新しい自分へ…20

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初めて3人で買い物に行った。
娘はとても喜んでいた。

けれど一つ気になったことがあった。

3歳くらいの年齢だと「お菓子」や「おもちゃ」をねだるものだろうが、全くねだらなかった。

私はふと気になり、わざとお菓子コーナーに向かった。
「何か食べたいものある?」と聞くと娘は、黙って「アンパンマンチョコ」を指さした。
「チョコかぁ!いいね!カゴに入れていいよ!」というとニッコリしてカゴに入れた。

そうか…。施設ではそういうこともできなかったからか…。

好きなお菓子がいつでも食べれるわけではない、そして選べるわけでもない。

その施設ではある日ご飯に「もずく」がでたそうだ。
娘は一口食べて「吐き気」がしたため食べ進めることができなかったそうだが、それを見た施設の人はこっぴどく娘を叱ったらしい。
それから「もずく」は家では出さないようにしていた。

好きなものの食べられなければ、嫌いなものは怒られる…。

子供にとってどんなに苦痛だったろうか…。

少し私たちの生活や保育園に慣れるまでは「自分の意見を言える」ように練習させようと思った。

そうしてアパートに着き、娘と彼は一緒に居間で遊んでいた。
その間私がご飯を作る…。

もはや「絵にかいたような家族」だった。
もちろん、下の息子のことを忘れているわけではない。

確実に前に進んでいる。
全員がそろってご飯を食べるまで、もう少し!

私はより一層チカラがみなぎった。

夜ご飯が出来て3人でゆっくり食べる食事は本当においしかった。

テレビを見ながら話しをしたり、娘が「見たい」というアニメを見たり。
彼と娘は私のご飯を「美味しいね!」といってペロリと食べてしまった。

私が娘に「お風呂入るよ~」というと娘は「お父さんと入る~」と言っていたが、彼はタジタジだったがなんだか嬉しそうにも見えた。

そして、彼と娘はお風呂に行き、その間私は食器の片付けをしていた。
お風呂から聞こえる楽しそうな声を聞いていると
「あぁ…これが『普通』の幸せなんだな」と痛感した。

ベットが置けるくらいの広さではなかったため、私は布団を敷いた。
3人川の字で寝るスタイルだ。

娘たちがお風呂から上がって、次私が入って、その日は眠りについた…。

眠りにつくとき、
「この幸せがずっと続きますように」
と祈りながら眠った。

次の日は日曜日で休みだったため、近くの公園に3人でお弁当をもって遊びに行った。

娘は公園にあった遊具で楽しそうに遊んでいた

私は隣にいた彼に「ありがとう、ごめんね」と謝った。
彼は「なんで謝るの?お礼も言われるようなことしてないし」と言っていたが
私のような、世間でいう「コブ付き」の人と一緒にならなくても…
という気持ちがまだ私の中で消えてはいなかった。
どこかやっぱり「負い目」に感じていた。

彼は「息子はいつ引き取る予定なの?」と聞いてきた。
ちゃんと息子のことも心配してくれている
「うん、娘が今の生活に慣れたり落ち着いてから、って言われているけど、○○君(彼)はどう思う?」と聞いた
彼は「子供はすぐ慣れるから遅くても1か月もあったら十分だろ、はやく引き取ってあげなきゃ」と言ってくれた。
「そうだね、また少しお金掛かっちゃうけど頑張るね」と言った。
私が言った「お金」とは、保育園に入る準備などのお金のことだ。

前にもいった通り今のように「安くてかわいい子供専門店」などなかった時代だ。布団1セット買うのも結構な金額だった。
それに下も息子はまだ1歳半くらいだ。
新しく用意するものがたくさんある。
日常生活していると「改めて買う」などとすることはほとんどないだろうが、自分の子供とは言え、施設からもなにもないという状態から始めるのは極端ではなく「パンツ1枚」から用意しなければならないのだ。

もちろん娘の時もそうだった。

けれど、私も彼になるべく負担が掛からないように仕事に励んだ。

おかげ様で仕事も順調に給与も上がっていた。
なんとかなりそう…。

お昼になってお弁当を囲んで食べた。
天気も良くて外で食べるにはとてもいい天気だった。
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