最近、初めて森美術館を訪れました。デッドプールとウルヴァリンの新作映画に気を取られてしまい、間違って映画館の方に行ってしまいましたが、インフォメーションのスタッフの方に正しい入り口を教えていただき、無事に到着できました。専用エレベーターで53階まで上がる体験は、とてもエキサイティングでした。

展示の入り口でQRコードをカメラでスキャンすると、アーティスト本人の説明をスマホで聞くことができますが、私はその情報を知らず、展示説明を一生懸命読んでいました。この情報を事前に知っていたら、もっと楽しめたと思います。

私がこの展覧会を訪れることを決めた理由は、GQ JAPANのウェブサイトで読んだ「価値の錬金術師ーシアスター・ゲイツとは何者か？」という記事でした。その記事には、国際的な現代美術雑誌『ArtReview』が2023年の「Art Power 100」でシアスター・ゲイツを7位にランクインさせたと書かれていました。

森美術館の展覧会の見どころページには、「グローバルなアートシーンで近年関心が集まるブラック・アート。その中でも高い注目を集めるシアスター・ゲイツの過去の代表作から新作までを一堂に体験できる貴重な機会です。黒人史や黒人文化を包括的に紹介する本展は、日本国内で過去に例を見ないスケールでの試みとなります。」と説明されています。

この展覧会は私にとって理想的でした。最先端の現代アートを肌で感じ、7位にランクされているアーティストがどのような視点を持ち、どのように作品を制作しているのかを知りたかったのです。

シアスター・ゲイツの作品からは、「ブラックネス（黒人であること）」という心理的葛藤が伝わり、「ブラックネスイズビューティフル」と言いたい心の声が聞こえてくるようでした。彼の作品には、民芸から感じられるぎこちなさや手作り感、土臭さが彼自身のアイデンティティーと重なる部分があるように感じました。

彼の作品制作だけでなく、コミュニティー再生や黒人文化の再生にも力を注いでいる点が印象的でした。私のような日本人にとっては理解が浅いかもしれませんが、彼の作品を通じて、アメリカに渡った黒人の歴史を実感することができました。

2024/08/02（Friday）