顧客視点の働き方から学ぶ ~日々、愚直に続ける~

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コラム
私は毎朝、通勤の通りかかりにあるカフェに立ち寄ります。もう2年近くになりますが、すっかりルーティンになっています。

ルーティンになっている理由の一つに、カフェで働くスタッフのみなさんの素晴らしい働きぶりに触れることができるから、ということがあります。
応対品質と言うのでしょうか、スタッフの方々一人ひとり身だしなみや応対スタイルは少しずつ違えど、私が受ける印象は「感じがいい」ということに集約されるのです。

例えば、お店に入って注文レジまでは数メートルの距離がありますが、基本的には私が入り口に立ったら気付いて、「いらっしゃいませ」の声掛けを欠かすことがありません。

そして、注文の際は、私は毎回マイボトルを持っているのですが、「いつものですね」ではなくて、「お飲み物、何になさいますか?」としっかり確認を取ってくれます。日によって気分が違う(かもしれない)ことに気を払ってくれているのだなあ、と感じます。

たまに、フードを頼むことがあるので、「今日は、お食事は何かお取りしますか?」とこれも確認をしてくれます。せかすような聞き方ではなく、自然体の会話であるかのような丁寧なリズムでオーダーのプロセスが進んでゆき、たいへん心地よいものがあります。

少し列が出来ている時には、スタッフ同士で、いま自分がお客様に対して出来ることを協力してやろうとしています。例えば、列の次の順番のお客様に、先のお客様への商品提供が終わったレジとは別ポジションのスタッフがすでに目配りをしています。そして、「先にこちらからお飲み物のご注文を承ります」とスマートに声掛けをします。そして次のレジに誘導します。お客様の貴重な時間をたった数秒間でも無駄にしない、という姿勢が行動に結びついています。

また、私がセルフサービスでの片づけをしているときにも、「お下げものありがとうございます。」と遠くからでもきちんと気付いて声をかけてくれます。お店を後にするときには、「いってらっしゃいませ」「ありがとうございました」と見送りの挨拶を欠かすことはありません。とても広い視野でお店(すなわちお客様)を見ることができている証拠です。

一連の接客は、常に穏やかな笑顔でなされます。見ていると、お客様に対してだけではなく、スタッフ同士のやり取りさえ、どんなに忙しい時でも、和やかです。お互いにしてくれたことに「ありがとう」の言葉が交わされます。仲間への心からの感謝であることはもちろん、常にお客様に見られているというプロ意識によるものとも言えるでしょう。お客様の目線からして、お店のスタッフ同士のコミュニケーションが良好な様子を垣間見るのは気持ちのよいものですよね。

そして、私とスタッフの方々との間に少しの話題提供やコミュニケーションがあることが潤いをもたらします。「今日のコーヒーは、**な味をお楽しみいただけますよ。」「新作のフードです。とても美味しいんですよ。」「この前も注文いただきましたね。お気に召しましたか?」「すてきな組み合わせの朝食ですね!」「明日は新商品が出るので混雑します。早めにお並びいただくか、お時間をずらしてお越しください。」等々、お客様に価値ある時間を過ごしてもらうための共通の価値観を持ちながら、個々のスタッフがその人らしさを発揮して働いています。画一的な接客マニュアル頼みでは機械的にしか動けなくなる・・・到底成し得ないことであろうと思います。

このような素晴らしい接客応対は、長い時間の積み重ねがあってこそ可能になるのでしょう。まずそのお店で大切にしている価値観(哲学と言ってもいい)があり、模範となるような見習うべき行動があり、自分は今ここでお客様に対して何をすべきなのか最善を自分で判断し実践する、を日々愚直におこない、お客様と働く仲間との関係性の中で学習を積み重ね、一人ひとりのスタッフの血肉となった賜物と見ます。

そのカフェでの出来事は、私自身を映し出す鏡となっています。私自身の仕事に置き換えて、顧客は誰か?私はどのような価値観を大切にしているか?その価値観に沿ったベストの仕事・行動は何か?今ここの状況に対応した最善の貢献はどのようなことか?・・・いつの間にか、このカフェに通うことは私自身のCan、Will、Mustを確認したり振り返って見せてくれるような、自然なルーティンとなっていました。みなさんにも自分の仕事を見つめる鏡がありますか?きっと身近にあるのではないでしょうか。ぜひ探してみてください。

組織心理学者のエドガー・シャイン博士は、仕事を進める上で何に価値を置いているのかについてのその人自身の認識をキャリア・アンカーと名付けました。キャリア・アンカーを確かめるために、次の3つの問いが有効であると述べています。ひとつは「何が得意か」ふたつめは「何をやりたいのか」そして「何をやっている自分が充実しているのか」···前述した「鏡」に映し出された私から、このような問いを投げかけられている気がします。カフェのみなさんの働きぶりから学び、自分の価値観を磨き、私もよい仕事に結びつけたいものです。

今回は顧客視点の働き方からの学びについてお話しました。私は2023年9月からライフキャリアデザインカウンセラーを名乗り、個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いをしようと決意し、今の会社での仕事を続けながら複業をすることにしました。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげようと考えています。

私は来談者の方に今回お話ししたような支援でお役に立つことを使命とするライフキャリアデザインカウンセラーでありたいと思っています。ご関心を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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