2026年10月7日 ・ 読了目安 約9分
「あのお客様の回数券、あと何回残っていたか分からない」「去年お買い上げいただいた十回券を、まだ半分も使われていないお客様がいる」「期限が切れた回数券を出されて、受けてよいのか毎回迷う」。中小企業では、回数券やまとめ払いのコース、前払いのチケットの記録が、販売したときのレジの控え、お客様にお渡しした券の半券、ご来店ごとの押印カード、予約の帳面、担当の手帳、会計ソフトの入金の明細に分かれて残ります。どのお客様が、いつ、何回分をお買い上げになり、今あと何回残っているのかを一枚に並べて見たことがある会社は、ほとんどありません。
その結果、何が起きるか。お客様に残りの回数を尋ねられても、押印カードを探さないと答えられない。何か月もご来店のない回数券のお客様がいても、誰も気づかないまま時間だけが過ぎる。前払いでお預かりしたお金のうち、まだ提供していない分がいくらあるのかを、決算の前になってから慌てて数え直す。回数券の本当の問題は、売り方や値付けではなく、お客様ごとに買った回数と使った回数を並べたことがないため、使われずに眠っている回数券と、よく使われている回数券を分けられないことです。
この記事では、Anthropic社の公式AIコーディングツール Claude Code を使って、レジの控え、券の半券、押印カードの写真、予約の帳面、入金の明細に散らばった回数券と前払いの記録を一つの一覧にそろえ、お客様の向きと券の種類の向きで並べ、眠っている回数券と、よく使われている回数券を見分ける材料を整えるまでの手順を、非エンジニアの方向けに整理します。どのお客様にどうお声がけするか、期限や払い戻しの決まりをどう変えるか、どの券を続けてどの券をやめるかを決めるのは人の判断です。前払いでお預かりしたお金の帳簿上の扱いは、税理士などの専門家と確かめます。機械に任せるのは、散らばった記録を集めて、お客様ごと券ごとにそろえて、買った回数と使った回数と残りの回数を並べる作業です。
回数券の残りが「見えない」3つの理由
見えないのは、受付の担当の手間や几帳面さの問題ではありません。見えない構造が、仕事の側にあります。
1. 売った記録と、使った記録が別の場所に残る
回数券を販売するときは、レジの控えと入金の明細が残ります。ところが、使っていただくたびの記録は、押印カードのはんこ、半券の束、予約の帳面の一行と、残し方がばらばらです。売った記録と使った記録が別々の場所に残るので、お客様ごとの残りの回数を一覧で示せるものが、どこにもありません。
2. 残りの回数が、お客様の手元のカードにしかない
押印カードはお客様がお持ち帰りになります。つまり、残りの回数をいちばん正確に知っているのは、お店ではなくお客様のほうです。カードを忘れて来られた日や、カードをなくされたときに、お店の側には確かめる手立てがありません。その日の判断は、担当の記憶とお客様のお言葉に頼ることになります。
3. 前払いのお金が、売上の中に混ざって見えなくなる
回数券の代金は、お買い上げの日にまとめて入金されます。帳簿では売上と同じ顔をして入り、まだ提供していない分がいくら残っているのかは、どこにも書かれません。お預かりしたお金と、すでに提供した分のお金が混ざっているので、本当の月ごとの売上の動きもぼやけて見えます。
回数券の残りが見えないのは、売った記録と使った記録が別の場所に残り、残りの回数がお客様の手元のカードにしかなく、前払いのお金が売上の中に混ざって見えなくなるからです。この三つは、いずれも機械に任せて軽くできる種類の問題です。
機械に任せる範囲と、人が決める範囲
大前提として、どのお客様にどうお声がけするか、期限や払い戻しの決まりをどう変えるか、どの券を続けてどの券をやめるかは会社の運営の判断であり、人が決めることです。期限の切れた回数券の扱いや前払いのお金の帳簿上の扱いは、お客様との約束ごとや税務の考え方によって答えが変わるため、券に書いた約束ごとや税理士などの専門家の見解と照らして確かめます。機械に任せるのは、散らばった記録を集めてお客様ごと券ごとにそろえ、買った回数と使った回数と残りの回数を横に並べ、比べられる形にするところまでです。
