無事に息子を引き取ってきたよ、娘も大喜びだし、保育園の登園の話もしてきた!」
と私は一気に話してしまった。
彼は嬉しそうに「よかったな!無事に引き取れて!俺も今週は帰れそうだから会えるな!これで家族揃ったな」と…
私は「本当にありがとう、○○のおかげで引き取ることができたよ!私も仕事頑張るね!」と言った。
彼は「俺は感謝なんかされることは何もしてないぞ」と笑いながら言っていたが、彼も本当にうれしそうだった。
その夜は息子の好きなもの…といいつつ、娘の好きなものになってはいたが、1歳半ということもあり、ハンバーグを作り、ハンバーグに息子の好きな「アンパンマン」の顔をケチャップで書いてあげた。
息子はすごく喜んで小さなハンバーグを食べていた。
隣で娘が息子に食べさせたいのか、一生懸命お世話をしていた。
私はその光景を本当に「夢をみている」ようだった。
本当の家族…
それは「血縁だけが家族じゃない」
ということを身に染みて感じた日になった。