コント台本 サンプル コンセプト家

（小学校の机を向かい合わせにくっつけて、給食の時間のように座っている男女が画面中央にいる。画面の奥には黒板とテレビがある。）

男：あの～

女：ん？

男：一つ確認したいことがあるんだけど

女：何？

男：……ここって、あなたの家ですよね？

（沈黙）

女：あ、「それってあなたの感想ですよね」的な？

男：違う違う違う

女：脈絡ないなあ

男：そっちがね

女：違うの？

男：違うよ。何ここ。なんでこんな学校みたいなの？ 自宅だよね？

女：ふっふっふ～

男：なんで得意げなんだ

女：ここはね、「コンセプト家（いえ）」ですよ

男：コンセプト家？

女：コンセプトカフェみたいな

男：あ、コンセプトカフェ？ え？ 家にコンセプトを持たせてるってこと？

女：そう。ここは学校がコンセプトの家

男：何をやってるんだ

女：机も椅子も食器も、実際の学校で使われているやつです

男：マジか～……せっかくのおつまみだったのに

女：どうしたの？

男：久しぶりのデートで、ゆっくり飲みながらサッカー観戦の予定じゃん。しかも、家に来てくれたことはあっても、僕が行ったのは初めてじゃん

女：びっくりしてくれてありがとう

男：びっくりが常にいい意味だと思わないでほしい。まあ、それでちょっと奮発して、いいおつまみ買ってきたのよ

女：嬉しい！ ありがとう

男：僕は嬉しくないのよ。こんな給食でしか見たことない皿に乗せられて、高級感がないじゃん

女：お皿との対比で、より高級に見えない？

男：見えないよ！ っていうか、この場合の飲み物も気になるわ。家にあるって言ってたけど、まさか紙パックの牛乳じゃないよね？

女：あ、ワインがあるの。持ってくるね

男：ワイングラスはあるんだ

（女、画面外に消える）

男：じゃあその間に手洗おうかな。洗面台借りるよ

女：はーい

（男も画面外に消え、すぐに戻ってくる）

男：石鹸、レモンのやつだったな。網に入ってたな

（女も戻ってくる）

女：お待たせ～

（女が持ってきた紙パックのワインがアップになる）

男：紙パックのワイン?! えっ、（もう一段階アップになる）紙パックのワイン?!

（画面が元に戻る）

男：よく見つけたね、どこに売ってるのこれ

女：ふっふっふ～ コンビニ

男：コンビニかあ、納得いかないからもう何でもいいや。あと「ふっふっふ～ コンビニ」って返事何なんだ

女：へっへっへ～

男：ハ行の次の文字になったな。本当に意味がわからない

女：（時計の方を見て）あ、そろそろ試合始まるよ。テレビつけよう

男：その前に一つ聞かせて。何でこんな家にしたの？

女：それはね

（女、テレビをつける。男もテレビの方を向く）

女：テレビを見るとき、すごくテンション上がるから

男：それは……ちょっとわかる