工程担当内容記録の収集機械レジの控え・券の半券・押印カードの写真・予約の帳面・担当の手帳・入金の明細から、お客様の名前・券の種類・買った日・回数・金額・使った日を拾い出す一件ごとのまとめ直し機械同じ回数券の販売の控えと使った記録を、お客様の名前と券の番号を手がかりに一件の下にまとめる一覧化機械券の番号・お客様・券の種類・買った日・期限・買った回数・使った回数・残りの回数・最後に使った日を一行にそろえる種類づけ機械回数券・まとめ払いのコース・前払いのチケット・贈り物として買われた券・その他に分ける日数の計算機械最後に使った日から今日までの日数と、期限までの残りの日数を出す残りの金額の計算機械残りの回数に一回あたりの金額を掛け、まだ提供していない分の合計を券の種類ごとに出すお客様ごとの集計機械お客様ごとに、買った回数・使った回数・使い終わるまでの日数・続けてお買い上げいただいた回数を並べる気になる点の検出機械三か月以上使われていない券、期限が近いのに残りの多い券、販売の控えと使った記録の合わない券に印をつけるお声がけと決まりの判断人どのお客様にどうお声がけするか、期限や払い戻しの決まりをどう変えるか、どの券を続けるかを決める
境界線は「並べる」と「決める」の間にあります。機械が出すのは、お客様ごと券ごとの回数の並びと、気になる点の印までです。その先の、このお客様にはどうお声がけするか、この券は来年も売るのか、という線は人が引きます。
実務5ステップ
ステップ1:一年分の販売の記録と、使った記録を全部洗い出す
直近一年分のレジの控え、入金の明細、予約の帳面、担当の手帳を集め、お手元に残っている半券の束や、お客様からお借りできた押印カードを撮影し、Claude Codeに「回数券を一枚ずつ一覧にし、お客様と券の種類と買った回数と使った回数を並べてほしい」と頼みます。紙の控えは写真に撮るか読み取り機で取り込んでから渡すと早く進みます。使った日が分からない回は、空欄のまま残させます。その空欄が、使った記録の残し方に穴がある場所を教えてくれます。
ステップ2:一件ごとにまとめ、種類と期限をつける
同じ回数券が、レジの控えでは金額と買った日、予約の帳面ではご来店の日、押印カードでははんこの数と、三つの書き方で残っています。お客様の名前と券の番号を手がかりに三つを結びつけ、一枚の券を一行にまとめます。あわせて、回数券、まとめ払いのコース、前払いのチケット、贈り物として買われた券のように種類をつけ、券に書いた期限を書き添えます。使った記録はあるのに販売の控えが見つからない券には、出どころの分からない印をつけさせます。
ステップ3:お客様の向きと、券の種類の向きで並べる
一覧ができたら、二つの向きで並べます。お客様の向きでは、お客様ごとに買った回数と使った回数と最後に使った日を並べ、続けてお買い上げくださるお客様と、途中で足が遠のいたお客様を分けます。券の種類の向きでは、券ごとに使い終わるまでの日数と、使い切られずに期限を迎えた割合を並べ、よく使われる券と、眠りやすい券を分けます。お客様の向きで見えるのがお声がけの相手、券の種類の向きで見えるのが売り方や回数の設計を見直すところです。
ステップ4:気になる点に印をつけ、お声がけの候補を分ける
三か月以上使われていない券、期限が近いのに残りの多い券、販売の控えと使った記録の合わない券、残りの回数がお店の記録とお客様のカードで食い違う券に印をつけさせます。印がついたものは、お客様のご来店の様子と並べ、どんなお声がけが合うかを見ます。期限が近く残りの多いお客様はご予約のご案内をする候補、しばらくご来店のないお客様はご様子をうかがう候補、記録の食い違う券はお客様と一緒に確かめる候補として、理由を書き添えます。
ステップ5:決まりをつくり、月に一度確かめる
