そのモヤモヤはどんな感じですか ~言語優位の中で忘れられたもの~

記事
コラム
「モヤッとする。」は、自分自身のからだやこころに起こる何か割り切れない感覚をあらわす時に昨今よく使われる言葉です。「そのモヤッって何?」ともし聞かれたら、私たちは言葉を尽くして一生懸命それを表現しようとするかもしれませんね。でも、言葉を使えば使うほど、「モヤッ」の実体からどんどん遠くなって、違うものになってしまうのではないでしょうか。あるいは、言葉が事実のごとくになり、実は違っていても本当であるように錯覚してしまうことも起こり得ることです。

私は今年前半の国家資格キャリアコンサルタントの資格取得後に、キャリアコンサルタントの中核的な態度条件に関わる「パーソン・センタード・アプローチ(PCA)」について、とある大学の研究所が主催する講座を通じて学んでまいりました。

そこでの学びは、対人支援の場のみならず日常を送る上でも、いつでも人間中心に自分と相手の今ここに向き合う態度がお互いを結び、十分味わって傾聴することが相手への理解を深め、、自分の今の「モヤッ」に気付いていることも相手の「モヤッ」に意識を向けることもお互いの発達に役立つことであると、体感的に学び身につけてゆくことでした。

PCAの研究者で心理学者・哲学者のジェンドリン博士は、このような「モヤッ」を「フェルトセンス(felt sense)」と名付けました。フェルトセンスは、「怒り」や「喜び」のように明確な言葉にできる感情ではなく、何かの出来事が自分に起こった時に、からだとこころで感じている曖昧なものであり、言葉で表すと断片的になってしまうので上手く言い表せないけれど、「~のようなもの」として感じているものです。

例えば、ゆったりとした姿勢をとってこんな想像をしてみてください。自身にとってとても居心地の良いところにあなたがいます。どんな「感じ」がしますか?そして、その場所にあなたがとても会いたい人が入ってきました。どんな「感じ」がしますか?その人は去り、またあなたはその場所でひとりになります。どんな「感じ」がしますか?次に、あなたが絶対に会いたくない人が入ってきました。どんな「感じ」がしますか?その人は去り、またあなたはその場所でひとりになります。どんな「感じ」がしますか?その後、とても会いたい人がまた入ってきました。どんな「感じ」がしますか?

このような想像を通じてあなたが感じたその「感じ」がフェルトセンスである可能性があります。このフェルトセンスは、変化し、常に新鮮であるそうです。カウンセラーは、その人がフェルトセンスに自ら気付き、そのフェルトセンスにその人自らがじっくりと丁寧に向き合い吟味し表現してゆくことで、その人にとって意味ある気付きや変化が起こることに期待をしてかかわりを持ちます。このようなカウンセラーの一連のかかわりを「フォーカシング(技法としてのフォーカシング)」といいます。

実はフェルトセンスは日常絶え間なく私たちに起こっていることです。だから、「モヤッ」としてそのモヤモヤに向き合って何とかしようとしている時、私たちは自分でフォーカシングをしているとも言えます(現象としてのフォーカシング)。私たちは本当に様々なことに気を払って(気を取られて?)いますから、気掛かりなことが自分の周りにたくさんあるのではないでしょうか。その全部にフォーカシングをしようとしてしまうとあっという間に疲れてしまいますから、日常、その気掛かりなことにそっと適度な距離を保てるような、「スペースづくり」が大事です。フォーカシングにおいては、「クリアリング・ア・スペース」といいます。

例えば、白紙を用意して、「自分」を真ん中に書いて、その周りに気掛かりなことを適度な距離を考えながら書いてゆく、というやり方もよいでしょう。紙に書いた気掛かりなことが、それぞれどんな「感じ」なのかも書き加えると、自分のフェルトセンスに気付くことにもつながりますね。どの「感じ」に向き合ってみようかな、と、クリアリング・ア・スペースを保ちながらどれかひとつのフェルトセンスを見つめてみることで、気持ちに余裕ができてくるのではないでしょうか。

ついつい日常において、「モヤッ」としてもその「感じ」を使い慣れた言葉に即座に置き換えてしまっているものです。「嬉しい」「怒り」「悲しい」「楽しい」・・・その「感じ」は本当にその言葉で大切にされていると言えるでしょうか?言語優位の世界の中で、もっと曖昧な、何か意味のある「感じ」が忘れられたように扱われていたりしませんか?フェルトセンスを知ることで、より自分の真実に近づくことができ、見える景色が変わるかもしれません。

自身の「モヤッ」に向き合うときに、そのことに共感的にかかわってもらえる他者の存在は大きな助けになります。ひとりでは行き詰ることも、他者が自分の鏡となって、良い方向への変化に向かう可能性が高まるでしょう。ただし、あくまでも変化は自らが起こすものです。フェルトセンスを上手に味方にできるようにしたいものです。

今回はモヤモヤ(フェルトセンス)についてお話しました。私は2023年9月からライフキャリアデザインカウンセラーを名乗り、個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いをしようと決意し、今の会社での仕事を続けながら複業をすることにしました。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげようと考えています。

私は来談者の方に今回お話ししたような支援でお役に立つことを使命とするライフキャリアデザインカウンセラーでありたいと思っています。ご関心を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す