せっかく気合を入れてボーカルを録音し終わったのに、いざMIXを頼もうとした段階で「データってどうやって送ればいいの?」
ここではそんな方のために、ミキシングエンジニアさん(またはMIX師さん)に音源を渡すときに迷わないための「正しいデータ書き出し手順と注意点」を分かりやすく解説します。
【4つの基本ルール】
① フォーマットは「WAV」が鉄則/「ビット深度とサンプルレートは録音時と同じ」が基本
書き出しのファイル形式(フォーマット)は、必ず「WAV」を選びましょう。
MP3などの圧縮音源は、人間の耳に聞こえにくい音域がカットされており、乱暴な言い方をすれば音質が劣化した状態になっています。MIXで音をきれいに整えるためには、音の情報がきちんと残っている「WAV」が必要不可欠です。
「ビット深度」や「サンプルレート」は、録音したときの設定に合わせて書き出せば基本的にはOKです。
結論だけをまとめると、以下のようになります。
✅ 必ず「WAV」で書き出す
→ MP3などの圧縮フォーマットは使用しない
✅ 【サンプルレート】基本的に録音時と同じでOK
✅ 【ビット深度】エフェクト処理していない「生音(すっぴん)の素材」
→ 録音時と同じ 24bit(または16bit)で書き出す
✅ 【ビット深度】DAW内でエフェクト処理を行った素材
→ 内部演算の精度を保つため 32bit float で書き出す
② 「頭出し」を必ず行う
「頭出し」とは、すべてのトラックの書き出しスタート位置を、曲の「00:00:00(曲頭)」に統一することです。途中から書き出ししてしまうと、エンジニア側のDAW(音声編集ソフト)に読み込んだときに、伴奏と歌のタイミングがずれてしまいます。曲の頭(絶対的0秒地点)から書き出すことで、エンジニアが音源を読み込むだけで一発でピッタリ位置が揃います。
③ 「エフェクトはオフ」にする
歌い手側のDAWで追加したリバーブ、ディレイ、コンプやEQ(イコライザ)などのエフェクトは、原則としてすべてオフ(バイパス)にして書き出します。
一度エフェクトが混ざってしまった音源から、その効果だけを取り除くことはできません。例えばリバーブがかかったままだと、後から音量を調整したり、EQで音をきれいに整えたりすることができなくなってしまいます。よほどの意図がない限り、「すっぴん(生の音)」の状態で渡すのが原則です。
④ 音源が正しく書き出されているか確認する
書き出しが終わったら、そのデータを改めて自分のDAWに取り込んで、データが正しく書き出せたか確認しましょう。筆者の経験上、実際には「マシンエラー」より「ヒューマンエラー」の方が多いです。以下を参考にしっかりチェックしてください。
【主なチェック項目】
✅ ファイル名と中身が違ったり重複していないか?
✅ 途中で音が切れたり跳んだりしていないか?
✅ 音が割れて(クリップして)いないか?
✅ 書き出しに由来するノイズが入っていないか?
✅ カラオケ音源(Inst)と同時に流したときにタイミングが合っているか?
✅ 書き出し設定(WAV / 24bit / 48kHzなど)は合っているか?
【その他に注意すること】
基本ルールに加えて、ここを配慮できると「めちゃくちゃ分かってる歌い手さんだ!」とエンジニアに喜ばれるポイントです。
→ ブレスは無理に処理しない
ブレス(息を吸う音)を無理にカットしたり、自分で消そうとしなくて大丈夫です。ブレスは歌の感情やリズム感を伝える大切な要素でもあります。ミックスの中でノイズを削ったり、ブレスの音量だけを自然に下げたりする調整はエンジニア側で行えますので、自然なまま残しておいてOKです。
→ ステレオとモノラル
ボーカルの録音・書き出しは「モノラル(Mono)」が基本です(※カラオケ音源/Instは「ステレオ」)。マイク1本で録音した歌声は基本的にモノラル信号です。これをステレオで書き出してしまうと、容量が単純に2倍になり、データがムダに重くなります。(※ステレオ効果を使ったハモリや特殊な効果音トラックなどの例外を除く)
→ 分かりやすいトラック名(ファイル名)を付ける
書き出したファイルには、パッと見てどのパートか分かる名前をつけましょう。
・良い例 ⭕️
Main_Vocal.wav(メインボーカル)
Vocal_Oct_Low.wav(オク下ボーカル)
Chorus_01.wav(ハモリ)
・NG例 ❌
Audio_01.wav
無題のトラック.wav
(どれが何の音か分からなくなってしまいます)
【データの送り方】
データが準備できたら、いよいよエンジニアさんへ送信です。
ココナラのメッセージ機能やトークルーム内では、一度のメッセージ送信で最大5つまでファイルを添付することができますが、容量に制限があります(トークルームは200MBまで、メッセージ機能は100MBまで)。音声データは容量がこれを超えることが多いため、ココナラでも利用が認められている「ギガファイル便(GigaFile便)」などの無料オンラインストレージサービスのご利用を推奨しております。
【ココナラ公式】ファイル添付機能について
https://help.coconala.com/hc/ja/articles/218180658-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
「ギガファイル便」を使った送信手順
1. フォルダを1つにまとめる
ボーカルデータやカラオケ音源(Inst)の入ったフォルダを1つにまとめ、Macなら「ZIPに圧縮」、Windowsなら「zip形式で圧縮」をして、**必ずひとつの圧縮ファイル(.zip)にします。
2. ストレージにアップロードする
「ギガファイル便」にアクセスし、作成したZIPファイルをアップロードします。
3. ダウンロードURLを共有する
発行された「ダウンロードURL」をコピーし、ココナラのトークルームやメッセージに貼り付けて送信してください。パスワードを設定した場合は、あわせてお知らせください。
【おわりに】
丁寧な準備が「良いMIX」への第一歩!
最初のデータ書き出しは設定項目が多くて難しく感じるかもしれませんが、慣れてしまえばとてもシンプルな作業です。
綺麗な状態(すっぴん・頭出し完璧)のデータを渡していただけると、エンジニア側も「どうやってこの歌声を一番魅力的につくり上げるか」というクリエイティブな作業に全力で集中できます。
もし「この設定で合っているか不安…」という場合は、書き出す前に依頼先のエンジニアさんに「この形式で書き出せば大丈夫ですか?」と気軽に相談してみてください。きっと親切に教えてくれるはずです。