「どうして私じゃなくて、あの子が選ばれるんだろう」
「これだけ誠実に想っていたのに、結局、見た目が華やかな人や要領のいい人が愛されるんだ……」
失恋をした時や、片思いの相手が別の誰かを選んでしまった時。
あるいは、婚活や恋愛の場で、自分の表面的な条件だけを見て雑に扱われた時。
私たちはまるで、自分の存在価値そのものを否定されたかのように深く傷つき、「私に魅力がないからだ」「もっと可愛く、器用にならなければ愛されないんだ」と自分を責めてしまいます。
もし今、あなたが「選ばれなかった痛み」で夜も眠れないほど胸を痛めているのなら、どうか『古事記』に記されたある姉妹の女神の物語を聞いてください。
それは、神話の中で最も切なく、そして「人の本質を見抜けないことの愚かさ」と「本当に価値のある愛とは何か」を教えてくれる、木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)と石長比売(イワナガヒメ)の物語です。
■ 華やかな「桜の妹」と、送り返された「岩の姉」
天照大御神の孫であり、高天原から地上へと降りてきた若きエリート神・瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)。彼は笠沙(かささ)の岬で、絶世の美女である木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)に出会い、一目で恋に落ちて求婚します。
サクヤビメの父である大山津見神(オオヤマツミノカミ)は、この求婚を大いに喜びました。 そして父神は娘のサクヤビメだけでなく、その姉である石長比売(イワナガヒメ)も一緒に、たくさんの贈り物を持たせてニニギノミコトのもとへ嫁がせたのです。
ところが、対面したニニギノミコトがとった行動は、あまりにも残酷なものでした。
彼は桜の花のように可憐で華やかな妹・サクヤビメだけをそばに残し、姉のイワナガヒメに対しては「容姿が自分の好みではない(醜い)」という見た目だけの理由で、一度も向き合うことなく実家へ送り返してしまったのです。
妹だけが愛され、自分だけが拒絶されて追い返される。 イワナガヒメがどれほど深く傷つき、恥じ入り、涙を流したかは計り知れません。
■ なぜ父神は「二人の姉妹」を同時に送り出したのか?
しかし、この物語の本当の核心はここから始まります。 娘を送り返された父の大山津見神は、深く悲しみ、ニニギノミコトにこう告げました。
「私が二人の娘を一緒に差し上げたのには、深い理由がありました。姉の石長比売を妻にすれば、あなたの命は雪が降っても風が吹いても、常に『岩』のように永遠で揺るぎないものになったでしょう。そして妹の木花之佐久夜毘売を妻にすれば、木の『花(桜)』が咲き誇るように繁栄したでしょう。それなのに、あなたは姉のイワナガヒメを送り返し、サクヤビメだけを選んだ。だから今後、あなた方(天孫)の命は、木の花が散るように儚く短いものになるでしょう」
実は、父神が贈った「桜(妹)」と「岩(姉)」は、二つで一つの「究極の幸福」でした。
妹のサクヤビメが持つのは、パッと人目を惹く「瞬間の華やかさ・ときめき(桜)」。 そして姉のイワナガヒメが持っていたのは、どんな嵐が来ても絶対に崩れない「永遠の命・揺るぎない土台・一生続く深い愛(岩)」だったのです。
ニニギノミコトは、目先のわかりやすさと外見の華やかさ(桜)だけに目を奪われ、自分が一生をかけて幸せに生き続けるために最も必要だった「本物の土台(岩)」を、自らの手で捨ててしまったのでした。
■ あなたが選ばれなかった本当の理由
この神話は、恋愛で傷ついた私たちの心に、極めて重要な真実を教えてくれます。
あなたが誰かに選ばれなかった時、あるいは誠実に向き合っていたのに雑に扱われて終わった時。
それは決して、あなたに女性としての魅力がなかったからでも、あなたの価値が低かったからでもありません。
あなたが、相手の人生を根底から支え、長く深く愛し抜くことができる『イワナガヒメ(岩の女神)の魂』を持っていたのに、相手の男性が「目先の刺激や表面的な華やかさ(桜)」しか見ることができない、未熟な状態だったというだけなのです。
現代の恋愛でも、同じことがよく起こります。
小悪魔的な駆け引きが上手な人や、見た目を取り繕うのが上手な人が、最初はチヤホヤされて選ばれるかもしれません。
しかし、一時の「桜の花」だけを追い求めた恋は、季節が過ぎればあっという間に散ってしまいます。
どれほど強い風が吹いても、雪が降り積もっても、変わらずにそこにあって相手を守り抜く「岩」のような一途さ、誠実さ、深い愛情。 その「目に見えない本物の価値」に気づけず、外見や条件だけであなたを手放したのなら、本当に大きな宝物を失って損をしたのは、あなたではなく「相手のほう」なのです。
■ 「桜」のフリをしなくていい。あなたの「岩」の価値がわかる人を選ぼう
選ばれなかったショックから、「私もあの子みたいに、もっと軽やかに駆け引きできるようにならなきゃ」「自分の重たい愛情を隠して、都合のいい華やかな女を演じなきゃ」と無理をする必要はありません。
イワナガヒメには、イワナガヒメにしか授けられない「永遠の祝福」があります。
あなたのその真面目さも、不器用なほどの一途さも、相手の幸せを心の底から願う深い愛情も、すべては神様から授かった尊い「和魂(にぎみたま=強み)」です。
上辺だけの「桜」しか見ない人のために、あなたの尊い魂をすり減らさないでください。 あなたの内側にある「揺るぎない愛の価値」を真っ直ぐに見抜き、「君と一緒にいると、どんな時も心が安らぐ」「君と一生を共にしたい」と、あなたの本質を宝物のように大切にしてくれる人は必ず現れます。
散りゆく一時の恋が終わったのは、あなたが「あなたの本当の価値がわかる人」と出会うための、神様からの大切な軌道修正なのですから。
■ あなたの魂に宿る「女神の輝き」を知るために
「私は恋愛になると、いつもどんな癖(荒魂・毒)が出てしまっているのだろう?」 「私が本来持っている、愛されるための強み(和魂)は何だろう?」
失恋の痛みから立ち上がり、本当にあなたを大切にしてくれる運命のパートナーと結ばれるためには、まずあなた自身が「自分の魂の設計図」を知り、自分の価値を認めてあげることが一番の近道です。
あなたが「桜」の女神なのか、「岩」の女神なのか、それとも太陽のように相手を照らす女神なのか。
あなたの魂に眠る本来の輝きを、古事記の神々から受け取ってみませんか?