屋号や商品名を決めるとき、案を100個出すところまでは、実はそれほど大変ではありません。
本当に大変なのは、その中から1個を選ぶところです。
100個並んだリストを前にして、こう思ったことはないでしょうか。
・どれもそれっぽく見えて、決め手がない
・3日前に「これだ」と思った案が、今日見るとピンとこない
・人に見せると全員バラバラのものを選ぶ
・結局、最初に思いついた案に戻ってくる
これは案の質の問題ではなく、選び方を決めていないことが原因であることが多いです。
この記事では、100案を出したあとに実際にやっている「捨て方」を、手順として書きます。
1. 「捨てた理由」を1行だけ残す
いちばん効くのは、これです。
案を落とすとき、その横に落とした理由を1行だけ書き残します。書く内容は難しくなくて構いません。
・読み方が2通りある
・すでに似た名前をよく見る
・意味は良いが、口で言いにくい
・覚えやすいが、業種が伝わらない
・一般名詞すぎて、検索したときに埋もれる
これを100個ぶん残すと、最後に自分が何を大事にしていたのかが、リストの側から見えてきます。「読みやすさで落とした案が30個」「他社と似ていて落とした案が20個」というふうに、落とした理由には必ず偏りが出ます。その偏りが、あなたの判断基準そのものです。
多くの場合、選べないのは案が足りないからではなく、基準が言葉になっていないからです。捨てた理由は、その基準を言葉にする一番早い方法です。
2. 基準を3つに絞り、順番をつける
理由の偏りが見えたら、そこから基準を3つだけ取り出します。例えばこうです。
1)口に出して言いやすいか
2)何の店・何のサービスか想像がつくか
3)同業に似た名前がないか
大事なのは3つに順番をつけることです。順番がないと、2つの案が別々の基準で強いときに、また止まります。「1が同点なら2で比べる」と決めておけば、比較は機械的に進みます。
基準は4つ以上にしないことをおすすめします。増やすほど、どの案も一長一短になって決まらなくなります。
3. 残す案は「1個」ではなく「3個」にする
100案を一気に1案まで絞ろうとすると、たいてい途中で疲れて、選び方が雑になります。
・100案から20案へ(明らかに落ちるものを外す。ここは速く)
・20案から3案へ(基準1から3で比べる。ここは丁寧に)
・3案から1案へ(時間を空けてから決める)
最後の3案は、その日のうちに決めないほうが良い結果になりやすいです。翌朝に3案だけを見て、口に出して読んでみて、まだ良いと思えたものが残ります。
4. 決める前に、最低限これだけは調べる
名前が決まりかけたら、公開前に次を確認しておくと後戻りが減ります。
・その言葉で検索して、同業の別の会社・サービスが出てこないか
・読み方が分かれないか(他の人に、読み方を聞かずに読んでもらう)
・略したときに変な言葉にならないか
・表記ゆれが起きないか(英字か、カタカナか、どちらで書くか決めておく)
なお、商標として使えるかどうかの調査は、この手順には含まれていません。名前を事業で長く使う予定がある場合は、商標の専門家に確認されることをおすすめします。ここで書いているのは、あくまで「案の絞り方」です。
5. 捨てた99個は、消さずに取っておく
最後にひとつ。落とした案のリストは、消さないでください。
・あとで「なぜこの名前にしたのか」を人に説明するときに、いちばん役に立つのが落とした案です
・商品が増えたとき、落とした案が次の商品名になることがよくあります
・同じ案を半年後にまた思いついて、また同じ理由で悩む、という往復がなくなります
「100案出す」の価値は、100個の中に正解があることではありません。99個を捨てる過程で、自分の基準がはっきりすることにあります。
この記事について
案出しの部分には生成AIを使っています。ただし、上に書いた「捨て方」の手順は、AIに任せきりにはできない部分です。AIは案を大量に出すのは得意ですが、あなたの事業にとって何が大事かという基準は、AIの側にはありません。基準を決めるのは人の側の作業で、AIはその基準に沿って候補を並べ替える道具として使うのが、いまのところいちばん噛み合っていると感じています。
もし、この「100案出して、落とした理由まで残す」作業そのものを外に出したい場合は、わたしの出品しているサービスでも承っています。よろしければご覧ください。