彼が「会いたい」言わなくなった理由

彼が「会いたい」言わなくなった理由

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コラム

「今度、いつ会える?」

以前の彼は、よくそう尋ねてくれた。

忙しい仕事の合間にも時間を作り、ほんの少しでも顔を見たいと言ってくれた。

そんな彼の言葉が、私は嬉しかった。

けれど、いつからだろう。

彼の口から「会いたい」という言葉が聞こえなくなった。

連絡をすれば返事は来る。

会えば、以前と変わらず優しい。

それなのに、次の約束をするのは、いつも私だった。

「もう、会いたくないの?」

そう聞きたかった。

でも、答えを知るのが怖くて、何も言えなかった。

ある秋の夕暮れ。

京都の街を歩きながら、私は思い切って尋ねた。

「どうして、会いたいって言わなくなったの?」

彼はしばらく黙っていた。

そして、静かに答えた。

「君が、いつも待っていてくれると思っていたから」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少し痛んだ。

彼にとって、私はいつの間にか、努力しなくてもそばにいてくれる存在になっていたのかもしれない。

愛情がなくなったわけではない。

けれど、大切にする努力を忘れてしまうことはある。

私は彼を見つめて、小さく微笑んだ。

「私もね、いつまでも待っているわけじゃないのよ」

彼は驚いたように私を見た。

秋風が二人の間を静かに通り抜けた。

好きだからこそ、待ち続けてしまう。

でも、待つことだけが愛情ではない。

本当に会いたいと思う人には、きっと自分から会おうとする。

言葉だけではなく、行動で気持ちを伝えようとする。

私はもう、彼の「会いたい」を待つのをやめようと思った。

彼を嫌いになったからではない。

自分自身を、誰かに会いたいと思ってもらえる価値のある女性として、大切にしたくなったから。

あの日、彼が「会いたい」と言わなくなった理由を知った。

そして私は、自分から「会いたい」と言わなくなった。



月乃こころ🌙





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