ステップ1から4は最初に一度行えば終わりです。その後は、回数券を販売するたびと使っていただくたびに、その一回を一行ずつ足していきます。決まりは三つで十分です。使っていただいたらその日のうちにお店の側の記録にも一行残すこと、押印カードには券の番号を書いておくこと、期限と払い戻しの約束ごとを券とお店の一覧の両方に同じ言葉で書くことです。月に一度、Claude Codeに「三か月以上使われていない券と、期限まで一か月を切った券を出してほしい」と頼めば、一覧は自然に育っていきます。
頼み方3原則
原則1:どの券を含めるかを、こちらから指定する
「回数券の一覧をつくって」だけでは、機械は月謝や月ごとの会費、ポイントの値引きまで混ぜてしまうことがあります。回数で数える券だけにするのか、金額で数える前払いも含めるのか、贈り物として買われた券を分けるのかを、最初に言葉で伝えます。含めるものと含めないものを決めるのは人の仕事です。
原則2:使った回は記録にある日で書かせ、推測させない
使った日が書かれていないとき、機械は予約の帳面のご来店から「この日に使ったはず」と推測しがちです。使った回は記録に書かれている日だけを数えさせ、分からなければ空欄にさせます。推測の回数で残りを埋めると、お客様のカードとの食い違いが見えなくなります。空欄の数と場所そのものが、使った記録の残し方を見直す材料になります。
原則3:残りの金額を、入金の明細と突き合わせる
一覧から出した販売の合計を、入金の明細と突き合わせさせます。一覧の販売の合計が入金より少なければ、販売の控えが抜けています。多ければ、払い戻しや値引きの記録が抜けています。差の出どころを探すことが、記録の抜けを見つける近道になります。まだ提供していない分の合計は、帳簿上の扱いを税理士などの専門家と確かめるときの材料になります。
つまずきやすい5つの型
型1:売れた数だけを見て、使われた数を見ない
回数券は、売れた枚数で評価されがちです。けれども、使われずに眠っている券が多いと、お客様はご来店のきっかけを失い、次の券のお買い上げにもつながりません。回数券の数字は、売れた数と使われた数を並べて見ます。
型2:お店の記録を細かくしすぎて、書かれなくなる
記録を整えようとして、使っていただくたびに書く項目を増やしすぎると、忙しい日ほど抜けが出ます。書く項目は、お客様・券の番号・使った日の三つに絞り、残りは控えや帳面から機械に拾わせます。書く側の負担が軽いほど、記録は続きます。
型3:残りの回数を、お客様のカードだけに任せる
押印カードは便利ですが、カードだけに頼ると、なくされたときやお忘れの日に答えられません。残りの回数は、お店の側の一覧にも必ず残します。お客様のカードとお店の一覧の両方があることで、食い違いにもすぐ気づけます。
型4:眠っている券のお客様に、一斉にお声がけする
一覧で眠っている券が見えると、まとめてご案内を出したくなります。けれども、お客様にはそれぞれ事情があり、一律のお声がけはかえって足を遠ざけることもあります。眠っている券は、お客様のご来店の様子と並べ、一人ずつお声がけの仕方を人が決めてから動きます。
型5:一覧をつくって、売り方を一つも変えない
一覧を眺めて「けっこう眠っているな」と納得して終わると、次の月も同じ券が同じように眠ります。月に一度、印のついた券を一つ選び、回数や期限や使い方のご案内を一つ変えて、変えたことと結果を一覧に書き足します。書き足した結果が、次の見直しの根拠になります。
業種別の効きどころ
業種効きどころ美容・理容・エステお客様ごとに買った回数と使った回数を並べ、続けてお買い上げくださるお客様と、途中で足が遠のいたお客様を分ける整体・治療院券ごとに使い終わるまでの日数を並べ、通う間隔が空きがちな券と、決まった間隔で使われる券を分ける教室・習いごと・ジムまとめ払いのコースの残りを生徒ごとに並べ、期限が近いのに残りの多い方を早めに見つける飲食・喫茶前払いのチケットや食事券を種類ごとに並べ、贈り物として買われた券がどれくらい使われているかを見る自動車整備・クリーニング点検や洗車、お手入れの回数券を車やお客様ごとに並べ、季節ごとの使われ方の偏りを見る
