富太郎が気の向くままに、三度「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「参議院議員選挙」
20日は、3年に一度の参議院選挙。任期は6年で半数改選になります。
前に書いた「衆議院の優越」制度等がある中、参議院の存在意義は何なのか。
『日本国憲法が二院制を採用した趣旨は、異なる選挙制度(*)や議員の
任期が異なる(衆議院議員は4年)こと等によって、多角的かつ長期的な視点
からの民意を反映させ、衆議院と参議院との権限の抑制と均衡(議会の専制
防止)を図り、国政の運営の安定性、継続性を確保しようとしたもの。』と
いうのが、通説のようです。
異なる選挙制度(*)
・衆議院~「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」が同じ投票日に行われる。
『解散』による選挙がある。
・参議院~「(原則)都道府県単位の選挙区制」と「非拘束名簿式比例代表制
(政党の得票数で議席数が決まる)」が同じ投票日に行われる。
『解散』制度はない。
なお、衆議院の『解散中』は、参議院も同時に閉会となるが、内閣は、国に
緊急の必要があるときは、参議院に『緊急集会』を求めることができます。
また、国政選挙のたびに「問題提起」されるのが、『議員定数不均衡(1票
の格差)問題です。
問題(1) 投票価値の平等
判例は、憲法14条1項に定める『法の下の平等』は、選挙権に関しては、
「国民はすべて政治的価値において平等であるべきであるとする徹底した平等
化を志向するものであり、各選挙人の「投票価値の平等」もまた、憲法の要求
するところであり、投票価値の平等は、単に国会の裁量権の行使の際における
考慮事項の1つにとどまるものではない。」として投票価値の平等が憲法上
保障されることを認めています。 (最大判昭51.4.14)
問題(2) 違憲問題
では、どのくらいの「格差」があると『違憲』となるのか。 そもそも、
最高裁は『違憲判決』を出したことはありません。
ただ、①『定数配分又は選挙区割りが、行政区画など国会が正当に考慮できる
諸事情を総合的に考慮した上で投票価値の較差において憲法の投票価値の平等
の要求に反する状態に至っているか否か』、上記状態に至っている場合に、
②『憲法上要求される合理的期間以内における是正がなされなかったとして、
定数配分規定又は区割り規定が憲法の規定に違反するに至っているか否か』
によって、判断されます。
問題(3) 格差何倍までなら許容されるか?
衆議院議員選挙も含めて、最高裁は「何倍までなら許容されるかということ
を、積極的には明示していません。
「参議院議員選挙」においては、
平成26年大法廷判決 最大格差1対4.77倍
『違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態』 ⇒ 合憲(違憲状態)判決
ただし、4人の裁判官が「違憲である」との反対意見を述べました。
平成29年大法廷判決 最大格差1対3.08倍 (「合区制度」導入)
『違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にはない』 ⇒ 合憲
令和2年大法廷判決 最大格差1対3.00倍 ⇒ 合憲
令和5年大法廷判決 最大格差1対3.03倍 ⇒ 合憲
ちなみに、「衆議院議員選挙」においては、最近は、
平成30年大法廷判決 最大格差1対1.979倍 ⇒ 合憲
令和 5年大法廷判決 最大格差1対2.08倍 ⇒ 合憲
では、最高裁が「議員定数の配分規定を憲法14条1項に違反して無効であ
る。」と判断した場合はどうなるのでしょうか。
先の最大判昭51.4.14の最高裁の法定意見『当該選挙を無効とすることによ
って憲法が所期していない結果が生じることを回避するために、その配分規定
に基づき既に実施された選挙の効力を無効とはせず、行政事件訴訟法31条の
『事情判決の法理』により、「選挙無効の請求を棄却」した上で、判決主文で
当該選挙が違法である旨を宣言するにとどめるという手法をとるべき。』との
見解が主流です。
最後に、今回の参議院議員選挙においても、弁護士グループの先生方が、
『2025年7月参議院議員選挙『違憲無効』訴訟を、7月22日(火曜日)に
全国8高裁6支部に「一票の不平等」を全国一斉提訴』することが、報道され
ています。 選挙の結果とともに、裁判の行方も気になります。
今回は、以上です。
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