小さな幸せを見失わないために――比べる時代の中で、自分を守るということ

小さな幸せを見失わないために――比べる時代の中で、自分を守るということ

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コラム
私たちは日々の生活の中で、知らず知らずのうちに誰かと自分を比べてしまうことがあります。特に今の時代は、SNSを開けばさまざまな人の暮らしや考え方、成功している姿や楽しそうな時間が目に入ってきます。きれいな写真、充実した毎日、幸せそうな人間関係、仕事での成果。そうしたものを見ていると、自分だけが何も持っていないような気持ちになってしまうこともあるでしょう。

本当はそんなことはないのに、周りの人ばかりがうまくいっているように見えてしまう。自分の毎日が地味で、遅れていて、足りないものだらけのように感じてしまう。そうして少しずつ、自分自身を認める気持ちが弱くなっていくことがあります。

自己肯定感という言葉は、近年よく聞かれるようになりました。けれど、実際にそれを高く保ち続けるのは簡単なことではありません。人は感情のある生き物ですし、周りの人が輝いて見えれば、羨ましいと感じるのも自然なことです。比べないことが大切だと分かっていても、心はそんなに単純ではありません。

だからこそ、無理に比べないようにしようと自分を責める必要はないのだと思います。

大切なのは、比べてしまった自分を否定することではなく、その状態に気づくことではないでしょうか。今、自分は少し疲れているのかもしれない。周りの良い部分ばかりを見て、自分に厳しくなりすぎているのかもしれない。そうやって、一度立ち止まって自分の心の動きを見つめることには、大きな意味があると思います。

SNSで見えているものは、その人の人生の一部分です。楽しそうな瞬間、うまくいった出来事、見せたいと思った景色。もちろん、そのすべてが嘘だというわけではありません。しかし、それがその人のすべてでもありません。悩みもあれば不安もあり、うまくいかない日もあるはずです。けれど、そうした部分は見えにくいからこそ、私たちはつい、相手の良いところと自分の足りないところだけを比べてしまうのです。

そう考えると、SNSの中の華やかな世界をそのまま現実の基準にしてしまうのは、少し苦しいことなのかもしれません。

私たちの人生の多くは、特別な出来事よりも、何気ない日常でできています。温かいご飯を食べたこと。よく眠れたこと。誰かと少し笑えたこと。空がきれいだったこと。気持ちのよい風を感じたこと。そうした小さなことは、目立たないけれど、確かに私たちの心を支えているものです。

けれど、人は大きな幸せや分かりやすい成功に目を奪われやすいために、そうした小さな幸せを軽く見てしまうことがあります。本当は、そうした小さな積み重ねこそが、毎日の心を保つ土台になっているのかもしれません。

私は、人生がうまくいかないと感じるときほど、小さな幸せを見つめ直すことが大切なのではないかと思っています。

完璧にできない日があってもいい。人より進んでいないと感じる日があってもいい。やる気が出ない日や、何もしたくない日があってもいいのです。大切なのは、そこで自分に失格の印を押してしまわないことではないでしょうか。

真面目な人ほど、自分に厳しくなりがちです。もっと頑張らなければいけない。ちゃんとしなければいけない。立ち止まってはいけない。そう思えば思うほど、心は疲れていきます。そして、疲れた状態で周囲の華やかな姿を見れば、さらに落ち込んでしまうこともあるでしょう。

だからこそ、立ち止まることは悪いことではないのだと思います。

少し休む。考えすぎることをやめてみる。SNSから離れてみる。今の自分に必要なことは何かを静かに考えてみる。そうした時間は、決して後退ではありません。むしろ、自分を立て直すための大切な時間なのではないでしょうか。

人生は、一度止まったら終わりではありません。うまくいかないことがあっても、またやり直すことができます。遠回りをしたとしても、それで人生の価値がなくなるわけではありません。むしろ、立ち止まったからこそ見えるものや、やり直したからこそ分かることもあるでしょう。

完璧に生きることはできません。失敗しないことも、不安にならないことも、誰かとまったく比べないことも、おそらく難しいでしょう。けれど、完璧ではない自分を受け入れながら、それでも少しずつ前を向いていくことはできます。

昨日より少し気持ちが楽になること。今日より少し穏やかな明日を迎えること。大きな変化ではなくても、そうした小さな回復もまた、十分に意味のあることです。

人と比べて苦しくなったときは、自分の人生の中にある小さな幸せに目を向けてみる。今の自分にできることを一つ探してみる。そして、疲れているときは無理に進まず、立ち止まってもよいと自分に許してあげる。

そんな心の持ち方が、比べる時代の中で自分を守るために必要なのかもしれません。

完璧主義でなくていいのです。少し不器用でも、少し遠回りでも、またやり直せるのだから。

人生は、何度でも整え直していけるものなのだと思います。

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