どの業種でも共通するのは、レジの控えや半券や押印カードや帳面に散らばっていた回数券の記録を、お客様の向きと券の種類の向きという二つの物差しで並べ直すことです。並べ直すと、お声がけをするお客様と、売り方を見直す券と、人が扱いを決める券が分かれて見えてきます。
よくあるご質問
回数券のお客様は数十人ほどですが、必要ですか
人数が少なくても、お客様の向きと券の種類の向きで並べると、残っている回数の半分近くが、三か月以上ご来店のないお客様の券だったと分かることがあります。最初の一覧は半日で終わり、その半日で、お声がけをする候補が見えてきます。
予約の仕組みやレジの仕組みを見れば足りませんか
予約やレジの仕組みは、ご来店の日や販売の金額を残すことは得意です。一方で、販売と使った回を一枚の券ごとに結びつけ、残りの回数と最後に使った日を並べることは、仕組みの一画面からは分からないことがほとんどです。この記事の手順は、今ある記録を出発点にして、お客様ごと券ごとの並べ直しを機械に任せるものです。
期限の切れた券の扱いまで機械に任せてよいですか
機械に任せるのは、並べることと、気になる点に印をつけることまでです。期限の切れた券をどう扱うか、払い戻しをどうするかは、券に書いた約束ごとやお客様との関係によって答えが変わるため、人が決めます。前払いのお金の帳簿上の扱いは、税理士などの専門家と確かめます。一覧があると、お客様へのご案内も社内の話し合いも短く、具体的になります。
どれくらいの時間がかかりますか
レジの控えと押印カードの写真を取り込んで最初の一覧が出るまでは、件数にもよりますが一時間ほどです。使った日の分からない回を担当やお客様に確かめるのに数日、そのあとは販売と使っていただくたびに一行足し、月に一度、眠っている券と期限の近い券を出させて確かめるだけです。
まとめ
回数券の残りが見えないのは、売った記録と使った記録が別の場所に残り、残りの回数がお客様の手元のカードにしかなく、前払いのお金が売上の中に混ざって見えなくなるという構造の問題
どのお客様にどうお声がけするか、期限や払い戻しの決まりをどう変えるかは人の判断。集めて、お客様ごと券ごとにそろえて、買った回数と使った回数と残りの回数を並べるのは機械の仕事
実務は、一年分の販売と使った記録の洗い出し、一件ごとのまとめ直しと種類づけ、お客様の向きと券の種類の向きで並べる、気になる点に印をつけてお声がけの候補を分ける、決まりをつくって月に一度確かめる、の五つ
どの券を含めるかをこちらから指定し、使った回は記録にある日で書かせ、販売の合計を入金の明細と突き合わせる
売れた数と使われた数を並べて見る。書く項目は絞る。残りの回数はお店の一覧にも残す。眠っている券は一人ずつお声がけを決める。月に一度、売り方を一つ変える
Claude Code導入サポートのご案内
「自社の回数券の控えと押印カードを、この記事の手順で一覧にしてみたい」「どの記録を渡せばよいか分からない」という方向けに、Claude Codeの導入サポートを承っています。
Claude Code導入サポート 税込3,000円
Claude Codeのセットアップから、最初のお客様ごと・券ごとの一覧づくりまでを一緒に進めます
自社の券の種類やお客様に合わせた分け方と、頼み方の言葉をその場で整理します
月に一度、眠っている券と期限の近い券を確かめる運用を回すための、簡単な形をご提案します
ご希望の方は、このページの購入画面に進むボタンからお申し込みください。ご不明な点は、ココナラのメッセージ機能からお気軽にお尋ねください。
これまで多くの中小企業や一人社長の方の業務自動化をお手伝いしてきた経験をもとに、回数券の記録に限らず、日々の事務の中で「並べていないから見えない」「見えないから決められない」仕事を減らすお手伝いをしています。